かずをどのように教えるのか

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2022.11.04

かずをどのように教えるのか

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■   連載:かずをどのように教えるのか
■□ 連載:発達障害は、発達しにくく退化しやすい障害?
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■ 連載:さんすう学習の基礎は概念の習得から
             第3回 かずをどのように教えるのか
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前回までお伝えしたこと
第1回 人気の教材は一人の学力不振児からうまれた
第2回 さんすうの基礎・基本と教材としての表現

今回は、かずをどのように教えるのかという内容をお伝えします。

〇かずをどのように教えるのか
さんすうの学習の前段階はまず、さんすうのことばを知ることはお伝えしました。
次に、具体的なかずの概念を身につけることになります。

さんすうのことばの学習と、かずの概念学習は並行して進めることになります。
かずは通常は1、2、3・・・という、数字(記号)であらわします。
この数字の意味を身につけ使いこなしていくことがのさんすう学習の入口となります。

「数字の意味を身につける」というと、順序数をいえて、かずをかぞえられることだと一般的に思われていますが、意外と奥が深いのです。

幼児でも3~4才ぐらいになると、いつのまにか、1、2、3、(いち、に、さん、)と自然に言えるようになっていることがあります。

テレビ、音楽、運動などで何度もそのことばに触れているとなんとなく身につけていくのです。

この様子を見ていると、だれでも順序数は自然に身につけられると思うかもしれません。ところが、幼児期は順序数ということを意識しないで、いち、に、さん・・・と
言っていることを知っておかなければなりません。

1、2、3・・・という数記号だけが何となく理解できているだけで計算学習に入っていくのは危険です。

順序数の学習だけでもいろいろなパターンがあり、実際次のようなことがすべてできるのは意外と難しいからです。

1.1から順番に唱えることができる(順唱)
2.大きい数から逆に唱えることができる(逆唱)
3.ものの数と数字が一致する
  (順唱ができても、かぞえながら物の数と一致するとは限らない)
4.上下、左右どちらからでもかぞえることができる
5.何番目ということが理解できる
6.上下、左右どちらからでも何番目といえる
7.車など目の前を通り過ぎるものの数をかぞえることができる
8.手をたたいて、いくつ音が聞こえたかかぞえることができる

また、「5」という数字には、物の数が5つというのみならず、5番目、5分、5日、5回、5段、5丁目など日常の中でもいろいろなシーン、目的で使用されるということを実感できていることが必要です。
そのような使い分けがあるということに気が付き使い分けることができることが大切です。

さらに、基本的な数詞。「ひとつ、ふたつ、みっつ・・・」「いっこ、にこ、さんこ・・・」「いっぴき、にひき、さんびき・・・」などを使ってもかぞえられることも必要です。

かぞえ方でも、2つずつ、3つずつ、4つずつ、5つずつ、10こずつかぞえられる、さらに、5までの順序数、10までの順序数、20までの順序数、100までの順序数ができるようになって、計算へ入ってくのが正しい手順なのです。

かずへのアプローチは、何が正しく何が間違っているというきまりはないのですが、計算のまえにいろいろな方法でかぞえられるようになるのが大切です。


〇たしざん、ひきざんに入るときに注意したい概念学習
計算学習は、たしざん、ひきざんから始まります。

たしざんとは何か、ひきざんとは何かという定義を子どもに解説してもあまり意味はありませんが、概念についてわかりやすく指導する必要があります。

たしざんについては、概念(考え方)としていくつかの大切な要素があるからです。

1年生の教科書の単元を見ると出てくるのが、「合わせていくつ」と「ふえるといくつ」という概念です。また、教科書には出てきませんが、「何番目のさらにいくつうしろ(位置の表現)」の概念も必要になります。


いきなり記号計算「+」をトレーニングしても計算はできるようになるかもしれませんが、その概念の違いを知らないとたしざんを理解しているとはいえないのです。

文章題の学習に入ったときに、イメージをつかめるかどうかは、ここの理解ができているかどうかによります。

ひきざんでも同様です。
ただ、ひきざんの概念は、もう少し難しくなります。

1年生の教科書では二つの事象をくらべて、
「のこりはいくつ」(ものが減る)
「ちがいはいくつ」(個数の違い)
を説明しています。

「あといくつで〇になる」(いくつ足りない)の概念には触れていません。
子どもたちはこの質問に対して手が止まることが多いのです。「あといくつで〇になる」という問題は、見えない部分を求める概念だからです。この概念の理解も必要になります。

今回は、かずをどのように教えるかから、たしざんひきざんの概念の入口についてお伝えしました。

この概念学習をしっかりしたあとで、「+」たす「-」ひくの記号計算に習熟していくことになります。

次回は記号計算に入ってから重視したいかずの合成分解、かけ算、わり算の概念学習についてお伝えします。

◆新村一臣(にいむらかずおみ)
株式会社エジソンクラブ 代表取締役
株式会社新村教育研究所 代表取締役
一般社団法人小学校受験協会理事


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■ 連載:発達障害の凸凹、死角となりやすい二次障害とは?
             第2回 発達障害は、発達しにくく退化しやすい障害?
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皆さん、こんにちは。
コミュニケーションの生き辛さを可能性に変える…イイトコサガシ・ワークショップ※1を主催している発達障害当事者の冠地情(かんち じょう)※2です。

※1 ワークショップ  
※2 冠地さんの発達障害プロフィール
  

前回の話を簡単にまとめますと…
要するに発達障害単独であれば、二次障害が重ね着されていなければ、建設的コミュニケーションの機能が稼働・循環していれば(衰えてなければ)そこまで深刻な生き辛さにはならない、ということです。

しかし残念ながら…
ほとんどの発達障害当事者は上記を達成できておりません※3。
成長できない・しにくいというより、退化が止まらない・止められないというイメージです。
私はこの事象を退化硬直と名付けました※4。

※3 発達障害の生き辛さって
  

※4 退化硬直の恐怖
 

そしてこの発達障害の隠れた二次障害、退化硬直こそが引きこもり・ニートの長期化、80:50問題の温床になっている、というのが私の仮説です。

今日は私の専門である建設的コミュニケーションが育たないと(退化硬直すると)どうなってしまうか? という内容を生々しく掘り下げてみたいと思います。

なお、退化硬直は私の造語であり、医療等のエビデンスは一切ないことをお断りしておきます。

■好き嫌い感情優先コミュニケーションになりやすい?
建設的コミュニケーションと真逆になりやすい、ということです。
多様性を尊重するためには、好き嫌いの感情を脇に置いて(意見と感情を分けて)話し合う必要があるわけですが、それがとてつもなく難しい、と。
自分の価値観は柔軟に好意的に受け入れてほしいが、嫌いな価値観に関しては拒絶し、完全否定…という極端に利己的なコミュニケーションになりやすい、というのが全国を回った私の実感です。

■人間関係が広がらない、こじれやすい、孤立しやすい
コミュニケーションの生き辛さは、人間関係の生き辛さ…というのは私の持論です。
要するにコミュニケーションの退化硬直は、人間関係の退化硬直なのです。

自分の意見、考えを言語化するのが難しい人と、あなたは付き合いたいですか?
ボキャブラリーが貧困で、言葉のミスチョイスが多くて、話が具体的でなく結論がわかりにくく冗長・短すぎる人と話していると疲れませんか?
理解力が弱いため、すれ違うことが多い、そして質問はほとんどない…その理由が「何がわからないか、よくわからない」という人とわざわざ話したいですか?
しかも成長を諦めてしまっている(可能性がどんどん縮小している)となると、距離を取りたくなりませんか?

私はコミュニケーションの生き辛さがあっても、スモールステップで経験を積める環境を構築するために、イイトコサガシ・ワークショップを運営(内容は書籍※5をご参照ください)していますが、退化硬直している人は参加も難しいのが現状、ということを頭の片隅に入れておいてください。

※5 書籍
  

退化硬直の怖いところは支援者・専門家であっても関わりにくい、という点にあるのです。(できない人は支援できますが、やらない人は退化硬直していくだけ…)※6

※6 建設的コミュニケーションの生き辛さの本質は
  

■モヤモヤを活用しにくい=ハイブリッド(異種交配)しにくい
コミュニケーションは単なる情報交換ではありません。
感情交換であり、価値観交換であり、生き方交換というのが私の持論です。
そしてその交換の際に生じるモヤモヤ※7を有効活用して、ハイブリッド(異種交配)に昇華させるのが建設的コミュニケーションの醍醐味であり、最終目標なわけです。

※7 モヤモヤとは?
  
しかし、です。
退化硬直してしまうと、モヤモヤは相容れない敵になってしまいます。
面倒くさくて、煩わしいものだからなるべくなら遠ざけたい…蓋をしたくなる、と。
これって物凄く、もったいない! と私は強く思っています。

なぜならモヤモヤは気づきの宝庫、眠っている才能を引き出すスイッチだからです。
違いを理解し、折り合いを創り、世界を広げていくからこそ可能性が育つのです!

とはいえ、モヤモヤがストレスの源、負荷の高い異物であることもまた事実。
だからこそ、建設的コミュニケーションという枠組みで、必要なモヤモヤと不要なモヤモヤを交通整理する必要があるわけですが、コミュニケーションが退化硬直してしまうと、
『モヤモヤしたくない!!!』という感情で強制終了になりやすいのです。

元々、発達障害当事者はそれでなくても初期設定として(生まれた時点で)モヤモヤが苦手です。こだわりという自分ルールで安全地帯を構築し、その中でゆるゆる存在したい、という意向がとても強いです※8。

※8 退化硬直とは安全地帯依存症のこと。


しかし、です。
だからこそ、だからこそ、退化硬直させてはいけないのです(退化硬直の真逆は可能性継続です)
人は一人では生きていけません。
ということは?
多くの人とモヤモヤしていくことを、避けては通れません。
モヤモヤを教訓に、ハイブリッド(異種交配)していかないと、生き辛さが減らない、増えていくということです。

しかし現実として、モヤモヤをハイブリッド(異種交配)に変換していくインフラはほとんどありません。
モヤモヤの免疫力を育てるインフラすらありません。
その結果が、80:50問題であり、今流行りの無敵の人、ということになります。

次回は退化硬直と無敵の人に焦点を当てて掘り下げていこうと思います。

冠地情(かんち じょう)
不登校・ひきこもり・いじめ・発達障害の四冠王だったと語る、イイトコサガシ代表。
全国各地でいいところを探し、互いに応援するワークショップ&講演会等を43都道府県で1000回以上開催、10000人以上が参加。
合言葉は「試した時点で大成功!」
NHK「ハートネットTV」「バリバラ」に出演。
嫌われる・孤立する・批判される勇気を武器に、文字通り生き辛さ界隈の異端児。
あすぴれんとテレビでYouTube番組「人間臭さTV」を放送。https://bit.ly/3VypTYU
東京都狛江市のラジオ局コマラジ・第四火曜日正午~13時のアフタヌーンナビにレギュラー出演。
東京都東久留米市のラジオ局くるめラ・第一火曜日18時~19時の超イイトコサガシ宣言でメインパーソナリティ。


■□ あとがき ■□--------------------------
次回メルマガは、通常より1週間先の11月25日(金)を予定しています。
メルマガ通算300号まで、あと4回です。

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