療育に特化した施設運営システム-HUG- 発達障害と依存症が併存する成人への対応

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2025.01.24

療育に特化した施設運営システム-HUG- 発達障害と依存症が併存する成人への対応

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■    まえがき
■□   新連載:療育に特化した施設運営システム-HUG-
■□■  連載:発達障害と依存症が併存する成人への対応(最終回)
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■□ まえがき ■□--------------------------
困りをもった子どもたちが、放課後や学校休業日に過ごす場所としてつくられた放課後等デイサービス(放デイ)と児童発達支援(児発)。都道府県ごとに差もありますが全国でそれらの数は毎年増え続けています。

放デイや児発がどんなサービスかについては、動画でご紹介してきました。

レデックスチャンネル「こどもの福祉サービス」

それらの運営には対家庭、対自治体をはじめとしてたくさんの手続きが必要となり、それらを管理するためにいろいろな電子システムが開発され、提供されています。おそらく日本でもっとも多数の施設で使われているのが、株式会社ネットアーツが提供するHUG(はぐ)で、今回からその機能について、連載で解説してもらおうと思います。
 
 
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■ 連載:療育に特化した施設運営システム-HUG-
       第1回 一人ひとりの発達状況を一目で確認!児童成長管理機能
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我々、株式会社ネットアーツは、放課後等デイサービス運営システムHUGを開発・サポートしております。

HUGは放課後等デイサービスの事業者様と手を取り合い、
・療育の質を高めること
・誰にでも使いこなせる便利な道具を創ること
・子どもたちの自立と成長を支援できること
この3つの想いから、生まれました。

実際に施設運営する中で直面した課題や実現したい事を、療育に特化した施設運営システムを利用して管理できれば、事業所は療育に集中でき、子どもたちの成長に繋げる事ができると考えています。

そこで今回連載では、児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所を運営する中で、療育に特化した施設運営システム「HUG」がどのようにお役に立てるかについて4回に分けて紹介します。

第1回目は、児童情報の管理です。どのような情報を作成して保存しておかなければならないのか、HUGの機能を通して説明します。

〇児童成長管理機能
児童一人ひとりの療育に役立つ情報を把握し、状況に応じた支援が行えるよう、HUGでは児童一人ひとりの発達状況を一目で確認できるように、児童の成長を管理記録できます。

場所を選ばずパソコン・スマホ・タブレットでいつでも閲覧できるので、管理者から児童発達支援管理責任者・指導員などスタッフ全員で情報を共有することができ 児童への理解が深まり、その子の特性に合わせて支援ができます。

目的により次の5つに分けて説明します。

1.児童の電子カルテ
児童の様々な情報(受給者証情報を含み)から、気を付けてほしいこと、好きなこと、症状・アレルギーなどの療育に役立つ情報を保存できます。
HUGでは児童情報の一覧として一目で確認することができます。

※画像はこちら
 
2.個別支援計画の作成
目標や5領域に即した支援内容などの項目を登録でき、児童一人ひとりに合った個別支援計画を作成できます。
作成した個別支援計画はそのまま印刷できるので、書類作成の手間を省くことができます。
モニタリングが必要な児童をシステムが1ヶ月前に教えてくれるため、個別支援計画の作成漏れやミスを防ぐことができます。

※画像はこちら
 
3.ケア記録の把握
ケア記録の日付、施設、記録内容、記録した職員を一覧で確認することができます。
児童の行動が施設、周りの様子、活動、時間などと関連して見ることができ、個々の児童の状況に応じた療育が行えます。

※画像はこちら
 
4.アセスメントからモニタリングまでを一括管理
アセスメントの記録はもちろん、担当者会議の議事録や作成した個別支援計画書から自動的にモニタリング用紙を作成します。
更新が必要な児童が自動でリストアップされるので、作り忘れを防止します。

※画像はこちら
 
5.認知機能の把握
児童の認知機能を測る脳バランサーキッズと連携して、発達指数を測定して記録します。
過去に測定した発達指数と比較でき、児童一人ひとりの成長度合いを確認することで、効果的な療育活動ができます。
認知機能の変化と施設の活動を関連付けて保護者に説明することで、活動の効果がわかりやすく伝わり、信頼を得られます。

※画像はこちら
※脳バランサーキッズについてはこちら 
 
〇まとめ
このように児童情報を管理すると一言で言っても、個人情報に加えて、支援内容、支援時間、支援した人、児童の様子まで残す必要があります。
また、個別支援計画やそれに付随する必要な会議の記録など記録は多岐にわたり、目的により出力する用紙も異なってきます。

支援の現場で記録や確認に時間を取られていては、支援に影響が出かねません。記録には ITの力を借りて効率的に有効な記録ができるといいですね。

第1回目は、ここまでになります。次回は施設運営の管理です。お楽しみに!

今回、ご紹介したHUGのサイトはこちら>>
HUGを提供する株式会社ネットアーツが運営するお役立ち情報を発信した「はぐめいと」は、こちら>>
 
◆株式会社ネットアーツとは
愛知県名古屋市中区金山にあるITソリューション企業です。
児童発達支援・放課後等デイサービス運営システム「HUG」の開発・サポートを行うとともに、愛知県犬山市で放課後等デイサービスココトモワークスジュニア、就労移行支援・就労継続支援事業所ココトモワークスを運営し、誰ひとり取り残さない居場所創りを行っております。

◆児童発達支援・放課後等デイサービス運営システム「HUG」とは
放課後等デイサービスや児童発達支援にかかわるすべての業務を一元管理できるSaaS(クラウド)型の運営支援システムです。
事業所が保護者と療育の記録や連絡事項を共有できるだけでなく、利用予約~実績登録~請求という一連のワークフローをすべて電子化することで、より質の高い療育の提供や業務効率の改善、運営基準の順守を実現できるサービスとなっています。
2025年1月現在では全国47都道府県、7,000を超える事業所で導入されています。

 
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■ 連載:発達障害と依存症
       第3回 発達障害と依存症が併存する成人への対応(最終回)
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〇依存症の治療について

依存症の治療は一般的に、本人に対しては自助グループへの参加や集団療法などが有効と考えられ、また依存症家族に対しては家族のための自助グループへの参加などが推奨されています。

例として最近比較的多くみられる成人の発達障害者のギャンブル依存症(パチンコ・スロット、公営ギャンブルのネット投票、オンライン・カジノなどが対象となる。正式な診断名は「ギャンブル行動症」、法律の用語では「ギャンブル等依存症」と言う)を挙げます。
ギャンブル依存症者は、自分だけで嗜癖行動をコントロールするのが不可能であるため、GA(ギャンブラーズ・アノニマス「無名のギャンブラーたち」)などの自助グループで、同じ問題に悩む人々が集まり、それぞれが自分の経験や家族への思いを語り、仲間意識を持つという体験を続けることで、回復への道が開かれると言われています。また集団での治療プログラム(認知行動療法)へ参加することも重要と考えられています。

またギャンブル依存症者の家族が、家族のための自助グループ(「ギャマノン」など)」で、他の家族と体験を共有することで、家族自身の精神的な健康状態が安定してくることが、患者の回復のためには重要であると考えられています。またCRAFT(コミュニティ強化と家族トレーニング)※などの依存症家族のためのトレーニング・プログラムも有効と考えられています。 

※CRAFTで用いられるコミュニケーション・スキル
1.“わたし”を主語にした言い方をする
2.肯定的な言い方をする
3.簡潔に言う
4.具体的に言う
5.自分の感情を言葉にする
6.相談・治療を提案する
7.望ましい行動を強化する

〇発達障害者への依存症の治療
 
以上のように、依存症の治療は自助グループへの参加や集団療法が中心となりますが、発達障害者は、仲間関係が苦手でなかなかグループに入れない人もいます。そのために私たちは集団療法の治療プログラムを、一人一人の特性に合わせてアレンジして使用しています。以下に例を示します。

(1)心理教育:まず依存症の症状について
これまでお話ししてきたような内容を視覚的資料(印刷物やパソコンでのプレゼンテーションなど)を使って説明します。内容としては、だれでもなってしまう可能性があること、脳の報酬系が病的に変化する「病気」であること、自分や家族だけでコントロールすることは不可能であることなどです。

(2)依存症によって生じた「損失」の数値化
発達障害者は抽象的なものよりも数字などの具体的なものの方が理解しやすいと言われています。依存症によってこれまでの生涯で被った損失を金額や時間として数字で表すことで、具体的にどのくらい損失を負っているかを感じることができるように導きます。

(3)「トリガー」の視覚化
これまでの嗜癖行動を検証することで、嗜癖行動のトリガーとなること、再発のきっかけとなることなどを特定します。これを視覚的にパソコンで表にしたり、フローチャートにしたりすることで、理解が深まります。またそのトリガーに対して、本人と一緒にそれぞれの対策を検討して、フローチャートに組み込みます。

(4)ストレスマネジメント
普段から自分でできるストレスマネジメントの手法をリスト化していきます。発達障害者は感覚の問題を持っていることが多いですが、自分で没頭できる感覚がわかれば、それを使って嗜癖行動から別の方向へ注意を向けることができる場合があります。私たちは「感覚による癒し」、「運動による発散」の2つのカテゴリーで、本人に合ったストレスマネジメントの方法を一緒に探して、視覚化する(パソコンやスマートフォンですぐに表示できるようにする)ようにしています。

(5)スケジュールの活用
依存症者は、実人生から離れた非日常の世界に生きている場合があります。その依存症的な世界の居心地の良さから少しでもリアルな世界へ意識がむけられるようになることが大切です。リアルライフでなければ得られない感覚を伴う活動(ペットとのふれあい、ランニング、プラモデルづくり、料理、園芸など)でスケジュールを埋めていきます。そのなかで日々の生活での充足感が育ち、嗜癖行動によって心の隙間を埋めなくてもすむような人生をイメージできるようになることを目指します。

以上、本人への治療について説明しましたが、家族への対応も重要です。前述のCRAFTでは、家族が新しいコミュニケーション・スキル(表1)を学ぶことで、本人が否認の方向に向かわず、依存症の問題にしっかりと向き合えるように進んでいけるようになるということが示されています。家族がこのスキルを学ぶ際に、本人の適応的行動の芽生えに肯定的に注目し強化するというペアレントトレーニングの手法を取り入れることで、依存症を併発している発達障害者に、より効果的な介入を行うことができるようになります。

〇まとめ
 
発達障害と依存症の問題について、3回にわたって説明してきましたが、いかがだったでしょうか。発達障害と依存症は意外と併存例が多いこと、また発達障害があると自助グループに結びつきにくいため、治療に工夫が必要な場合があることなどがわかっていただければと思います。この小文が読者の方に少しでもお役に立てれば幸いです。

【参考図書】
樋口 進, 松下 幸生, 古野 悟志.ギャンブル障害 STEP-G 回復支援マニュアル.法研 2021年5月
吉田 精次.家族・援助者のためのギャンブル問題解決の処方箋―CRAFTを使った効果的な援助法.金剛出版 2016年9月

◆今村 明
長崎大学生命医科学域 保健学系作業療法学分野
長崎大学子どもの心の医療・教育センター



■□ あとがき ■□--------------------------
2月3日~5日に東京ビッグサイトで開かれる東京ケアウィーク、ケアテックスの障害福祉サービス展にレデックスが出展します。南展示棟4Fです。入場事前登録の上、ぜひお越しください。本メルマガ編集人の五藤は3日間、ブースで解説をいたします。
 

次回は、2月7日(金)の刊行となります。

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