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● 連載:方向づける、そろえる、「わかった」と実感させる授業
● 連載:百聞は一見にしかず? 見えてもわからない子供がいる
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● 連載:教育のユニバーサルデザイン実践ガイド
第3回 方向づける、そろえる、「わかった」と実感させる授業
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(3)「方向づける」授業
授業では、子どもたちの理解をぶれさせないための「方向づけ」を行う必要があります。このとき、操作的でない形で子どもたちを方向づけてあげるためには、発問にも工夫が求められます。
「方向づける」ためには、どのような発問の工夫をすればよいのでしょうか。クローズド・クエスチョンをうまく活用して、「○か×か」を考えさせたり、答えを選択させたり、ペアで相談させたりすることで、子どもたちは戸惑わずに考えることができます。
さらに「考え」を深めるためには、クローズドからオープン・クエスチョンへと徐々に間口を広げて行く展開も取り入れると効果的です。
他にも、授業を「方向づける」方法として以下の3つが挙げられます。
(1)授業のねらいを絞って方向づける:1コマの授業の中に欲張ってねらいをいくつも設定したりせず、少なく絞り込んでそこに到達させるやり方
(2)教師の「なげかけ」で方向づける:吟味された問いを提示し、それに答えさせることによって方向づけるやり方
(3)子どもの間違いを整理しながら方向づける:子どもの誤答が出たときに、なぜそういう誤答が出たのかをみんなで考えさせるというやり方
子どもが間違えたときや、先生の意図しないことを言ったときに、「違うよ。正しくはこうだよ」と無理に方向修正し正答を押しつけることは、子どもの学びのチャンスを奪うことになります。誤答に陥りやすいポイントを学級全体で解明することによって、より確かな理解が深まるのです。
この学びは、誤答が現れたからこそ可能となるので、誤答を示した子どもを認めることにもつながります。間違えた子も肯定できる点がとてもよい点です。子どもの間違いは宝の山だ、という捉え方は素晴らしいと思います。
(4)「そろえる」授業
授業のUD化に取り組まれている先生方は様々なテクニックをお持ちですが、中でも、この「そろえる」というテクニックが一番特徴的だと私は思います。
UD化に取り組まれている先生方は、子どものつぶやきや感動詞、「エッ?」「オッ!」といった言葉も必ず拾います。そういう瞬間こそ子どもの感情が動いているときなのです。そこですかさず「今、何考えたの?」と問いかけて、それを言語化させていきます。
このように子どもたちの理解をそろえて、多様な考え方を共有化していきます。そろえるということは子どもたちに「共通の何か」をつかませるということなのです。
例えばイメージを「そろえる」場合には、挿絵や写真、動画を見せたり(視覚化)、「動作化」といって登場する人や動物の動作をみんなで真似たり、役に分かれて劇化したりしながら内容理解を共有していきます。
授業UDでは、ペアでの話し合い活動をよく取り入れます。ADHDタイプの子などは、グループよりペアで話し合った方が思考を深められることがあります。友だちと話し合うと一人で考えるより多くの情報を習得できますが、グループ単位の話し合いでは情報量が多すぎるからです。
まず、全員を起立させてペアで話し合いをさせ、理解が深まったら、わかったペアから着席させていきます。
そのような小刻みな表現活動を使ってそろえるやり方の他には、「モデル発言」を使う方法もあります。一人の子が発言をしている場面で、先生がいったん止めるのです。
「ありがとう、まずそこまででストップしてくれる? じゃあみんな、○○さんが言いたかったことの続きはなんでしょう? ○○さんはこの後何と答えると思いますか?」
そう問いかけて、それぞれに考えさせるのです。
発言の続きを皆に考えさせてから、また本人に続きを発言してもらい、「どうでしたか? 合ってた?」という具合に補完させていきます。
他の人の意見をよく聞きなさい、と強いるのではなくて、他の人の意見に付け足したくなるようにして気持ちや理解をそろえていく、ということを「モデル発言」を使って行っているのです。
またある先生は、冒頭からクラスの子どもたちの意識をそろえていくのですが、その時、場合に応じて二通りのやり方をしています。絶対誰にも解けないような難しい問題をわざと出して、「ええっ? そんなの無理だよ!」と言わせ、みんながまったくわからないという出発点から始める方法と、逆に、すごく簡単な問題、全員が答えられるような基本的なことを問いかけて、みんなが知っているところにスタートラインをそろえる、という方法です。
(5)「わかった」と実感させる授業
授業のUD化に取り組んでおられる先生方は、工夫された授業に「ワクワク感」「ドキドキ感」「皆でできた感」をプラスすることに力を注いでいます。
授業の最後に、子どもたちに「達成感」や「満足感」を与えること、これが5つめのテクニックになります。
とくに、授業の最初の頃にはまっすぐ手を挙げられなかった自信なげな子や、不安そうにしていた子に、「できた」と感じさせるところを到達点としています。ただスタイルを取り入れるだけではUD化とは言えないのです。
授業のUD化に取り組んでいる先生は、これを覚えなさいとか、こうしなさいという押しつけをしていません。そうすることで、子どもたちも自分たちの発言で授業が進んでいると感じられ、他人の意見もよく聞いてくれるようになり、そのうち「○○さんの言いたいことはこうだと思います」というように他者の考えを考えられるようになっていきます。
課題の解き方を見つけた子に説明をさせたり、どうしてそう考えたのかを他の子が想像したりすることで、クラス全員が考える活動に参加できます。そのときに「わかった感」や、発見する楽しさや喜びを共有できるようにしていきます。これは「すっきり感の共有化」と呼ばれています。
さて、これらのテクニックを実践するにあたって、常に考慮すべき重要なことがあります。それは、「楽しい授業」「いい授業」「わかる授業」は、とくに個性豊かな子どもたちにとっては、かなりベクトルが違うものだという認識を持つことです。
たとえば、子どもの中にはドキドキするような演出に興味を持つ子もいれば、そういうことが苦手な子もいます。注意機能に課題のある子の中には、やることが分かってしまった途端に飽きてしまう子がいます。そんな子は、サプライズがたくさんある、先が読めないワクワク感によって集中を持続させることができます。
一方、不安が高い子の多くは、ルーティン化された授業の流れに安心するので、視覚的なカードで授業全体の見通しを持たせることなどが非常に効果的になってきます。
ですから先生は、子どもの理解度、気になる子の特性、学級の雰囲気など、目の前の子どもたちのカラーによってUD化のイメージを焦点化することを求められます。それは非常に難しい技であると言えるでしょう。
阿部利彦
(星槎大学大学院)
● 連載:視覚認知発達検査とビジョンセラピーの実際
第3回 視覚情報処理 - 百聞は一見にしかず? 見えてもわからない子供がいる
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視覚認知発達検査の中で、当センターで評価する情報処理の部分についてお話しします。
目から鮮明に入った情報は頭の中で処理されます。形、大きさ、長さや向きなどの視知覚情報と、これまでの記憶、感覚を駆使してその形を想起する視覚認知力をここでは評価します。
最近は読み書きを苦手とされるお子さんが大変多くなりました。眼球運動やディコーディング、協調運動や書字表出を確認する項目なども併せて精査します。
1 DEM(Test of Developmental Eye Movement for reading ) *1
読書時の眼球運動発達検査資料1
※資料1 DSMの一部イメージ (画像はこちら>>)
練習課題を除く3枚から構成されたこの検査は数呼称を評価するTestA、Bと、数呼称および眼球運動を評価するTestCから成ります。type1問題なし、type2眼球運動の問題、type3言語性処理の問題、type4言語性、眼球運動の二つが重複し、さらに知的関与が考えられるタイプの、この4つのタイプに分類し評価します。
眼科での検査で視力や眼球運動といった入力分に問題がなかったのに、この読みの検査において文字の重読や、行飛ばしなどのエラーが出るタイプや明らかに読みの流暢性が下がるいわゆる音読の苦手なタイプはここで評価され、その結果から基本的な眼球運動とは別のトレーニングへとつなげていきます。
このDEM検査は純粋に眼球運動を測定するため、数字で構成されています。縦に整列したTestA,Bは言語処理速度を確認し、横並びにばらばらに配置されたTestCを読書時の眼球運動評価にあてていますが、これは英語圏の読みの文化がアルファベットを使用した横並びであることに由来しています。しかし、日本語圏では、読書時のつまづきはまず、就学後の音読で評価されます。そのため、当センターでは従来の数字のかわりにひらがなを使い、それらを全て縦読みにし、流暢性とエラーを評価するDEM-RJ(*2 Akinori Yanada)※資料2を作成し、数字と日本語の二つの検査で評価しています。
※資料2 DEM-RJの一部イメージ (画像はこちら>>)
従来のDEMではあまり評価できなかった読み間違いのエラーを確認できるのは、複雑で、類似するひらがなを利用する日本語圏での使用は評価に値すると考えます。また、字詰まり効果により、読みにくさを訴える児童も多く、その場合は適したフォントサイズ、白黒反転なども併せ、MNREAD-Jを利用し、適宜確認します。
2 NCT-nf(Number Coping Test-near and far)近見、遠見視写検査(*3 Tomohito Okumura )
当センターを受診希望される方が増える中、最近一番多く見受けられるのは、板書写しの苦手さや教科書の文をノートに書き写すことに苦手さを訴えたり、他児童よりも時間がかかったりすることを主訴にされる方々です。板書写しなどには、手先巧緻性の他、手と目の協応やピントの切り替え、さらにワーキングメモリーなどが大きく関与します。眼科検査でピント調整に問題がみられなかったにも関わらず、遠く(黒板)を見てそれを近く(ノート)に書き写す際に苦手さがある場合、調節力以外の問題を考えなくてはなりません。他機関で実施された知能検査の結果や後に説明する視覚認知発達検査の下位検査「手と眼の協応」や視覚認知記憶課題の結果を勘案し評価していきます。
D君は日頃から板書の苦手さを訴えていました。眼科での調節力の検査や、他機関で実施した知能検査からもワーキングメモリーにも問題は見られませんでした。そこでD君に本検査を実施したところ、遠見、近見ともに処理速度の落ち込みが確認されました。その後、視線の移動と書字の練習を同時に行う支援ドリルの導入で書字のスピードと正確さは大きく向上し、日常的にも板書に対する抵抗感は少なくなり、処理速度にも大きな向上がみられたそうです。
この検査は2007年に大阪医科大LDセンターの奥村先生らが考案した検査で、現在一般に公開されています。検査実施に必要な検査シートは下記よりダウンロードが可能です。
※大阪医科大学LDセンター 各種検査用紙無料ダウンロード (詳細はこちら>>)
3 視知覚技能検査
視覚認知情報の取り入れを評価する検査です。通常運筆課題を評価する運動協応視知覚技能検査と運筆が関与しない非運動性視知覚技能検査を分け精査します。
検査は多岐にわたり、市販されている検査もたくさんあります。※資料3
※資料3 検査バッテリーのいろいろ (画像はこちら>>)
当センターでは主訴と年齢、その他の検査結果や背景疾患を勘案し、検査バッテリーを選択していきます。通常ですと10歳以下の児童にはDTVP-3を利用し、11歳から21歳までの方にはTVPS-4とDTVP-Aの両課題で評価することが多く、それ以上の成人の方にはDTVP-AとMVPT4を利用し、評価することが最も多いです。
3-1 運動協応視知覚技能検査
「手と眼の協応」、「模写」、「視覚探索処理速度」や「運動協応速度」を指します。10歳までの児童を評価するDTVP-3では、「手と眼の協応」と「模写」、それ以降のDTVP-A課題では「模写」と二つの処理速度課題が下位検査に含まれます。
この検査項目の変化には、小学校就学中の児童の書字の苦手さには上手に運筆ができなかったり、ゆっくり書かないと手先をコントロールすることが難しかったりするなど、手指操作や協調運動の問題が見られることが多く、「手と眼の協応」課題の落ち込みに繋がるケースが多くみられます。それ以上の年齢、特に中学生の場合は、上手に書くことは出来ることが当たり前となり、併せて”どれくらい速く処理できるか”が評価に加わります。
年齢により、評価の基準が変わることがお分かりでしょう。小学生の小中学年が訴える漢字の苦手さには模写も大きく関与します。目の前にある課題の模写ができないのに、複雑な漢字を覚えていることは大変難しいことは想像にかたくありません。運動協応視知覚技能課題の検査において、私たち検査員は検査のスコアのみではなく、当然の如く検査時の注意力、注意視点、鉛筆の把持、間違いの質も考慮し評価しその後のトレーニングを組み立てていきます。
※資料4は模写課題において最もよく現れる評価のポイントです。下位項目「模写」に苦手さが出たので、点つなぎ課題や空間関係のための練習課題を単純にとりいれたりせず、エラーの質を考慮し、トレーニングを組み立てていきます。また、検査時の「眼と手の協応」の評価では特に運筆、注視ポイント、速度によく注意して観察します。スコアが高くても、通常よりも時間がかかってしまうと、日常生活では他児童よりも時間がかかるようなデメリットにつながります。逆によく注意せずに課題を行うとはみ出す量も多くなり、失点につながります。
※資料4 模写にみられる特徴的な反応例 (画像はこちら>>)
3-2 非運動性視知覚技能検査
視知覚情報を取り入れる際に、基礎となる代表的な6課題を評価します。回答は指で答えを指してもらい採点していきます。
(1)識別
視知覚の基礎である同じ形と違う形を弁別する能力が問われます。この課題に苦手さがあると、複雑な漢字で本数の間違いがみられたり、線の長い短いなどの間違い、算数の図形の問題では5度以下の角度ではその違いが判断できなかったり、定規をつかった課題では1,2mmの誤差に気づかないことなどが挙げられます。
E君は似た文字を間違うことを主訴に眼科を受診しましたが、眼科の検査では両眼ともに視力や両眼視に問題はみられませんでした。しかし、この識別課題に苦手さが確認されたところ、保護者の方は「細かい違いの判断が難しい」という検査結果に疑問をもたれておりました。その後、半信半疑のまま弁別課題や見比べ課題、形の構成を把握させる為のビジョンセラピーを実施したところ、複雑な漢字のケアレスミスは大きく減少しました。さらに複雑な図形の処理ではいまだ苦手さが見られることから、現在学校では、図形課題にルーペを使い、定規は黒字に白字の見やすい定規をつかっています。さらに漢字は大きく提示してもらうなど、合理的配慮も併せて利用し、苦手さの軽減をはかっています。
(2)空間関係
一つの空間に模された一定の位置情報を別の同じ大きさの空間に移行させたり、全体を把握し、その違いを見出す際に必要な能力です。この課題に苦手さが確認される場合、日常生活の問題点として、お手本に書かれた漢字を見ながら同じ大きさのマス目に同じように書くことに困難をいだくことがあります。
(3)形の恒常性
形の構成をその形の"大きさ"、"向き"、"色合いや模様"が変わってもその形の本質を理解し、同じであると認知する力です。三角形が下を向いていても、または椅子が逆さまであっても、これは三角形である、椅子であると認識できるのはこの形の恒常性が備わっている必要があります。日常的には拡大縮小の概念のほか、フォントの種類やその大きさによって読みにくさを感じたりすることがあります。
F君は本を読むのが苦手です。読んでも集中して読まなければならないので、読書に時間がかかることを主訴に受診されました。眼科での検査で問題はみられなかったので、視覚認知検査を実施しました。検査の結果、全体的に苦手さがみられましたが、形の恒常性課題のみ落ち込みがみられました。セラピーの実施では向上は確認できませんでしたが、読みやすいフォントと大きさを設定し、読書効率は格段と向上したようです。
(4)視覚閉合力
形の情報の一部分が欠けていても元の形を想起できる能力です。この能力はイメージ構成力が大きく関与し、紙面の問題のみではなく、自身と周辺の視覚情報との関わりを感じることに苦手さを感じることも報告されています。さらに立体視やボディイメージに問題はなくても、よく人にぶつかったり、転んだりすることが報告されています。これらはあとどれくらいで接触するという感覚が実際はみえないであろう距離をイメージすることを補うことが欠如していることに由来している為と考えます。
(5)図と地
たくさんの視覚情報、雑多な情報の中から必要な情報だけを選択弁別する力です。探し物や複数の形などを弁別するときに必要です。視覚情報に対する選択的注意力が大きく関与し、日常生活では探し物の苦手さ、人混みの中で待ち合わせている人を探せない、長文問題の中で必要な箇所を瞬時に発見できない、さらに部屋などを片付けることに苦手さを感じることが報告されています。
G君は片付けや探しものの苦手さを主訴に眼科受診されました。眼科での検査や他機関で実施された知能検査の結果に大きな問題はみられませんでした。視覚認知検査の結果でも全体的には大きな問題はみられなかったものの、図と地課題に極端な落ち込みが確認されました。Hidden Picturesなどの課題を取り入れセラピーを実施しましたが、自他ともに大きな向上は認めませんでした。その後、注意持続の問題点などを主訴に小児神経科を受診されたところ、AD/HDと診断されました。その結果を踏まえ、視覚選択を補うためにコントラストの高い色付きのフィルターを読書面にあてたところ、劇的に読みやすくなったようです。現在は度なしの眼鏡に色を入れた遮光レンズを読書時に装用しているようです。
このように、図と地に弱さを訴える方の多くに、背景と視標のコントラストを高めることで読みやすさが向上するケースがあります。ビジョンセラピーはトレーニングのみではなく、このように日常生活で感じる、見ることに対する苦手さを軽減させることも重要な支援です。
(6)視覚記憶課題
単一の課題の記憶と並んでいる課題の順番を覚える課題の二つをそれぞれ評価します。
(6)-1 単一複雑図形記憶
形の情報を写真のようにそのまま取り入れる能力です。この能力に苦手さがあると、通常の生活のなかで、刻一刻と変化し続ける出来事や状況をうまく関係つけることが困難な場合があります。また、作業や学習のなかで、「あれ、なんだったっけ。」となんども認識し直さなければならなかったり、あるいは、よいと判断して、一生懸命に行っていることが勘違いだったりすることが多々あります。
(6)-2 連続単純図形記憶課題
○や△×など、言語化できるような単純な形を並べ、その並び順を記憶してもらう課題です。この課題に弱さを持つ場合、単語のスペルを覚えることに苦手さを感じることが報告されています。全部で9個の視覚図形を記憶するこの課題ですが、単独であるよりもその並びに意味や関連を持たせて覚えることで覚えやすいという子供も多く見られます。
この視覚記憶課題は新出漢字を記憶する際にもとても重要な力です。例えば単一図形課題の記憶が高ければ、複雑な漢字の記憶に大きな問題を抱えることは少なくありません。しかし、単一図形記憶課題に苦手さがあり、連続図形記憶に強さが見られるような場合、ただ単に何度も書いて覚えるより、形の成り立ちを映像記憶として取り入れたり、語呂合わせで覚えたりするなど、このようなこれまで適切だと思える指導以外の方法がより効率的な場合があり、その指導の取り入れで、持ち前の能力を十分に発揮することができるでしょう。
外界からの情報のおおよそ80%は視覚からの情報であることは前述しました。さらに、脳の全体活動の44%はこの視覚情報を処理することに使われているようです。視覚情報の処理が苦手な児童らは、この44%以上を視覚情報の処理に費やさなければならず、日常的にも多大な労力を費やしています。学習においても視覚認知は大変重要な認知能力であり、この苦手さはそのまま学習の苦手さに反映するということが容易にイメージできるでしょう。
References
※1 DEM BERNELL社開発 (詳細はこちら>>)
※2 遠見近見視写検査 奥村智仁ら LD研究 16(3), 323-331, 2007-11
※3 日本語版眼球運動発達検査 簗田明教ら JPLD 24th 2015 研究発表 PE14
簗田明教
(かわばた眼科 視覚発達支援センター代表)
● あとがき
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3月17日(日)に、神戸市北区しあわせの村で開催される、こうべユニバーサルデザインフェアに、レデックスが出展します。フェアでは、困りを支援する機器展示の他に、ステージでのショーや参加型パフォーマンスなどが行われます。本メルマガ編集長の五藤が出向きますので、お時間のとれる方はご来訪くだされば幸いです。
当日は、4月に公開予定の、感覚の困りと不器用さを発見するアセスメントシステムを先行発表し、体験もしていただけます。(詳細はこちら>>)
次回メルマガは、3月22日(金)です。
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2019.03.08
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