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■ 連載:機能代替としてICT機器を使うためには!
■ 連載:成人ディスレクシアの独り言:隠すためのICT
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──■連載:Children First(子ども達を中心に考えてみよう!)
~判断に困った時や行き詰った時には原点回帰~
第4回 機能代替としてICT機器を使うためには!
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今回は機能代替としてのICT機器の活用について考えてみましょう。
機能代替とは、補完など様々な表現もありますが、一般的にはある機能を別の方法で変わりをするという意味です。特別支援教育の分野では「読み・書き・計算・記憶・・」などに困難を感じている子どもたちがタブレット端末などを活用することで、困りをICT機器で補完するという場面でよく使用されています。
具体的な活用法や考え方・必要性が良く分かる動画をご紹介しますので、是非ご覧になってください。読み書きに困難を感じている現在、高校1年生の松谷君が、数年前にTEDxKids Chiyodaの一般公募に採択されてプレゼンテーションをしている様子です。
1.Never give up on learning by yourself Tomonao Matsuya TEDxKids@Chiyoda YouTube動画
(動画はこちら>>)
もう一つは、当事者の寅さん(編者注:本メルマガに執筆中の井上智さん)が、つい先日公開されたディスレキシアの啓蒙動画です
2.ディスレクシア「Dyslexia」YouTube動画
(動画はこちら>>)
松谷君がプレゼンテーションで述べている「読み書きを頑張らせることで学ぶ機会を奪わないでください。」という言葉が本当に重く響きます。また、彼は読み書きを訓練されることを「疲労>効果」とも述べています。多大な努力を強いられる割に効果のほうが圧倒的に低いという意味です。
これまでにも書いてきたように、読み書きは学習の本質なのでしょうか?
情報を入手する・情報を発信する為の手段にすぎないと考えると、人によって様々なツールがあっても良いという事は簡単に理解できることと思います。
自分で読めた・書けた方が便利に決まっています。道具に頼らないか、道具があれば出来るかはコンビニエンス(便利さ)の差だけであると思います。代替手段のなかった十数年前には選択肢がありませんが、今の時代には多様な選択肢があります。
また、色々なところで紹介されている「平等と公平」の※図1にもあるように、みんなが同じように学習が出来るというスタートラインに立つためにも、ICT機器による手段の選択は大変重要なことだと思います。
※図1 BUZZAP! 「平等」と「公正」の大きな違いが1秒で納得できる画像
(詳細はこちら>>)
それでは、学校現場(特に、特別支援学校・特別支援学級・通級指導教室など)でのICT機器の活用について考えてみましょう。
活用方法を大きく分類すると
・教師が使う ユニバーサルデザイン授業
・児童生徒が使う 学習補充
・児童生徒が使う 機能代替
の3つに分けることが出来ると思います。
この中でも今回は機能代替としての活用に絞ってお話している訳ですが、活用する前に大切にして欲しいことが有ります。
・安易にICT機器に頼らない
これは先ほども述べましたが、大前提として自分で出来た方が楽(便利)だという事です。機能代替としての活用は多くの場合、不便(面倒くさい)ですから、しっかりとしたアセスメントと本人の意思に基づき活用を考える必要があります。
●ICT機器を活用する必然性はあるか
代替手段は手軽で汎用性が高い方が便利です。
ICT機器でないと代替できないのか、もっと手軽な方法で出来ないのかをしっかりと事前に考えることが必要です。現場では、アナログの自助具等で補完できるケースも多く見られます。
●ステークホルダー(利害関係者:クラスの友達・学校・保護者など)との合意形成は計れているか
利害関係者の合意形成や理解が充分にできていないと、よくある「何であの子だけ?」「ずるい!」などの悲しい議論がいつも発生します。またそのような状況を恐れるが故に代替手段を了解しないケースも多くあります。
Children Firstの考えからスタートしないと、当事者を度外視した議論ばかりで一向に事態は進展しません。
●手帳や診断が有るから許されるのか?
スペクトラム(連続性)の中で、行政的な支援や医療的な支援の判断基準として、障害者手帳や医師の診断が存在します。連続性の中で実際には分かれ目は存在しません。
大切な事は、本人がどの方法が学習し易いかにあります。
機能代替としてのICT活用を学校全体で理解・啓蒙していくためには、例えば以下のようなアプリーチも良いかもしれません。
情報などの時間にコンピュータ室でクラス全員に音声読み上げやキーボード入力・音声入力を体験させて、紙の読み書きを比較してみます。
それを継続することで、自分達でどちらが学習に便利かを考えさせます。
ICT機器を使用する事を選択する子は、実は表面化していなかったけれど、これまでに読み書きで困っていたのかもしれません。
また、道徳等の時間を利用して、全盲の人だったら教科書読める? 肢体不自由の人だったら紙に書ける? などの学習をしながら学ぶ手段はそれぞれによって違う事は当たり前であることを理解します。
じゃあ、どんな人達がICTを使うことを許されるの?
それは手帳や診断ではなく、 各自が選択することであることに気づく
このように実体験を通しながら、学校のホームページなどで保護者への啓蒙を続ければ、きっと大人の理屈で排除していたICT機器による機能代替は当たり前の権利として広く理解されていくことと思います。
高松崇
(NPO法人支援機器普及促進協会理事長)
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──■ 連載:成人ディスレクシアの独り言
第10回 隠すためのICT
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読み書きの困難を隠しながら働いて働いて、気がつけば独立して自分で会社を起こし、人を使う立場になっていました。
出前を頼んで、嘘をついてお願いしなくても、会社には書いてくれる人がいます。もちろん、だからといって、「書けない」ということがばれてはいけない状況は変わりませんでした。むしろ、「あそこの社長、読み書きができないらしいぞ」となったら、会社の信用が無くなってしまいます。あくまでも、「手広くやっていて、忙しいから事務員を雇っている」でなくてはいけませんでした。
そんな自分にとって、絶好のアイテムが、携帯電話でした。当時、カバンのように大きな携帯電話を買って、月に何十万も通話料を払いながら、どこの現場にも持ち歩きました。携帯電話さえあれば、すぐに会社に電話して、メモをとらせることができます。やっていることは、今で言う「代筆」と同じですが、駆け回りながら電話で指示をとばす姿は、周囲からは、「景気のいい、カッコいい様子」に映ったようでした。
「カッコイイ」は、大事です。小学校のころから、みんなの前で読めない・書けない姿を笑われてきました。冷や汗をかいて、立ち尽くす、かっこわるい自分。そんな体験をずっとしてきましたから、「かっこ悪い」ことだけは、どうしてもしたくありませんでした。
同じ時期に、ワープロにも出会います。まだ2行しか表示ができなかったその機械を、30万円握りしめて、電気屋に買いに走ったことを、今も覚えています。初めてのキーボード。ものすごく時間をかけて、やって打ち出した一行の文字は、当たり前ですが、とてもきれいでした。それをみた時、「ああ、これでやっと自分も一人前の社会人になれる」と思い、泣きたくなりました。
15才で家を飛び出してからずっと、一人で働いて生きてきていても、会社を経営し、何人も雇っていても、「書けない自分」は、どこか、一人前じゃないと負い目がありました。きれいな印字は、自分にとって初めての「人に見せて恥ずかしくない文字」でした。夢中になって、色々なテンプレ―トを作りました。当時、「手書きでない」書類は、まだ珍しく、「さすが社長」と言われて、有頂天にもなりました。ワープロは、新機種が出る度に買い替えていきました。
ほどなく、パソコンの時代がやって来ます。インターネットの普及は、ありとあらゆる文章のコピぺを可能にしました。手紙もお礼状も、自分の名前を入れ込むだけで、できてしまいます。嬉しかったです。本当に嬉しかった。もちろん、パソコンがない時代も、文例集は、売られていました。でも、それを見ても、自分は「正しく」は、書けません。パソコンというデバイスがあって、初めて自分の「書き」は成立したのです。
次に出てきたのが、スマートフォンです。そこには、「予測変換」という機能がありました。今まで、文字を思い浮かべることにエネルギ―を使いすぎるため、「自分が何を書きたいのか」わからなくなるのが常だったのが、この予測変換のおかげで、ス厶ーズに書きたいことが書けました。パソコンで書類も作れる、スマホでメールも送れる、「これでやっと、書けないのがばれずにすむ」と思えるようになりました。
ICTは、確かに、当時自分を助けてくれたと思います。でも、それは、常に「隠すためのアイテム」でした。カッコよく最先端の機械を使いこなしている姿を装いながら、いつもむなしさが残りました。
井上智、井上賞子
ブログ「成人ディスレクシア toraの独り言」
(ブログはこちら>>)
──■ あとがき
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公益財団法人テクノエイド協会主催、厚生労働省後援で、障害者自立支援機器シーズ・ニーズマッチング交流会が12月から毎月2日間ずつ、大阪、福岡、東京で開催されます。レデックスも、脳バランサーキッズや聴覚認知バランサーなどのアセスメント機器を展示します。編者も説明に参加しますので、お時間の許す方はご参加ください。
(詳細はこちら>>)
次回メルマガは、12月22日(金)です。
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