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高松さんには、2017年から18年にかけて、Children First:子ども達を中心に考えてみよう!と題して、ICT活用について連載していただきました。■ はじめに
■□ 新連載:福祉・特別支援教育におけるICT機器
■□■ コラム:映画:江里はみんなと生きていく
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■□ はじめに ■□--------------------------
今回から、障害支援アプリのこれまでの推移と今後について、NPO支援機器普及促進協会理事長の高松崇さんに連載をしていただきます。5回の予定です。
今回から、障害支援アプリのこれまでの推移と今後について、NPO支援機器普及促進協会理事長の高松崇さんに連載をしていただきます。5回の予定です。
前回も、将来のICTの活用について論じていただきました。7年間で高松さんの考えがどのように変化したかも大変興味深いと思います。
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■ 新連載:福祉・特別支援教育におけるICT機器
~過去から未来へのICT機器の活用を考えてみよう~
第1回 福祉・特別支援教育におけるICT機器の進化(過去)───────────────────────────────────…~過去から未来へのICT機器の活用を考えてみよう~
福祉教育・特別支援教育の分野における支援機器(技術)の歴史は、パソコンの普及とインターネットの普及(1990-2000年初頭)の時期を前後して大きく進化しています。
ICT機器が普及している現代においても、アナログの支援が利用され続けていることも大きなポイントです。
1.肢体不自由者(児)への支援
(1)特殊な筆記具や道具の使用
太いペンや鉛筆:手や指の動きが制限されている場合、グリップしやすい太いペンや鉛筆が使用されました。これにより、文字を書いたり描いたりすることが容易になりました。
鉛筆補助具:鉛筆を固定するための補助具が作られ、手や腕をうまく動かせない場合でも、手指や腕に補助具を装着して書くことができる工夫が施されました。
アームサポート:肢体の動きに制限がある場合、アームサポートが机や椅子に設置され、腕を持ち上げる動きを補助する器具なども使用されていました。
(2)スイッチ操作
物理的スイッチ:細かな手の動きが難しい場合、大きなスイッチやボタンを使用した支援が行われました。特定の機器を操作するために、大きなスイッチを押すだけで音が鳴る、光が点灯するなどのシンプルな操作方法が考案されました。
足や顎を使ったスイッチ:手が自由に使えない場合、足や顎を使ってスイッチを押すシステムが開発され、日常生活の中で何かを操作する手段として使われました。
(3)口頭での指示や指導
口述筆記:手や指が動かせない場合、教師や支援者が生徒の代わりに書く「口述筆記」が一般的でした。生徒が口頭で伝える内容を第三者が書き取ることで、学習の一環として記録が行われていました。
指示を口頭で行う:手足が不自由な生徒が自分で何かを操作するのが難しい場合、口頭で指示を出して操作を行う手助けをしてもらう方法がありました。
(4)特殊な机や椅子の使用
高さ調節可能な机:肢体不自由の子どもたちには、車椅子に合わせた高さの調節が可能な机や、傾斜がついた机が使用されていました。これにより、より快適に作業ができるよう工夫されました。
身体の姿勢をサポートする椅子:姿勢の安定が難しい生徒には、体を支えるためのクッションやベルトがついた椅子が用意され、座位を維持しやすくする支援が行われていました。
(5)コミュニケーション支援
絵カードやシンボルシステム:肢体不自由で発話や身振りが難しい場合、絵カードやシンボルを使ったコミュニケーション支援が行われました。カードを指差ししたり、目線で指示を出したりすることで意思伝達が可能になりました。
手作りのコミュニケーションボード:特定のシンボルや単語が印刷されたボードが用意され、指差しや視線で意思を伝える方法が取られていました。これにより、発話が難しい生徒も意思を伝える手段が確保されました。
※参考1 北九州市立八幡西特別支援学校のページから
※参考2 株式会社エスコアールの商品紹介
(6)補助具や装具
義肢や装具:肢体不自由の程度に応じて、義肢や装具(オルソティック)が支援に使われました。これにより、ある程度の動作補助が可能になり、日常生活の動作が支援されました。
歩行器や車椅子:肢体の移動が困難な場合、歩行器や車椅子が提供されました。特に、座位の安定が難しい子ども向けには、クッションやベルトで固定する特殊な車椅子が使われました。
2.知的障害者(児)への支援
(1)絵カードや視覚的な教材の使用
絵カード:言葉での理解が難しい場合、日常生活や学習の指導に視覚的なカードが広く用いられていました。例えば、食事やトイレ、スケジュールなどを示す絵カードを使って、日常生活のルーティンやタスクを理解させるための支援が行われていました。
ピクトグラム:絵やシンボルを使った教材(ピクトグラム)を利用して、知的障害者がより簡単に理解できるような支援が行われました。これは、特に発達障害や自閉症を持つ生徒にも有効でした。
(2)スケジュールボードの使用
ビジュアルスケジュール:日常生活や学習の手順を視覚的に示したスケジュールボードが用いられました。これにより、生徒が何をすべきか、どの順序で行うのかを明確に理解できるようになり、スムーズな活動の支援が行われました。
絵カードや写真の使用:スケジュールを構成するために、絵カードや写真が活用され、視覚的に順序立ててタスクを確認できるようにする方法が一般的でした。
(3)手作りの教材や道具の使用
教師や保護者による手作り教材:市販の教材が限られていたため、教師や保護者が自ら教材を作成することが一般的でした。例えば、パズル、マッチングカード、数字やアルファベットのフラッシュカードなどが使われ、子ども一人ひとりに合わせた学習を支援しました。
3.視覚障害者(児)への支援
(1)点字
視覚障害者への支援の中心的な方法として、点字が広く使用されました。文字や数字、音楽記号を点字で学ぶことが可能であり、教育や情報伝達の重要な手段でした。点字の教科書、書籍、そして試験用の教材が点字印刷機で作成され、視覚障害者の学習を支援しました。
(2)点字タイプライター
点字タイプライターを使うことで、視覚障害者が自分で点字を打つことができました。この機器は、書記や学習のための自律性を高める重要なツールでした。
(3)点字図書館と音声図書
視覚障害者のために、点字図書や資料を提供する点字図書館がありました。これにより、視覚障害者が文学や学術資料にアクセスすることが可能でした。
また、朗読された書籍や資料が、カセットテープやレコードで提供されました。これにより、点字が読めない視覚障害者でも、音声による情報提供が受けられました。
(4)白杖とガイドヘルプ
白杖の使用:視覚障害者の移動を支援するために、白杖が広く使用されました。白杖は物理的な障害物や地形の変化を確認するためのツールであり、自立した移動を支援しました。
ガイドヘルプ:視覚障害者が他人の腕を掴んで移動するガイドヘルプが行われていました。教育や日常生活において、教師や家族がガイドとして視覚障害者をサポートしました。
(5)触覚教材
立体模型や触覚地図:視覚的な情報が必要な学習においては、触覚教材が利用されました。立体模型や触覚地図を使うことで、物理的な構造や地形の理解が促進されました。これにより、視覚に頼らずに情報を把握することが可能となりました。
4. 聴覚障害者への支援
(1)手話
手話の使用:聴覚障害者への支援の最も一般的な方法として、手話が広く使用されていました。手話は聴覚障害者にとってコミュニケーションの基本手段であり、教育の場でも手話を用いて授業が行われました。手話を使用することで、家族や友人、教師とのコミュニケーションが円滑に行われました。
手話通訳者:特別支援学校や公共の場では、手話通訳者が聴覚障害者の支援を行い、教育や公共サービスへのアクセスをサポートしました。
(2)書字や筆談
筆談:手話を使用しない場合、紙とペンを使った筆談が行われました。これにより、聴覚障害者が他人と文字を通じて意思疎通することが可能となりました。教室や日常生活においても、メモやホワイトボードを使って会話が行われました。
黒板やカード:教室では、教師が黒板やカードに文字を書いて説明を行い、聴覚障害のある生徒が視覚を通じて情報を受け取れるように工夫がなされました。
(3)口話法※
読唇術:聴覚障害者は、話者の唇の動きを観察して言葉を理解する「読唇術」を学びました。これは、聴覚が全くないか、極めて制限されている場合に、コミュニケーションを図るための重要な手段でした。
※口話 wiki
発話練習:聴覚障害のある子どもに対しては、発話練習が行われました。これにより、音が聞こえなくても話す技術を習得し、他人と話すことができるように支援されました。
(4)視覚信号装置
フラッシュランプや振動装置:聴覚的な情報を視覚や触覚で伝えるために、フラッシュランプや振動装置が使用されました。例えば、ドアのベルが押されると光が点滅したり、目覚まし時計が振動するなど、聴覚に頼らずに情報を受け取ることができるシステムが導入されていました。
5.まとめ
ICT機器が登場する前は、物理的な道具や手作業による支援が主流でした。これらの工夫は当事者のニーズにより現在でも使用されており、技術の進化と共に支援方法が多様化し、より効果的な支援が提供されています。
支援機器(技術)の進化は、正にICIDH(国際障害分類)からICF(国際生活機能分類)への進化※と同じように感じます。
ICTの進化により支援の幅が広がり、アナログでは解決できなかった事が可能になっていきます。
※厚生労働省資料ICIDHとICF
※次回以降の概論はこちらから
障害者自立支援機器の活用のための 支援体制構築の活性化に向けた調査研究
障害者支援機器の活用ガイドブック
◆高松 崇
NPO法人支援機器普及促進協会 理事長
関西大卒。ICT・福祉情報機器コーディネーター。民間企業のシステムエンジニアなどを経て43歳で独立。2011年、障害児・者の学習や生活支援用の機器を提供するNPO法人「支援機器普及促進協会」を長岡京市に開設した。
現在は京都市教委総合育成支援課専門主事なども務める。長岡京市在住。
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■ コラム:本や映画の当事者たち(12)
映画:江里はみんなと生きていく───────────────────────────────────…‥
タイトルからもわかるように、いわゆる障害や病気などの当事者といわれる人たちが描かれている本や映画、DVDなどを紹介します。
今回は映画『江里はみんなと生きていく』です。この映画は10月26日(木)からポレポレ東中野ほか全国順次公開されます。
予告編が解禁されましたので、本作を一足先に鑑賞した安藤なつ、浅野史郎ら著名人から絶賛コメントが到着しました。まずはそのコメントをご紹介しましょう。
安藤なつ(芸人):人は誰かに支えてもらってばかりというわけではなく、必ず誰かを支えている。それが目に見えないものだったとしても感じる事ができ、互いに必要とする、シンプルで一番大切な繋がりだという事を思い出させてくれました。
浅野史郎(元宮城県知事・元慶應義塾大学教授):障害が重く、医療的ケアも欠かせない江里さんが普通学級で学び、 地域で一人暮らしをする。それぞれの場面でクラスメイトが、専門のヘルパーさんが江里さんに深く関わる。江里さんはみんなに囲まれ、みんなと生きていく。映画を観て得られるのは感動ではなく共感である。いいないいな、こういう地域って素敵だな。
〇1人の少女とその母親、そして介護者との絆の物語
「なんて表情が豊かな人なんだ」とこの映画で江里さんを見て私は最初に思いました。言葉が話せなくても、くるくる変わる表情やしぐさ、指文字でその気持ちを伝えています。
小学校から普通級で友だちに囲まれて過ごしてきた江里さんだからこそ、うれしい気持ちや希望を伝えたい、伝えればわかってくれるとの思いがそうさせるのかもしれません。話せなくても自分の気持ちが伝わっているという安心感から江里さんの表情はいつも穏やかです。
千葉県浦安市で生まれ育った西田江里さんはオシャレと絵を描くのが大好きな22歳の女性。母・良枝さんと自宅で暮らしています。しかし江里さんは24時間365日の介助が必要です。
その日常を支えるのは、母親と父親、何人かのケアスタッフ。車いすを押してもらって買い物に行き、リサイクルショップで働き、外食もします。そして大好きな絵を描きます。そんな江里さんにカメラが密着。映画には、12年に及ぶ撮影期間の中での様々な出来事が映し出されていきます。
そんな楽しい毎日だけでなく、江里さんに医療的ケアが必要になっていきます。最初は胃ろうをつけ、そして次には人工呼吸器をつけます。気管切開して人工呼吸器を装着するか否かの選択を迫られたとき、「医療的ケアは最低限でよい。でも、江里のためには呼吸が一番大事。命を守ることが大事」だと母は決心します。そんな母親の不安や葛藤も淡々とスクリーンに映し出すされていきます。
この映画のナレーションは母親が担当しています。しっかりしてはいますが、娘の状況が悪くなれば様々な葛藤が生まれ、そんな感情が声にも表れます。
後半、江里は自立のためにケアスタッフとともにひとり暮らしを始めます。真剣に江里のケアを務める介護職の女性たち。江里さんと同年代の人も多く、単にケアを“する”、“される”といった立場を越え、共に生きる関係性を育んでいきます。ケアスタッフも江里さんとともに成長していき、結婚や子育てで一度は江里さんから離れても、復帰して江里さんのケアを行い、休みの日には自分の子どもを連れて江里さんに見せに来ます。そんな江里さんと仲間たちは、まさにタイトル通り、江里さんはみんなと生きているのです。そして江里さんの表情に注目してください! 心を通わせているケアスタッフたちとの、言葉はない会話の中に江里さんの幸せがあることを感じていただけると思います。
監督:寺田靖範(『妻はフィリピーナ』『もっこす元気な愛』)
語り:西田良枝 音楽:飯田俊明 撮影:水戸孝造
題字:八田芝翠 プロデューサー:島田隆一 二見幸
制作:パーソナル・アシスタンス とも/おもしろ制作助成:三菱財団
配給・宣伝:おもしろ制作 配給・宣伝協力:JyaJya Films
ドキュメンタリー|2024年|日本|91分|DCP
UDCast対応作品 (c)おもしろ制作
公式サイト
2024年10月26日よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開予定
◆はら さちこ
ライター。
編集制作会社にて、書籍や雑誌の制作に携わり、以降フリーランスの編集・ライターとして活動。障害全般、教育福祉分野にかかわる執筆や編集を行う。障害にかかわる本の書評や映画評なども書いている。
主な編著書に、『ADHD、アスペルガー症候群、LDかな?と思ったら…』、『ADHD・アスペ系ママ へんちゃんのポジティブライフ』、『専門キャリアカウンセラーが教える これからの発達障害者「雇用」』、『自閉症スペクトラムの子を育てる家族を理解する 母親・父親・きょうだいの声からわかること』『発達障害のおはなしシリーズ』、『10代からのSDGs-いま、わたしたちにできること』などがある。
■□ あとがき ■□--------------------------
今年も「こども発達支援セミナー」と題して、全国9都市で実施します。来週には次の2つのセミナーを実施します。
10月2日(水)札幌セミナー 場所:北海道立道民活動センター(かでる2・7)今年も「こども発達支援セミナー」と題して、全国9都市で実施します。来週には次の2つのセミナーを実施します。
10月4日(金)鹿児島セミナー 場所:サンプラザ天文館
講師は五藤、時間はいずれも午前10時から11時45分です。
お申込みはこちら
レデックスチャンネルで「児童発達支援」についての動画を公開しました。
ぜひご覧ください。
次回は、10月11日(金)に刊行します。