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■□■ 連載:「働く」に向けて学校で、家庭で準備できることはどんなこと?
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■ まえがき
■□ 連載:それでも少年たちを信じたい■□■ 連載:「働く」に向けて学校で、家庭で準備できることはどんなこと?
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■□ まえがき ■□--------------------------
今回の2つめの連載:ちょっとしたことで上手くいく 障がいのある人の「働く」を知るは、第1回の著者と同じ就労移行支援事業所"さら就労塾@ぽれぽれ"の職業指導員であり、翔泳社『ちょっとしたことで上手くいく』シリーズの著者でもある對馬陽一郎さんに「働く」に向けてのポイントをご紹介いただきます。
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■ シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材
新連載 :少年が自分の人生を決めていくために
第2回 それでも少年たちを信じたい
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前回は、児童虐待のケースワーカーとして働いている私の息子が非行に走ってしまったことを書きました。その後も変わらない日々が続きましたが、今回はそこから学べたことをお伝えしようと思います。■ シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材
新連載 :少年が自分の人生を決めていくために
第2回 それでも少年たちを信じたい
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・私を慕ってくれる非行少年たちの存在
息子の非行が影をひそめることはないまま、時間だけが過ぎていきましたが、そんな中で私の生活に変化が出ました。
息子の友人が私の家に出入りするようになったのです。最初は疎ましく思いましたが、彼らは素直な子たちでした。
家庭環境が恵まれていないため、十分な食べ物が無かったり、公園で寝ている子もいたりしました。
周りの人は「たまり場」と揶揄していましたが、彼らには本当に居場所が無かったんだと思います。
長いときは夏休み中ずっと、私の家に身を寄せる子もいました。事情がわかる分、私は彼らを追い払う事ができず、ここにおいて面倒を見てやろうと決めました。
私の子どもが5人、やんちゃ坊主が3~4人。
想像を超える壮絶な生活がそこにはありました。
これだけを書くと「何てことしているの!」「非行の温床では?」と感じる人もいるかもしれません。実際に「あなたみたいに甘やかす人がいるから、彼らはつけあがる」と言ってくる人もいました。
しかしながら、不思議なことに彼らは、私の子どもたちを優しく自身の弟や妹のように世話し、私の子ども達もまた、彼らを慕っていました。
彼らと約束ごとをするも、何度も破られ、裏切られることを繰り返しながら、生活していたのを思い出します。
時には、本気で追い出そうとしたこともありましたが、その度に申し訳なさそうに謝る表情を見ると追い出すことができませんでした。
・彼らに必要なものは?
父親(母親)に恋人がいるから帰りたくない、邪魔者扱いされるから帰りたくない、お金がない、暴力をふるわれる、寂しい・・・。子どもたちは理由なく非行に走ることはありません。必ず何かしらそこには理由があります。
私は児童虐待のケースワーカーとしての勤めから、そのようなバックグランドをイヤというほど見てきました。だからこそ息子の友達を追い出すことはできなかったし、私がとことん向き合ってやればいいと思いました。
これは当時の経験を踏まえて言えることなのかもしれませんが、非行に走っている子どもとその保護者には、利害関係がある以上、なかなかお互いに理解し合えることが厳しいのかと。素直に向き合うことが厳しいのかと。
そこに第三者が間に入ることで、風通しがよくなることもあります。実際に、私の家で長期間生活していたある少年の保護者から一度「あんたが甘やかすから居心地が良すぎて家に帰ってこないんだ」と、ものすごい剣幕で呼び出されたことがあります。
しかし、話をしていくうちに「あなたにウチの子の更生をお願いしたい」と保護者の方から言ってきました。私はただ単に、第三者という立場から話を聞いてあげただけで、それが相互理解のパイプにはなりましたが、それでも、家族関係は上手くいかない日々でした。
彼らのような非行少年に必要なのは、『家族ではない』客観的に向き合ってくれる大人の存在と、夜間の居場所だと思います。
夜間の居場所が無いために、公園で寝泊まりする少年、十分に食事ができない少年も沢山いると思います。このような状態では、どんな少年でも心が荒みます。
これらのエピソードや想いが、現在の私の仕事に繋がっているのだと思います。
・変わらぬ社会への不信感
少年たちは社会でも家庭でも居場所がありません。
大人を信じていないし、ことあるごとに反抗し、自身を主張することで精いっぱいです。
それが余計に負のスパイラルになって現状を悪化させています。
更に、少年たちは社会に対しても不信感を抱いています。社会の中にはどんな仕事があって、自分に適した仕事は何なのか?いわゆる、キャリアを考える機会のないままに非行に走り、社会からこぼれ落ちてしまいます。
少年たちの知識が十分ではないうえに、社会が門を閉ざしてしまえば彼らはさらに非行に走るしかありません。
家庭の事情や生育歴等、様々な要因があるため、一気に少年たちを変えることは不可能です。
しかしながら、私たち大人は、少年たちに比べると変わることが容易いはずです。
彼らの社会に対する不信感を変えるには、まず私たち大人が変わってあげることが大切であり効果的だと思います。
・とにかく少年たちを信じたい
最初から歪んでいる少年なんていません。様々な環境が彼らを変えていくのです。
私が今まで関わってきた少年たちを見て、心からそう感じます。
彼らをうまく方向づけることができさえすれば、水を得た魚のように活き活きと変化していくはず。
だからこそ、私は彼らを信じたい。
非行以外で水を得た魚になってほしいと願っています。
・まとめ
非行少年たちは、親をはじめ、関わる大人たちと、ほんの些細なボタンの掛け違いで非行に走ってしまいます。
その状況を目の当たりにしながらも、反面、更生していく姿も見てきたので、これは夢物語ではないと信じています。
※子どもゆめ基金助成で開発したデジタル教材は下記でご覧ください。
【2019年度作成版】~扉を開こう~
【2020年度作成版】~君の仕事を見つけよう~
◆赤平若菜
一般社団法人HOMEおかえり代表理事
2012年 保育士として勤務
2014年4月~2020年3月 うるま市役所児童家庭課 家庭児童相談員(嘱託職員)
2018年8月 一般社団法人HOMEおかえり設立
2019年4月 子どもゆめ基金教材開発事業受託
2020年4月 同上(2回目)
2020年7月 日本財団 子ども第三の居場所事業開始
2021年4月 行政受託 子どもの居場所事業開始
■ 新連載:ちょっとしたことで上手くいく 障がいのある人の「働く」を知る
第2回 「働く」に向けて学校で、家庭で準備できることはどんなこと?
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前回は障がいのある人の「働き方」についてお話しました。第2回の今回は雇用する企業が採用にあたって見ているポイントをもとに、「働く」に向けてどのような準備をしておくと良いのかについてお話します。
今回お伝えしたいことは2点です。
・企業が期待する能力とはどういうものなのか?
・配慮事項の見つけ方はどうすればよいのか?
(1)企業が期待する能力とはどういうものなのか?
障害者雇用が定着してきたことで、企業側も応募者の何を見るかが定まってきています。就労支援をしていると面接等でも以下のようなことを確認されます。
1)セルフコントロール
「休まない・辞めない」・・・健康面、体力面、精神面の持続力
2)業務能力
必要な配慮をすれば、企業の期待する成果が出せる
3)自己理解
自分の障害を理解しコントロール(対処)できる、配慮を求められる
4)基本的な生活能力
仕事に支障がでないよう生活する力がある
5)一般常識
挨拶、お礼、敬語、身だしなみ
6)素直さ
「はい」と言える、教えられたことを素直に学んで実行しようとする姿勢がある
少し丁寧にみていきましょう。
セルフコントロール能力は、率直に言うと「休まない、辞めない」ことです。もちろんこの場合は風邪をひいても休むなとかそういうことではありません。気分次第で休んだり、メンタル不調で長期欠勤をしたりすることを指しています。また、同僚の仕事の阻害にならない、つまり「邪魔にならない」ことも重要です。このためには、自身の感情や言動のコントロールがある程度できる必要があります。
業務能力は、求人内容に書かれた仕事自体ができるかどうかです。厳しいようですが、いくら本人に凄く得意なことがあってもそれに合わせて仕事を用意してくれることはありません。配慮のある中で企業が求める仕事ができるかどうかがカギです。
自己理解については、自分の障害を理解した上で「企業側がどのような配慮をすれば自分は求められる仕事ができるのか」を提示できることが重要となります。本人の自己理解にズレがあると、企業も適切な対応ができません。またもちろん、その配慮は企業が用意できる範囲内である必要があります。
生活能力も大切です。規則正しい生活を送ることが大事なことは言うまでもないことですし、日々の生活は仕事を続けるための土台となります。しかしながらこの部分を企業がサポートすることはできません。
一般常識、そこが難しいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。挨拶、お礼、敬語、身だしなみなど、多少不自然でもかまいません。これを守ろうと努力しているという姿勢が重要になります。
そして「素直さ」です。もちろん、障害によって誤解をしたりされたりしてしまうことは仕方ありません。それよりも、指示に対して率直に「はい」と言えること、教えられたことを自分勝手にアレンジせずにまずは素直に学んで実行しようとする姿勢があるかということが大事です。
一般常識や素直さは完璧な必要はありません。企業からみて、「歩み寄ってくれているな」と思ってもらえる姿勢が大切なのです。そういう意味で、「歩み寄る必要があるんだ」という本人の「気付き」が何よりのポイントかもしれません。
(2)配慮事項の見つけ方はどうすればよいのか?
次に配慮事項についてお話します。企業の配慮というのは、仕事をするために"無理のない範囲で"用意されるものになります。
1)受けやすい配慮の例
・特別な道具を使いたい
・勤務時間を相談したい
・通院日に休ませてほしい等
2)受けにくい配慮の例
・つきっきりで見守っていてほしい
・好きな仕事だけさせてほしい
・報連相なしでやらせてほしい
・自由にやらせてほしい 等
では、その配慮事項はどのように見つけたら良いのでしょうか?
配慮事項や工夫の内容を探すために必要なのが「出来た」という体験です。どこに行っても何を使っても無理なものは誰にでもあります。絶対無理なことを仕事にしても幸せにはならないでしょう。
しかし、色々な道具を使ったり環境を整えたりすることで「出来た」ということもあります。
こんなことはありませんか?
「家だとちゃんとできるのに、学校で同じことをやらせると『できてない』と先生に言われてしまう」
例えば、自分の部屋の自分の机だと静かに集中して勉強しているのに、教室だと「全然集中してない」と言われてしまう。環境が合えば「出来る」のなら「出来る」方がその子の実力です。できないときには何らかの環境要因があるはずです。それを分析して見つけだすのが「配慮事項」の発見になります。
そのためには環境の違いをひとつひとつ分析する必要があります。「使っているペンの違い」のような些細なことがカギの場合もあります。専用の道具などはわかりやすいのですが、環境面の問題だとなかなか割り出しが難しく本人にも違いがわからないこともあります。こうした場合は障害に詳しい支援機関などの協力を得たいところです。
もちろん、せっかく配慮事項を発見できても、志望する企業ではその配慮は用意できないと言われてしまうかもしれません。しかしながら配慮するポイントがわかれば、より企業に受け入れやすい配慮内容に収めるための訓練も考えられます。そのためにもまずは、本人が仕事のできる環境とはどんなものかを発見することが必要です。
注意も必要です。間違えやすいのは「仕事のしやすい環境」と「快適な環境」との違いです。快適な環境は本人にとってはよくても眠くなって仕事ができなくなってしまうかもしれません。ゲーム好きの子にとってゲーム機のある部屋は「快適」ですが、勉強のためには「邪魔」になってしまう場合もあります。極端な場合、本人にとっては「何か嫌だし長居したくないけど、仕事は進んでしまう」という環境が理想である場合もあるのです。
ポイントまとめ
・「出来るときと出来ないときがある」がヒント
・どこかで出来るなら、「出来る」がその子の実力
・出来たのはどこで、何が必要だったか?
・出来なかったのはどこで、何が邪魔していたか?
・「快適な環境」ではなく「仕事のできる環境」
・「ストレスはあるが仕事は進む」という場合もあり得る
今回は企業が求める能力と配慮事項についてお話してきました。第3回の次回では今回紹介した、企業が期待する能力や配慮事項について支援をしてくれる地域資源についてお話ししたいと思います。
◆對馬陽一郎
特定非営利活動法人さらプロジェクト
就労移行支援事業所/就労定着支援事業所 さら就労塾@ぽれぽれ 職業指導員對馬 陽一郎著、林 寧哲 監修、翔泳社
對馬 陽一郎、安尾 真美著、林 寧哲 監修、翔泳社
■□ あとがき ■□--------------------------
障害のある人とそれを支援する機器を開発する企業が交流する、シーズ・ニーズマッチング交流会が現在、オンラインで開催されています。レデックスも出展しています。Webページから、関心のある企業を選んで申し込むとオンラインでの交流ができます。障害者支援に関するセミナーも多数開催されています。ぜひ一度のぞいてみてください。
※シーズ・ニーズマッチング交流会
次号は、10月22日(金)の予定です