自分のお金は財布のお金。通帳のお金は見えないお金!

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2018.02.23

自分のお金は財布のお金。通帳のお金は見えないお金!

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■ 連載: 自分のお金は財布のお金。通帳のお金は見えないお金!
■ 連載: 攻撃行動を起こす子どもの気持ち
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─■ 連載:性とお金と親亡きあと -タブー視されがちな領域の支援
第4回 自分のお金は財布のお金。通帳のお金は見えないお金!
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小学生、中学生の子を持つ若い親御さん向けの金銭教育セミナーが増えてきました。子どもにお金のトレーニングをする前に、障がいのある子どもは学校を卒業したらどのような暮らしになるのか、将来についてのイメージを持てるように話します。そして、いずれ来る親亡きあとを迎えた人達の暮らしがどのようになっているのか事例でお伝えしています。

本来、手助けしてくれる人や福祉の機関と繋がっていれば最悪の事態を招くことはないのですが、驚くことに小学生、中学生の子どもを持つ若い親御さんの中には、子どもの進路も定まらない時期から将来を悲観する人がいます。それは、子どもが社会から見放されて孤独になってしまうのではないか、働けなくなって食べていけないのではないか、障害基礎年金がもらえずお金に困窮しているのではないか・・・などの不安です。

「障がいのある子どものためにいくら遺しておけばよいですか?」この質問は山ほど受けますが、ご本人の年齢、暮らし方、就労の形態によってもライフプランは人それぞれ変わります。なので、ズバリの金額を教えてくださいと言われたとき、即答でお答えできるものではないのです。

ただ、子どもさんも成人して暮らし方や就労などある程度の経験と見通しのある人はライフプランを立てることはできますが、小学生や中学生の子どもに対して、将来のビジョンもないままライフプランを立てることはいくら福祉の現場に長くいた私でも予想できません。

ですが、親が将来に向けて最善を尽くしてあげられるのなら、やれることはいくらでもあります。子どもが孤独になるかもしれないと思うなら、孤独にならないようにするにはどのようなコミュニティーやネットワークを構築するのか考え、就労したことで有期限の障害基礎年金の支給が止まる可能性に不安を持つなら、就労を安定させるサポートを利用することです。また、福祉の支援は時代とともに変化しますので、今ある資源やサービスについてのアンテナを立てておき、親が元気であっても一人でできることを増やすということに力を注ぐことは可能なはずです。

親御さんの中には、子どもがじっとしていても、周りが御膳立てし、その中で生きていく方法を模索されている方がいらっしゃいます。ですが、子どもは子どもの生き方があるので、親が元気であっても自立した暮らしに向けて今から取り組めることはたくさんあるのです。

前置きが長くなりましたが、私は障がいのある子どもは、学習と並行して体験や経験を積むことで体得する力をつけていくと考えています。それは特別なことではなく家のお手伝いやちょっとした買い物、毎日のお小遣いの管理から将来の自立につながる教育が詰まっています。

前回の連載で、金銭教育のステップはお金には役割があることから教えてお金に興味を持たせたうえで、お金を持って、使うという繰り返しをするということをお伝えしました。1か月のお小遣いとカレンダーを組み合わせることで、お金の計画や我慢する日があることを学ぶことで、お金の価値や量の理解につながることを述べました。

※子どものやる気を育む お金カレンダー
(詳細はこちら>>

このお金カレンダーのモニターで昨年協力してくださったみなさんは、1年経った今、さまざまな成功や失敗体験を積まれています。子どもの課題とその課題に対してどう向き合うかなど日々悩まれています。ですが、ちょっとしたことでその課題がクリアできたときは親子で喜びを感じているという報告がモニターをしてくださった皆様から上がっています。

その反面、あるところのグループホームでは、ある人がゲームの課金で10万円つぎ込んでしまったそうです。その人の場合、10万円は給料よりも多いお金でしたが、「通帳から引き落としできたならいいじゃん」とあっさり言われたそうです。なのに、自分の小遣いから支払って参加するサークルの会費300円は「高くて払いたくない」と言ってサークルに参加されなかったそうです。結局サークルに参加せず寂しい日曜日を過ごしたようですが、「ゲームの課金10万円あれば、サークル333回分、約27年分支払えたんだよ」というと、「え~!そんなに行けたのか・・・」と、絶句していたそうです。

お家やグループホームで通帳を管理してもらっている場合、お金の流通が見えません。知らない間に振り込まれていて、知らない間に引き落としされています。それが、いくらであるか金額まではわからないですし、いきなり使い過ぎと言われても、お金が大きくなるほど、数値化してしまいます。課金で10万円使った方も、300円の価値は理解できても、10万円になると見たことも無いお金なので、大きいと言われてもどれぐらい大きいお金なのかわからないのではないかと思います。

またある人は買い物依存症と言われましたが、その方の話を聞いてみると、自分の通帳を見たことがなく、自分がいったいいくら稼いでいていくら貯金があるのかよく分からないまま、クレジットカードを使ってしまったらしいのです。「クレジットカードを使うだけでほしいものがいつでも手に入るのでついつい買ってしまったのですが、使ったお金の実物をみて驚きました」と言われました。もしかしたら、お金のルールや使える量を教えられていれば、このようなことは起こらなかったのかもしれません。

できれば、親御さんが成人した子どもの通帳管理をされているなら、そこから何かのお金を引き出しするとき(例えば生活費や自分の小遣い)は、本人に引き出しさせて、きちんと親に渡すということからはじめてほしいと思います。“想像することが苦手な障がい”だからこそ、生活で動くお金の流れも見える化してほしいのです。子どもの金銭管理をするうえで親が代理でやってしまうことは失敗がなく子どもに任せるより楽かもしれません。ですが、管理する人がいなくなってしまったら、自分でするすべを知らないまま生きていかなければならないのは子どもなのです。

鹿野佐代子 (福祉系ファイナンシャル・プランナー)
(プロフィール等詳細はこちら>>

 

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─■ 連載:気になる行動の捉え方
第3回 攻撃行動を起こす子どもの気持ち
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これまでのお話から、子どもの行動を考えるときに行動の起きるきっかけやその結果に注目してみることで行動への対応がはっきりとしてくる、ということがお分かりいただけたと思います。

こうして、私たちがふだん子どもたちのことを観察しているように子ども達も実は、大人の行動をジッと観察していることがあります。よく、初めて出会う子どもが私の前でわざと物を落としたりすることがあります。皆さんだったらどうしますか、拾いますか?私は、物を落とした子どもに「落としたよ」といいます。そうすると、たいていの子は『なぁんだ』というような顔をして自分で落とした物を拾います。それは、落とした物を拾ってくれるかどうか、単純にそれを見るための試し行動をとったのです。物を拾ってくれたら『この人は、自分の言うとおりにしてくれる』という判断で、低学年なら「これやって」という行動が多くなることでしょう。実際に、目の前で鉛筆を落としたので拾って渡したら一日中くっついてきては、これやってあれやってと要求攻めにあったという経験があります。

こうした試し行動から、危険な行動へと発展したケースがあります。

親御さんから連絡を頂き、彼の自宅を訪問したのは彼が小学4年生の時でした。自宅にあがると何とも不自然な場所にカレンダーが貼ってあったり、あれ?と思うような凹みがあったりしたのを覚えています。お母様からの話では、学校に不適応を起こし行かれなくなっている。というのですが、どうやら暴力的な行動に困っている様子でした。

しばらくして部屋のドアの隙間からボールが飛んできました。ボールは、一つ、二つ飛んできたのでそのまま隙間に投げかえすとまた、一つ、二つ、ボールを隙間でやり取りしているとドアの向こうから「ははは」と笑いが聞こえ懐かしい顔が出てきました。きっと、ドアの向こうで母親とのやり取りをうかがっていたのでしょう。彼とは幼少期に関わっていたので彼からすれば、今の自分の話を聞いて先生はどんな風に思ったのか、以前のように関わってくれるのか気になっての試し行動だったのでしょう。

彼は毎回、訪れるたび可愛いトリックを仕掛けるようになりました。幼少期に彼がやっていたイタズラによく似ていました。その一方で母親には蹴る叩くといった行動は続いていたようでした。

ある日、いつものように伺うと玄関にチョークでSOSと書かれていました。特に慌てずいつも通りに入っていくと、いつものイタズラはありませんでした。ただ、母親はとても疲れていて話を聞くと、彼がナイフを出すようになり、怖くてどうしたらいいのかわからないというのです。しばらくして彼が入ってきてナイフを出してきましたが、慌てずいつもと変わらず普通に話しかけると、彼は「ちぇ、なんだ」と一言いい、「しまっておいで」というこちらの言葉に従って片づけました。その後、彼とは学習を少しずつ始めることになりました。

いくつかのエピソードやご家族、学校からの話から、彼の蹴る叩くという攻撃行動は、相手とどう関わっていいのかわからない時、不安な時、そして気持ちを誤魔化そうとする時の行動だということがわかってきました。

彼が4歳だった時、とても怖がりでいつも先生のエプロンをつかんで泣いていたのを覚えています。彼のイタズラは、いつも人との距離をどうとったらいいのか分からず、少しづつ試しながら近づいていくための手段だったのかもしれません。

彼と学習していたあの頃、彼からFUNKY MONKEY BABYSの「あとひとつ」という曲を教えてもらいました。「ぼくね、この歌 好きなんだ」そういって教えてくれた曲は、どれも上手く表現できない自分の気持ちを重ねていたように思います。

※FUNKY MONKEY BABYS「あとひとつ」より
『あと一粒の涙でひと言の勇気で願いがかなう その時が来るって 僕は信じてるから
君もあきらめないでいて 何度でもこの両手を あの空へ』

今回のケースは、彼との関係性がしっかりとあったからこそ変化がみられたことだと思います。この行動が、何を意味するのか、相手の行動にも こちらの行動にも意味を持つということ。普段から少しずつ、「行動」の意味をキャッチできるようにしていくと良いですね。

※編者注:YouTube動画紹介 (動画はこちら>>
2月4日ファンキー加藤「I LIVE YOU 2014 in 日本武道館」DVD&Blu-ray発売記念!!
FUNKY MONKEY BABYSのMVを一斉公開中! 2015/01/24 に公開

柳下記子
視覚発達支援センター 学習支援室「グッドイナフ」室長

 

─■ あとがき
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現在、連載中の柳下さんに、子どもの対処方法について、読者の皆さんからの質問に答えていただこうと思います。

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