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■□ 謹賀新春 ■□--------------------------
新しい春を迎えることができました。
■ 謹賀新春
■□ 新連載:特別支援学校(知的障害部門)における特別支援教育コーディネーターの業務と連携について
■□■ 新連載:特別支援教育から考えるAIとの付き合い方
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■□■ 新連載:特別支援教育から考えるAIとの付き合い方
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■□ 謹賀新春 ■□--------------------------
新しい春を迎えることができました。
今年1年が読者の皆さま、ご関係の皆さまにとってよいお年になりますことを祈念します。
さて、今年は新しい連載を2つスタートします。
ひとつ目は、特別支援教育から考えるAIとの付き合い方についてです。
寄稿者の山崎智仁先生から全13回の連載について、詳しい説明を寄せていただいております。後述、本文の前に記載させていただきます。
※山崎先生の崎は、立が入った漢字が正しいですが環境依存文字のため多く使われる漢字で記載させていただきます。
もう一つは、特別支援学校(知的障害部門)における特別支援教育コーディネーターの業務と連携についてで、お二人で3回の連載をしてくださいます。おひとりは都立特別支援学校の特別支援教育コーディネーター、山本昇平先生、もうひとりは、以前に当メルマガに2回の連載をしてくださった柳下記子(やぎしたのりこ)先生です。
※柳下先生の連載1 ペアレント・トレーニングの活かし方
※柳下先生の連載2 気になる行動の捉え方
柳下先生から今回の連載についてメッセージをお送りくださいましたので、以下に記載させていただきます。
〇柳下先生からのメッセージ
今年度から特別支援学校のスクールカウンセラー(以下SC)として学校に入り、改めて子どもを学校全体で支える体制づくりの大切さを痛感しました。
SCとして子どもを支えるチームの一員として関わり、支援が円滑に進められるのは、校内の支援を「つなぐ・整える・動かす」中核的存在である特別支援教育コーディネーターの先生方がいてくださるからだと感じています。
特別支援教育コーディネーターは、校内のチーム支援を推進する役割として、担任が一人で抱え込まないための調整を行い、SC・OT・ST・医療等の多職種との連携窓口を担っています。
また、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターは、自校の支援調整に加え、地域の小・中学校・高等学校等と連携しながら、特別支援教育がスムーズに進むよう支援体制を整える役割も担っています。校内の困りごとだけでなく、学校間のつながりや支援の引き継ぎを調整し、通常の学級でも取り入れやすい支援方法や合理的配慮を、現場の先生方と一緒に考える立場です。
次回からは、特別支援教育コーディネーターの山本昇平先生に、「一緒に考える窓口」として、地域全体で子どもを支えるための橋渡しをされている様子を、全3回にわたって連載していただきます。
最終回では、SCの立場から山本先生に質問をさせていただく予定です。どうぞお楽しみに。
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■ 新連載:特別支援学校(知的障害部門)における特別支援教育コーディネーターの業務と連携について第1回 特別支援学校(知的障害部門)における特別支援教育コーディネーターの役割
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幼稚園、小学校、中学校、高等学校等の特別支援教育コーディネーター(以下「コーディネーター」)には、校内委員会の運営、学級担任への支援、学校内外の関係者・関係機関との連携、保護者の相談窓口など、多岐にわたる役割があります。特別支援学校においては、それに加えてセンター的機能の発揮として、近隣の幼稚園、小学校、中学校、高等学校等への支援、近隣住民などへの理解推進・啓発、特別支援教育の推進等が求められています。
幼稚園、小学校、中学校、高等学校等の特別支援教育コーディネーター(以下「コーディネーター」)には、校内委員会の運営、学級担任への支援、学校内外の関係者・関係機関との連携、保護者の相談窓口など、多岐にわたる役割があります。特別支援学校においては、それに加えてセンター的機能の発揮として、近隣の幼稚園、小学校、中学校、高等学校等への支援、近隣住民などへの理解推進・啓発、特別支援教育の推進等が求められています。
昨今は特別支援教育の必要性、重要性の認識が広がってきたように感じますが、小・中・高等学校等に在籍する児童・生徒本人や保護者、教師は、どこにどのような相談をすればよいのか、突き詰めて言えば、何を相談すればよいのか、分からないことも多いのではないでしょうか。
特別支援学校のコーディネーターは所属校の資源や地域の福祉資源の情報に非常に精通しています。今回はコーディネーターと有効に連携していただくべく、お話をさせていただきます。
1 「困りごと」に焦点を当てる
児童・生徒本人であれば「周囲が何を言っているのかわからない」「なぜ怒られたのかわからない」、保護者であれば「うちの子がこんな時にこんな言動をしてしまい、困っている」、教師であれば「あの子のこんな行動が気になる」など、それぞれの立場からの「困りごと」というものがあるかと思います。この「困りごと」を聞き取ること、すなわち「情報の収集」がコーディネーターにとって重要な業務です。
保護者からの困りごとは相談窓口として、教師からの困りごとはケース相談や立ち話、校内委員会などで困りごとの情報を得ることができます。しかし、児童・生徒本人はどうでしょうか。コーディネーターに直接話すことは少ないかもしれません。まず、担任や部活動の顧問・外部指導員、スクールカウンセラー、保護者、友達など、自分の信頼している人に相談することが多いでしょう。本人からの相談を、まずは校内支援チームの窓口であるにコーディネーターにも伝え、必要に応じて面談をしたり、電話やメールをしたりするなど、各校で定められた方法で相談していただくことで、支援方法の模索が始まっていきます。
2 「情報の整理と可視化」をする
困りごとの情報を様々な方向から収集、共有ができたら、次はその情報の整理をします。その時に、ポイントになるのは「困りごとの可視化」であると考えます。その際に、「困っている言動、内容」を中心に据え、行動の背景は何なのか、教師として何をするべきか、関係機関との連携が必要な場合はどこと連携するのか、そういったことを図などの周囲に追記し、可視化していきます。
情報の整理をしながら検討を進めることで、「いつ」「どこへ」「だれが」「どのようなことを」「どのように」「相談・連携する」というアクションが明確になり、支援の方向性が見えてきます。この整理された情報を基に、関係機関との連携につなげていくことが期待できます。
3 関係機関との連携を考える
コーディネーターとして最も大切な仕事の一つとして、「連携」があります。「連携」というと難しく思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、要はつながりをもつということです。前述の1・2を行うことにより、困りごとの情報の整理・可視化ができました。その困りごとに対し、校内で支援していくことと、外部機関につなぐことを分けると分かりやすくなります。
校内の主な支援者は、スクールカウンセラー(以下「SC」という)やスクールソーシャルワーカー(以下「SSW」という)、特別支援教育心理士など、自治体によって配置が異なります。SCは心の問題にアプローチする専門家で、SSWは家庭支援の専門家です。状況、ケースによっては、管理職から教育委員会に、必要な支援を要請することも可能です。
また、教育、福祉、医療などの外部機関へつなぐことも考えられます。各自治体の障害福祉を担当している課や係、子ども家庭支援センター、児童相談所などとの連携は非常に重要となります。医療面での支援が必要な場合は、主治医・かかりつけ医などの医療機関や保健所との連携が必要になってくることもあります(医療機関によっては、医療ソーシャルワーカーを配置しているところもあります)。
「困りごと」に対して、適切な場所に「つなぐ」というのがコーディネーターの最大の業務です。公的機関が行っている介護給付のサービスや訓練等給付のサービス以外にも、居住の地域には様々な資源や支援があります。自治体によって違いはありますが、民間で行っているものとして、不登校支援をはじめ、ヤングケアラー支援、引きこもり支援などが代表的なものでしょうか。この「支援の情報」と「困りごとの情報」をコーディネーターがうまくマッチングさせることで、児童・生徒本人、保護者、教師の「困りごと」を少しでも軽減ができると考えています。
一人で抱え込むことなく、コーディネーターや周囲の支援者とともに、様々な支援を活用しながら、「困りごと」にアプローチできるように「連携」を深めていけると、今よりも少し、生徒指導に見通しがもてるようになるかもしれません。
4 最後に
今回のお話は、コーディネーターという役割や活用、連携の流れをお話しさせていただきました。次回は関係機関にはどのような支援が期待できるのか、お話しできればと思います。皆様がくらしに向かう元気の一助になれば幸いです。ありがとうございました。
◇山本 昇平
都立特別支援学校 主任教諭
特別支援教育専任コーディネーター
東京都特別支援学校・特別支援学級設置学校体育連盟役員
全国高等学校定時制通信制軟式野球連盟役員
第1回 特別支援教育とAI
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■ 新連載:特別支援教育から考えるAIとの付き合い方第1回 特別支援教育とAI
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〇著者からのメッセージ
〇著者からのメッセージ
本連載は、生成AIをはじめとするAI技術が社会や教育の中にすでに組み込まれつつある現代において、特別支援教育の視点から、AIとどのように向き合い、判断していくべきかを整理・検討することを目的としています。
現代社会では、AIを「使うか/使わないか」を選択する以前に、意図せずともAIと接点をもつ状況が生じています。特別支援教育においては、こうした現実を踏まえたうえで、AIを前提とした時代に、子ども・教員・学校がどのような姿勢で関わるべきかを考える必要があります。
本連載は、AI活用の推進や導入を一方的に勧める立場に立つものではありません。一方で、AIがもたらしうる新たな学びの可能性や支援の選択肢にも目を向けながら、現代において避けて通れない課題としてAIを捉えます。あわせて、実証研究として検討してきた取り組みと、AIの特性と障害特性を踏まえて筆者が発想した試行的・想像的な活用アイデアの双方を紹介し、読者の皆さまとともに考える材料を提示することを重視します。
【連載の基本スタンス】
・AIの活用や導入を一律に推奨することを目的としません
・すでにAIが存在する社会・教育環境を前提に議論します
・課題や難しさだけでなく、可能性や前向きな展望も含めて扱います
・教師や支援者が安心して判断するための視点を提供します
【著者について】
著者は、特別支援学校教員としての実践経験を有し、現在は大学において特別支援教育およびICT・生成AIを含む教育支援に関する研究・教育に従事している。知的障害のある子どもを中心とした教育実践・研究を積み重ねる中で、AIを万能な解決策としてではなく、支援ツールの一つとして位置づけ、その活用や影響を慎重に検討してきた。
■第1回 特別支援教育とAI
2022年11月にOpenAIがChatGPTを一般公開して以降、社会の変化は驚くほど速く進んでいます。今では、AIの話題を耳にしない日は一日もないと言ってよい状況です。ニュースやSNSはもちろん、職場や家庭での何気ない会話の中でも、「AI」という言葉が特別なものではなくなってきました。こうした変化を前に、教育、とりわけ特別支援教育に携わる方の中には、AIをどのように捉えればよいのか、戸惑いや迷いを感じている方も多いのではないでしょうか。
「便利そうだとは思うけれど、本当に教育に使ってよいのだろうか」
「教師の役割がAIに取って代わられてしまうのではないだろうか」
「AIに頼りすぎて、考えることができない子どもに育ってしまうのではないか」
学校現場では、そうした不安や疑問の声を耳にする機会が、確実に増えてきています。
一方で、AIは、コミュニケーションや余暇活動といった日常的な活動の場面だけでなく、不安が高まったときの関わりにおいても、障害のある子どもを支援するツールとして大きな可能性をもっています。障害を個人の問題として捉えるのではなく、社会や環境との関係の中で捉える、いわゆる「社会モデル」の視点に立ったとき、AIは環境調整の一つとして機能し得る存在だと考えられます。
先日、私自身が初めて訪れる土地でバスに乗る機会がありました。ところが、定刻になってもバスは一向に来ず、強い不安を感じました。地方ではバスが1時間に1本ということも珍しくなく、乗り遅れれば遅刻は避けられません。タクシーを使うべきかどうか判断もつかず、気持ちは焦るばかりでした。結局、バスは遅延していただけだったのですが、地方ではこうした状況が決して特別なことではありません。
では、皆さんが関わっているお子さんが、将来、就労先へ向かう途中で同じ状況に置かれたらどうでしょうか。バスが待てど暮らせど来ない。どうすればよいか分からない。就労先や自宅に電話をしようとしても、必ず誰かが出てくれるとは限りません。見通しがもてない状況は、それだけで大きな不安につながります。
こうした場面で、もしAIに相談できたらどうでしょうか。試しにこの状況を想定してChatGPTに相談してみたところ、
(1) バスは遅延することがあるため、まずは5分待ってみること
(2) 周囲に人がいれば、状況を尋ねてみること
(3) うまく話せるか不安な場合は、スマートフォンの画面を見せて伝えられるよう、簡単な文章をAIが作成する
といった提案が示されました。一人で「どうしよう」と悩み続けるよりも、状況を整理し、次に取り得る行動が見えるだけで、気持ちはかなり楽になるのではないでしょうか。
確かに、この場面でAIは問題を直接的に解決しているわけではありません。しかし、不安が高まったときに状況を整理し、見通しをもつための支えになるという点において、一定の役割を果たしていると感じました。
今後、AIがリアルタイムで遅延情報を検索したり、状況に応じて代替手段を提示したり、場合によってはタクシーの手配まで含めて支援するようになる可能性も考えられます。ただし、そうした機能の充実そのものが重要なのではなく、「どうすればよいか分からない」という状態に置かれたときに、一人で抱え込まずに済む環境があることが、当事者にとって大きな意味をもつのではないでしょうか。
こうしたAIの可能性に対する期待と慎重さが入り混じる中で、実際の教育現場ではどのような状況にあるのでしょうか。
筆者が2024年に実施した調査(山崎・齋藤・水内,2025)では、全国の知的障害特別支援学校のうち、およそ1割程度が、すでにAIを活用した教育を行っていると回答しました。さらに、「今後活用を予定している」といった旨の回答をした学校を含めると、全体の約4割が、将来的なAI活用を視野に入れているという結果でもありました。
この結果だけを見ると、確かにIT産業や医療分野など、他の分野と比べ、特別支援学校におけるAI活用はまだまだ進んでいないように感じられるかもしれません。しかし、ここで、これまでの特別支援教育におけるICT活用について振り返ってもらいたいのです。
初代iPadが発売されたのは2010年のことでした。今では、教室にタブレット端末があること自体は珍しくありませんが、筆者が特別支援学校の教員として教室でiPadを使い始めたのは2015年頃です。当時は、教室にiPadを持ち込むことそのものに賛否があり、「遊びになってしまうのではないか」「本当に学習に必要なのか」「高価な物が壊れるのではないか」といった議論が交わされていました。学校によっては、タブレット端末の持ち込み自体が禁止されていたケースもあります。その後、2019年よりGIGAスクール構想が本格的に進められ、現在では1人1台端末が当たり前のように教室に存在するようになりました。しかし、iPadが登場してから教育現場に広く普及するまでには、約9年の時間を要しています。また、導入が進んだものの、自治体や学校によって活用内容にはばらつきがあり、子どもが落ち着くためのYouTube専用機になっているという話も、いまだ聞こえてきます。
そう考えると、ChatGPTが一般公開されてからわずか2年あまりの時点で、約4割の特別支援学校がAI活用を視野に入れているという結果は、特別支援教育の文脈を踏まえれば、決して遅い歩みではないとも言えるのではないでしょうか。もちろん、その背景には、GIGAスクール構想などを通して、ICT活用の基盤が少しずつ整えられてきたことがあるのは言うまでもありません。一方で、子どもたちの自立や社会参加に向けて、AIが何らかの形で支援ツールの一つになり得るのではないかと可能性を感じ、活用している先生も多いのではないでしょうか。
本連載では、特別支援教育の現場におけるAI活用について、「使うべきか、使わないべきか」といった単純な二項対立で語るのではなく、どのような場面で、どのように活用することが子どもや教師にとって意味をもつのかを、実践例や身近なエピソードを交えながら考えていきたいと思います。また、AIやICTに苦手意識をもっている方にも、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと考えています。この連載が、AIとの付き合い方を考えるための小さなヒントとなれば幸いです。
【引用文献】
山崎智仁・齋藤大地・水内豊和(2025)知的障害特別支援学校におけるAI活用に関する全国調査,日本LD学会第8回研究集会(沖縄),発表論文集.
◇山﨑 智仁
山口県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 講師。臨床発達心理士。
特別支援教育を専門とし、知的障害のある子どもを中心に、ICTや生成AIを活用した教育支援の実践・研究に取り組んでいる。
特別支援学校教員としての勤務経験を経て現職。
近年は、AI時代における教師の専門性や倫理的配慮を踏まえた支援の在り方について検討を重ねている。
■□ あとがき ■□--------------------------
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