9月29日から10月1日まで東京ビッグサイトで国際福祉機器展が開催されます。16か国から490社が出展。展示される福祉機器の数は、20,000点。来訪者も国内外から11万人以上というイベントです。障がい児のための機器を総合展示する子ども広場では療育相談や福祉機器の相談コーナーも設置されます。障がいのある方のためのコミュニケーションコーナーでは、携帯電話、電子ブック、専用機器を使ったコミュニケーション手段が紹介されます。
http://www.hcr.or.jp/exhibition/index.html
10月1日(金)午後3時30分からは、ワークショップで、国立成育医療研究センターの橋本圭司・医師の講演「発達障害児の高次脳機能改善を支援するタッチパネル」があります。お時間のとれる方はご参加ください。
では、今月号のメルマガをご覧ください。
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【目次】
(1)認知障がいの子どもの親の会・1
(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」4
(3)おすすめコンテンツ「はじめての特別支援教育」
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(1)認知障がいの子どもの親の会・1
さまざまな認知障がいの子どもに関連する会をご紹介します。当事者の会もありますが、ここでは親の会を主に紹介します。地域ごとに、あるいは全国レベルの会もたくさんあります。それらの中から知っておいていただくのがよいと思うものを、シリーズで紹介させていただきます。
●日本障害フォーラム
この団体は障がい者関連団体のネットワークです。当事者関連の団体が多いですが、知的障がいなど親の会もあります。主な障がいの中心となる団体が参加していることで、大きな影響力のある団体です。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/JDF.html
障がい者制度改革が話題になり、内閣府は「障がい者制度改革推進会議」を設けて議論がなされています。同会議の議長は、本団体の代表、小川榮一氏が務めていて、公的にも肢体不自由、盲、聾、知的障がい、精神障がい等、障がい者全体の意見を代弁する団体と認められているようです。
ただし、新しく認められるようになりつつある発達障がい関係の団体は所属していません。それらの団体は、発達障がい関連の団体だけで別の団体連合(ネットワーク)をつくっています。それらについては次号で紹介します。
以下は筆者の私見です。少数の難病は別にして発達障がい以外は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などが整備され、一定の福祉支援が受けられます。これらの支援をさらに厚くすることと、新たな福祉支援を追加することは、厚生労働省関連及び文部科学省関連の同じ予算枠の中で行われますので、ある意味で利益が相反する場面があると思われます。ホットなテーマのインクルーシブ教育では、肢体不自由の人のために校舎を改造する費用か、増え続けている発達障がい児に対応するために特別支援学級及び支援員の増員の費用かのどちらを優先するのか、という問題です。
これも筆者の感想ですが、文部科学省は現在、発達障がい児の対策を優先して解決しようとしているように思います。発達障がい児への対応は、通常児の学習への取り組みを向上させることにつながることもその要因のひとつと思います。他方、特別支援学校という制度で隔離された形になっている肢体不自由や盲、聾、知的障がい等の子どもについては現状で、ある程度対応ができているという判断だろうと思います。今年中に、障がい者制度改革の方向性が決められることになっています。どのようなものになるのか、注意して見守りたいと思います。
●社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
この団体は、47都道府県にある手をつなぐ育成会の連合組織です。知的障がいの子どもの保護者が手をつなぎ、子どもたちのための施策の充実を呼び掛けるのが目的です。
http://www.ikuseikai-japan.jp/
会員は、正会員・賛助会員合わせて29万人。うち親・保護者が12万人です。国や自治体に、知的障がい者への福祉制度の充実を働きかけたり、広報をするといった活動を中心に行っています。また、それらの活動を支える人の育成セミナーや知的障がい者の権利を知るセミナー、就労のための小規模事業所作成セミナーなども行っています。
http://www.ikuseikai-japan.jp/seminar/seminar01.html
前述の日本障害フォーラムの加盟団体でもあり、内閣府の「障がい者制度改革推進会議」にも委員を出しています。知的障がい者の権利を守ろうとする団体と理解していただくのが適当と思います。
なお、広汎性発達障がいや自閉症など発達障がい児でも、一定の知能指数以下の人は療育手帳の対象になります。ですから、この団体にはそれらの保護者も会員として含まれていることになります。
関連情報です。自治体によって療育手帳を発行する知能指数が70のところと75のところがあることが分かり、総務省から厚生労働省に対して改善を呼びかけるという事態になっています。
http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010091301000597.html
次のページには、3種類の手帳と発達障がい者に手帳がないことが解説されています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000081476.pdf
●全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会(略称:全知P連)
特別支援学校の中で、知的障がい児を対象としている学校の保護者と教師等で構成される団体です。学校と関わる問題に関連している活動に特化している点、会員に教師等が含まれている点が前述の団体と異なります。
http://www.zenchipren.jp/index.html
毎年1回、全国大会が各地で開かれています。今年は富山県で開かれ、600名が参加しました。文部科学省、厚生労働省の調査官も全期間を通して参加し学校のこと、就労のことなどを活発に議論しました。
全国大会に参加して分かったことは、地域によって参加するところ、しないところが分かれているところです。愛知県では東の三河エリアでは豊田市、豊川市、安城市、三好町などが参加しているのに対し、西の尾張エリアでは一宮市、春日井市が参加しているのみです。同会の理事の方に聞いたところ会の存在を知らない地域がまだ多く、どのように啓蒙するかが大きな課題の一つとのことでした。
公式ページで適当なものが見つかりませんでしたが、以下の参加者のブログが詳しく報告されており、参考になります。
真也ママのブログ
http://sinyano1.blog.shinobi.jp/Entry/29/
特別支援学校のことを知ろうと思われる方には、学校からの説明に加えて、この会の関係者に接して、保護者の立場からの情報を得ることは有用と思いました。
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(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」4
<これまでのあらすじ>
小学校1年からずっと教室に入れず、休み休みながら保健室への登校を続けてきたA子。A子は中学校に入学し、なんとか教室登校からスタートしました。しかし、時折、遅刻や欠席をするようになり、遅刻せずに登校できるように面接を開始することになりました。
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放課後の面接予定時間、A子はいつもぴったりの時間に現れました。入室する際には無言で入ってきます。私から「時間通りにきたね」と声をかけると少しうなずいて応えてくれます。「じゃあ、まずは生活リズムのチェックね」と昨日の夕食内容、就寝時間、今朝の起床時間、朝食内容を聞き取ります。この質問は通常会話が苦手なA子が応えやすい具体的な質問であり、生活リズムや食事内容に意識を高めること、私とのコミュニケーションがスムーズに進むことを目的にしています。
この会話で少し慣れたところで、「朝の身支度について順番に教えてくれますか?」とまずは朝の状況を聞きだしました。順番に話を聞いて整理していくと、時間がかかりネックになっているのは髪を整えることでした。A子と話し合っていっしょに考えた結果、髪を後ろでシュシュなどで束ねることになりました。この方法を始めてA子の遅刻は、ほぼ無くなりました。しかしA子にとって教室は、騒がしく叫ぶ人、規則を守らない人など許せない人がたくさんいます。気持ちがいつもざわめいて落ち着けない場所なのでした。
A子とは引き続き、注意力や持続力を高めて、周りの状況に対応する能力の向上をめざすことになりました。そこで活用したのが初回面接の導入にも活用した「こども脳機能バランサー」というパソコンの訓練ソフトです。導入時には、ゲーム感覚で子どもが興味を持てるコンテンツ内容です。対象年齢は、2歳からとなっていますが、課題は年齢に関係なく実際に大人が挑戦しても、ゆっくり考えないとうっかりミスが出る程に内容がよく吟味されています。中学生なら誰でもできそうな課題の水準であり、慌てずに考えることを体験する中で、「できた!感」を体験するために活用しました。難しい講釈より、A子などの子ども達が積極的に「やらせてよ!」と言って自分から取り組んでくれることが、このソフトを活用し始めた理由です。
このソフトを有効的に活用するために、子どものそばでいっしょにパソコン画面を見ながら、時々子どもに話しかけています。「今の問題、よくできたね!」「この問題は難しそうだね」「やった!できたね」などと。子ども達も、少しうれしそうに、少し得意気に「できた!」「簡単よ」「軽い軽い」などと話してくれます。私の担当する、別の高機能自閉症の子どもとも、このソフトを介して会話が成立するので、コミュニケーションの重要なツールとして活用しています。
教室でのA子は、1学期をなんとか乗り切ったものの、夏休み明けの2学期からは教室に入ることができなくなり、学校を休む日が多くなりました。その中でも面接に合わせて、なんとか登校してくる日が続いていました。
次回はA子が校内の別室(ふれあい教室)に、登校を始めた様子と、本人自身の取り組みを紹介してゆきます。
(文責:maya)
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(3)おすすめコンテンツ「はじめての特別支援教育」
副題が「教職を目指す大学生のために」となっていますが、お子さんのことが気になるようになった人には一読を進めたい本です。
特徴はいくつもありますが、もっとも重視すべきは、4名の編集者が、多岐に渡る章立てのそれぞれの執筆者として、心理学等の専門家であると同時に、学校教育の実情に精通している人を選んでいる点です。また、特定の大学に限らず、北海道から九州まで、地理的な分布を考慮して18名の執筆者を選んでいる点も、本書が優れたものになった要因と思います。その結果、子どもたちを取り巻く実際の環境についてバランスよく解説され、いろいろな問題への解決方法についても、偏りなく、考えられる選択肢が紹介されているように思います。
章立ては以下となります。
第1部
第1章 理念と基本的な考え
第2章 教育の歴史と現行制度
第3章 支援システムの構築と法的整備
第4章 特別支援教育コーディネーター
第5章 個別の指導計画と個別の教育支援計画
第2部
第6章 学習障害・注意欠陥多動性障害の理解と指導・支援
第7章 自閉症・情緒障害の理解と指導・支援
第8章 知的障害の理解と指導・支援
第9章 肢体不自由・病弱・身体虚弱・重複障害の理解と指導・支援
第10章 視覚障害・聴覚障害・言語障害の理解と指導・支援
第11章 その他の多様な状態を併せもつ子どもの理解と指導・支援
第3部
第12章 保護者との連携
第13章 専門機関や地域との連携
第14章 早期発見・早期支援と連携
第15章 進学支援・就労支援と連携
それぞれの章末には、各事項についてさらに深く学びたい人のために、執筆者が選んだ学習文献が記載されています。
日本の障がい者支援の整備状況や関連する法律、2006年の学校教育法の改訂で導入され子どもたちの発達支援のベースとなる個別指導計画、才能のある子どもたちや不登校・いじめへの対応など、知っておきたい項目が網羅されており、一読を勧めたい良書です。
柘植雅義、渡部匡隆、二宮信一、納富恵子、編集
有斐閣 B6版、290ページ 定価1900円(税別)
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メルマガをお読みいただき、ありがとうございました。
国際福祉機器展には、本メルマガ執筆者の五藤が3日間とも待機しています。
皆さんからお声をかけていただけるのを楽しみにしております。
次号は、10月8日(金)の刊行予定です。
認知障がいの子どもの親の会
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