● 連載:発達を支援する生活動作(更衣・排泄編)
● 連載:動作(協調運動)のアセスメントの作成の経緯
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● 連載:発達を支援する生活動作(最終回)
第5回 発達を支援する生活動作(更衣・排泄編)
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更衣動作や排泄動作は、食事動作に比べると子どものモチベーションが高まる活動ではありません。更衣動作は家族が手伝ってしまった方が早いので、練習の機会が少ない場合もあります。更衣動作は全身を使った三次元のパズルであり、ボディイメージが高まることで体を器用に動かすための基礎の力や、空間能力の把握の力を伸ばし算数の図形課題につながる良い活動です。排泄は幼稚園などへの入園準備で取り組まれることがよくありますが、期限を決めた指導はうまくいかないことがよくあります。これらの動作獲得に向けたポイントや注意点を説明していきます。
1.更衣動作
1-1.かぶる衣類
子どもは2歳頃になると、衣服の着脱に興味を持ち始めます。動作を教えていく時には、子どもの後ろから二人羽織りをするように行うとよいでしょう。大人も介助しやすく、子どもも動作の流れや体の動かし方が分かりやすくなります。難しい部分や力の要る部分を全て大人がしてしまうのではなく、あたかも子どもがしているように子どもの手を持ち、一緒に行うことがポイントです。
着る方法は、「頭から」と「手から」と2通りあります。手から通す方法は、前後の間違いは少ないのですが、慣れない子どもには袖を手繰り寄せながら通すのは難しいようです。衣服が回転しないように介助しながら、はじめは頭から通していく方法を教えるとよいでしょう。
また脱ぎ方にも、「袖から」「頭から」「手を交差して裾から」と大きく3通りの方法があります。次に着ることを考えると、衣服が裏返しにならない方法がよいので、子どもの体の使い方や衣服の種類(長袖か半袖)に応じて、長袖は「袖から」、半袖は「袖から」か「頭から」脱ぐ方法がよいでしょう。
〇ワンポイント 子どもが楽しめる言葉かけを!!
「はい、頭通して」「次は手」と子どもの動作を短く端的に伝えることは重要ですが、練習し始めの幼い子どもにはイメージがしにくいものです。「いないいない ばぁ」と言いながら頭を出したり、「お母さんと握手」と言いながら袖の先から親の手を入れて、子どもと握手をした状態で子どもの手を誘導することもよいでしょう。
〇誤解
衣服を持つ位置などの目印を付けたら、それが無いとできなくなるということはありません。まずは、それらの目印を頼りにしながら、一人でできるようになることを目標にしましょう。
1-2.羽織る衣類
羽織る衣服は、園服やジャンバー、学校の給食当番のエプロンなど、ボタンやファスナーの操作を含めた動作が求められます。
着る方法は、(1)襟のタグの部分を片手で持つ (2)一方の袖に腕を通す (3)袖を通した側の手を上げ、体を反対側に傾ける (4)もう一方の腕を通す という手順になります。もう一方の手を通す際には、反対の袖をすでに通した手で、前合わせの部分をつかむようにすると手を通しやすいでしょう。子どもは腕が短く、複雑な肩の動きは不慣れのため、大人のように襟部分をたどる方法は難しいようです。練習を始めた子どもの場合、はじめに利き手と反対側の腕を通すようにして、毎回同じ順序で行うとよいでしょう。慣れてくれば、左右どちらからでも着ることができます。
〇ワンポイント 襟や裾にも意識を!!
羽織り服の練習を始めたら、袖を通して着るばかりでなく、着終わった後に襟や裾にも意識を向けさせましょう。身だしなみへの意識や、着替え後・トイレ後に裾を直す前段階になります。
〇誤解
ただ着られればいいわけではありません。
片手ずつでなく、マントのように一気に羽織って着ていると、リュックサックやランドセルを背負う時に困ります。
1-3.ズボンの着脱
ズボンの着脱は、トイレットトレーニングとも並行して行う頻度の高い動作です。まずは、簡単な脱ぐ動作から始めてみましょう。履く動作では、子どもの見やすい前側を引き上げることから練習を行います。後側は、手を後ろに回した動作であり、お尻の出っ張りを越えるといった難しい部分もあるため、大人と一緒に行うとよいでしょう。足を通す動作は、始めから大人と一緒にズボンの履き口を持ち、足を通すようにします。いつまでも大人がズボンを持って広げた状態で足を通していると、子どもが自分でズボンを持つことを経験できないままになってしまいます。
ズボンを履くことが上手になってきたら、上着の裾を入れる練習もしましょう。この時、下に押し込む方法でなく、片手でズボンを広げ、もう一方で裾を入れる方法を教えていきます。裾を入れる下着は一枚着るごとに入れていくと良いでしょう。また、立位での着脱動作は非常にバランスをとるのが難しいので、床に座るか、低めの椅子に座った状態から始めると良いでしょう。
〇ワンポイント 立ってズボンを着脱することを視野において!!
練習を始めたばかりの頃は、自分でズボンを着脱できることを第一目標とします。そのため、ズボンが見やすく、安定した床に座った状態がよいでしょう。しかし、いつまでも床に座って履くわけにはいきません。小学生になると体操服や水着の着替えは立って行います。床で着脱することが上手になってきたら、次に椅子に座って、さらに立って行えるように練習していきましょう。
〇誤解 ずっとジャージでいい?
年齢が上がってくると前開きのズボンが多くなってきます。履き易い物ばかりでなく少しずつ練習していきましょう。
1-4.ボタン動作
2~2歳半になると子どもは自分で着替えをしたがるようになります。着替えの中でも難しいとされるボタンの掛け外しができるようになるのは、4~5歳頃です。
ボタンを掛けるには、(1)ボタンをつまむ (2)もう一方の手で服を持つ (3)ボタンをボタンホールに入れる (4)持っている服から手を離しボタンを持ち替える (5)ボタンを引っ張る という工程を順番通りに行わなくてはなりません。また外す時には、掛ける時とは左右の手の使い方が逆になり、工程も逆になります。
練習する時には、普段着ることの多い服や制服を選択するとよいでしょう。また市販のパジャマには、大きめのボタンが付いていることが多く、子どもの手の操作や理解し易さに合わせてボタンやボタンホールを容易に改変できます。練習はゆっくりと過ごせる時間に掛ける動作から行うとよいでしょう。
〇ワンポイント ボタンは服だけでない!!
ボタンのついた布製玩具やボタン付きの巾着袋などを準備することで、遊びの中でも練習することができます。また、ボタンの掛け外しに必要な「つまむ」「入れる」「持ち替える」の要素は、ボタン通しやビーズ通し、自動販売機でのジュースの購入など、生活の中でも自然と行うことができます。
図※のように糸足を長くすることで、操作しやすくなります。
※図 糸足を長くしたボタン
〇誤解 ボタンは着た状態で練習したほうがいい?
始めは机の上に置いた状態で練習してみると良いでしょう。
1-5.服をたたむ
着替えの練習と併せて、服を畳むことも教えましょう。畳む動作は、衣服の構造を知る上で大切な活動です。また、裏返しになった衣服を自分で戻せないと、結果的に着替えも進まないことになります。着替えの練習と併せて行うことで、子どもは自分の身体の使い方と衣服の扱い方を学んでいくことができます。
始めはタオルなどの形が分かりやすく、広げ方や畳み方が単純なものから行うとよいでしょう。服を上手に畳むポイントは、きれいに広げることです。上着であれば、裾を持つよりも、襟の部分を持って広げた方がよじれが少なくなります。
畳む動作は、いきなり上手にはできません。毎日の着替えと併せて、練習していくことが大切です。
〇ワンポイント
普段のお手伝いとしてタオルなどを畳ませてみましょう。お手伝いができたら褒めてあげたり、時には御褒美を渡してあげたりするのも良いでしょう。お手伝いは将来の仕事にも結びつきます。
〇誤解
勉強は机でするだけではありません。服をたたむことによって算数の図形の基礎的な力を養うことができます。
1-6.靴下
2歳頃になると、自分で靴や靴下を脱ぎたがるようになってきます。着脱の中でも、見ながら操作が行える靴下の着脱は、取り組みやすい活動でもあります。
まず始めは、脱ぐ・履く動作の最後の動作からやってみます。脱ぐ動作は、踵まで外した状態から子どもに指先部分を引っ張らせ、履く動作は指先を通した状態から子どもに引っ張らせてみます。
靴下を1人で上手に履くポイントは、履く時の姿勢が大切です。床に座り、履く方の膝を立て、両側に左右の腕がくるようにして靴下を履きます。この時、反対側の脚は床に倒すことで姿勢が安定します。そして靴下の踵の部分が下になるように、穴の両端を両手で持たせると、自然に踵にあって履けるようになります。
〇ワンポイント 靴下のたたみ方一つで、子どもの履きやすさが違う!!
洗濯後の靴下をどのようにたたんでいますか? 左右を合わせた靴下では、子どもがそのまま持って履いてしまい、踵がしっかり合わないことがあります。子どもが慣れないうちは、前後を合わせた状態にして、両端を持って履くように教えましょう。
〇誤解 靴下は履いた方がいい?
安全な場所では時には裸足で過ごしてみましょう。足の裏の感覚が育つことでバランスが良くなります。
2.排泄動作
2-1.おしっこ
おしっこの間隔が2~3時間空くようになり、子どもがトイレに興味を示すようになったらトイレットトレーニングを開始しましょう。子どもをトイレに誘うのは、おしっこの出やすい朝や昼寝の後など、寝起きすぐがよいでしょう。また食事の後など何かの後にトイレに行くようにすると、トイレに行く予測が付き易くなり、習慣化しやすくなります。
トイレットトレーニングを成功させるポイントは、褒めることです。叱ったり怒ったりしても子どもはトイレ嫌いになるだけで逆効果です。叱る位なら一度トレーニングを中止した方が良いでしょう。できた時は大いに褒め、さらにご褒美シールなどを用いて、子どもと一緒に達成感を持つとよいでしょう。
トイレが成功し、パンツで過ごす時間が多くなったら、衣服の上げ下げや拭く動作など、子どもができることを増やしていきましょう。まずは「おしっこをした後にズボンを上げるだけ」、「次はパンツとズボンを上げる」と子どもができることを少しずつ増やしていきます。また大人と一緒にトイレに行き、どのようにするかを見せることで、子どもはトイレ動作の全ての流れを知ることができるでしょう。
〇ワンポイント おまるやトイレで遊ぶのはやめましょう!!
おまるやトイレは、おしっこやうんちをする場所と理解させるために遊ばせないようにしましょう。おまるを使用しない時には、手の届かない所に片付けましょう。
〇誤解
トイレに頻繁に連れて行きすぎないようにしましょう。おしっこをためることで、膀胱が大きくなり、溜める力が育ちます。また夜間に起こしてトイレに連れて行くのはやめましょう。しっかりと深い睡眠を取ることは、子どもの成長にとって大切です。
2-2.うんち
子どもは2歳頃になるとうんちが出た後に知らせるようになり、2歳半~3歳頃には出る前に大人に教えるようになります。しかし実際には、おしっこよりも出る回数が少なく、おしっこと同時に出てしまう場合もあるため個人差はあるようです。
毎日の排便は、生活リズムを整えるためにも重要な習慣です。便秘がちな子どもでも、朝食後や入浴前などに毎日、便器に座る習慣をつけましょう。
腸は安静時には動かず、運動時に腹筋が働くことで動きます。腸の動きが悪いと便秘になりやすくなります。そのほかの便秘の原因としては、水分と食物繊維質の摂取不足が考えられます。
年齢が低い子どもは、はじめ、隠れてうんちをしたり、おむつの中でしかしたがらないことがあります。おしっこ同様に焦らずに、絶対に叱らないことがポイントになります。
子どもは叱られると、排泄行為自体がいけないことと認識してしまい、余計に自立が遅れてしまいます。また自立の時期の目標を立てないようにしましょう。目標を立てると、親も子どもにもプレッシャーになってしまいます。子どものペースに合わせて進めていきましょう。
またうんちは、見えないお尻の穴から出るため、子どもにとっては意識しにくいものです。うんちが出た後には、その日のうんちの大きさや色などを見たり、また流した後の便器を確認したりするようにするとよいでしょう。これらは、今後の健康状態の管理や、エチケットの面でも有効です。
〇ワンポイント 毎日うんち、出てますか?
便秘がひどくて痛い思いをしている場合には、うんちをすること自体が嫌になり、余計に便秘になってしまいます。小児科に受診してうんちの出やすい薬を出してもらい、毎日うんちを出す習慣作りから始めてみるのがよいでしょう。
〇誤解 ヨーグルトだけで大丈夫?
水分が足りていない場合が多くあります。それ以外に、食物線維、運動(特に腹筋を使う運動)が重要です。
2-3.おしりを拭く
おしっこやうんちがトイレでできるようになったら、自分で拭くことも練習しましょう。まずはトイレットペーパーを陰部やお尻に当てることから始め、徐々にきれいにすることを意識していきますが、確実に拭けるようになるまでには時間を要します。
トイレットペーパーの準備は、(1)必要な分のトイレットペーパーを引っ張る (2)トイレットペーパーを持たない方の手でホルダーの蓋を押さえる (3)トイレットペーパーを切り取る (4)トイレットペーパーを畳む という流れで行います。
拭く際の手の入れ方(前からもしくは後ろから)は、子どもの体や手の使い方、体型からやりやすい方法をとります。例えば、体を上手くねじれない子どもは前から拭き、ぽっちゃり体型で足が開きにくい子どもはうんちを後ろから拭くとよいでしょう。女の子のおしっこの拭き方は、陰部にトイレットペーパーを当てるくらいでも十分です。女の子のうんちの場合は、必ず後ろから手を回し、前から後ろに向けて拭くように教えます。膣への感染を防ぐためにも徹底してください。
〇ワンポイント
まずは、子どもに拭かせてみましょう。きれいに拭けないだろうからといって、大人が手伝っているといつまでたってもできるようにはなりません。一度拭いてみたらトイレットペーパーにうんちが着いているか確認させてみましょう。その後に仕上げをしてあげ、「きれいに拭けてえらかったね」と褒めてあげましょう。
〇誤解
はじめからウォシュレットを使うときれいで良さそうですが、自分で拭けるようになってからにしましょう。
3.まとめ
これまで様々な生活動作を説明してきましたが、ただ身の回りのことができるようになるだけでなく、体を自由に動かす器用さを育てるための基礎や、学習の基礎、自分をコントロールする力を育てます。これは将来、学校や社会に出ていくために必要な、実行機能や自尊感情を高めることであり、ぜひじっくり取り組んでもらいたい活動です。
これまで紹介した内容は、「発達が気になる子へのスモールステップではじめる生活動作の教え方」「発達が気になる子への生活動作の教え方」中央法規出版で詳しく紹介していますので、ご参照ください。また、セミナーも開催していますので、ご参加ください。
※発達が気になる子へのスモールではじめる生活動作の教え方
※発達が気になる子への生活動作の教え方
※かもん×オフィスサニー共同セミナー
株式会社児童発達支援協会
リハビリ発達支援ルームかもん
代表取締役 鴨下賢一
● 連載:感覚・動作アセスメントの概要
第3回 動作(協調運動)のアセスメントの作成の経緯
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1.はじめに
今回は感覚・動作アセスメントの中の動作(協調運動)のアセスメントの作成の経緯について、少し詳しく説明します。
協調運動の問題が見られる発達障害に発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder: DCD)があります。DCDがある子どもは、脳性麻痺のような明らかな運動麻痺がないにもかかわらず、協調運動において明らかな問題を示します。例えば、縄跳び、球技、ダンスなどが苦手であったり、文字が拙劣であったりするなどの困難が見られることがあります。
そして、DCDのある人は学校で友人関係において困難を抱えたり、大人になってからも抑うつが見られたりすることが多いことがわかっています。そのため、早期にその問題に気付き、支援につなげる必要があります。協調運動の問題への支援は、学校生活において特に必要となるため、学校における協調運動の評価ツールが必要です。
DCDの評価には、Movement Assessment Battery for Children (2nd ed.)MABC-2などの直接実施型の個別検査や、DCDに関するスクリーニングテストであるDevelopmental Coordination Disorder Questionnaire (DCDQ-R) (Henderson, 2007)、3-4歳用のDCDQであるLittle Development Coordination Disorder Questionnaire (Little DCDQ) (Rihtman et al)、教師が回答するDCDの質問紙であるMotor Observation Questionnaire for Teachers (MOQ-T) (Schoemaker, 2003)などが用いられることがあります。
しかし、これらの検査や質問紙は、日本で再標準化が現時点ではまだ行われていません。そのため、日本で用いることができる協調運動の評価のためのツールが必要とされていました。特に学校における評価ツールの導入は大きな課題でした。
2.動作面のアセスメントの項目・評価領域の作成
そこで、共同研究者と一緒になって、教師が使える感覚面のアセスメントツールを作成してきました(岩永ら, 2017; 上田ら, 2015; 中山ら, 2012a; 中山ら, 2012b)。この研究プロセスでは、学校での活動において必要とされる全身運動、手先の運動だけでなく、口の運動や眼球運動にも注目し、それらを評価できる項目を用意しました。また、教師が学校での生徒の生活の様子を見て判断できるよう学校の生活動作を中心に評定できるように質問の工夫もしました。
そして、これまでの研究を踏まえ、より簡便に教師などが子どもの動作を評価し、支援につなげられるように感覚・動作アセスメントの動作面のアセスメントを作成しました。
感覚・動作アセスメントの動作に関する質問は前述の研究で動作の評定に有効と判断された38項目で構成されています。回答は5段階で、教師は「よくできる(0点)」、「できる(1点)」、「少し苦手である(2点)」、「苦手である(3点)」、「非常に苦手である(4点)」のいずれかの回答をするようになっています。
結果表示は、これまでの因子分析研究で明らかになった感覚処理の4因子すなわち、「書くスキル」、「スポーツスキル」、「両側動作と側性化」※、「姿勢及び読字・口腔運動」に対応したスコアと「書字」、「描画」、「手の動き」、「全身の両側運動」、「読字」、「口腔運動」、「姿勢」、「動きへの適応」の運動領域ごとのスコアが出てくるように構成しています。これらをわかりやすく示すために感覚・動作アセスメントでは、領域ごとのスコアをレーダーチャートで、パーセンタイルスコアによって表示するようにしています。
※解説 両側動作と側性化:左右の手足の協調や利き側の確立など
3.支援方法の提示
研究段階において、動作スキルに関するスコアを見ても、どのように支援したら良いのかわからないとの声も聞かれたため、動作スキルの偏りに応じて、支援方法が表示されるように工夫が必要と考えました。
4.おわりに
以上のような経緯を経て、教育現場で教師が動作の問題を自ら評定して、支援方法を模索できるようなツールをレデックス社の協力のもと、具現化したのが感覚・動作アセスメントの動作アセスメントの部分です。これを学校の教師や療育関係者に使っていただけると子どもの動作の問題を評価してスコアを出すだけではなく、支援方法のヒントを得られることとなると考えます。このツールを多くの教育者、支援者に活用していただきたいです。
文献
Henderson, S., Sugden, D., & Barnett, A. L:The movement assessment battery for children (2nd ed.). London: The Psychological Corporation. 2007
Rihtman T, Wilson BN, Parush S. Development of the Little Developmental Coordination Disorder Questionnaire for preschoolers and preliminary evidence of its psychometric properties in Israel. Res Dev Disabil. 32(4):1378-87. 2011
Schoemaker MM: Manual of the motor observation questionnaire for teachers. Groningen: Internal Publication, Center for Human Movement Sciences, In Dutch. 2003
岩永竜一郎, 加藤寿宏, 伊藤祐子, 仙石泰仁, 徳永瑛子, 東恩納拓也, 樫川亜衣, 上田茜: 学校版運動スキルアセスメントの因子分析研究, 日本発達系作業療法学会誌, 5(1): 15-23, 2017
上田茜, 岩永竜一郎:学校版・感覚運動アセスメントシートの通常学級児のデータに基づく因子分析~運動面の結果~ . 感覚統合研究. 15: 33-40, 2015
中山茜、岩永竜一郎、十枝はるか:学校版感覚・運動発達アセスメントシートの開発~運動面に対するアセスメント~. 感覚統合研究. 14: 35-40. 2012a
中山茜、岩永竜一郎、十枝はるか:学校版感覚・運動発達アセスメントシートを使った広汎性発達障害児の運動面の評価~パイロットスタディ~. 感覚統合研究. 14: 41-46. 2012b
岩永竜一郎
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授
● あとがき
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鴨下先生の生活機能獲得に関する連載、いかがでしたでしょうか? 子どもによって、またその発達状況によって、適した支援の方法は異なるようです。今回の連載がその役に立つことを願っております。
以前、ご案内した9月の福岡での、岩永先生と五藤の講演会&セミナーはどちらも満席となりました。ご協力ありがとうございました。
次回メルマガは、9月13日(金)です。