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■ 連載:成人ディスレクシアの独り言:小学生時代のこと
■ 連載:アメリカでの保活、その2
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──■ 連載:成人ディスレクシアの独り言
第2回 「小学生時代のこと~低学年のころを振り返って~」
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物心ついたころから、おしゃべりで愛想のいい自分は、周囲の大人たちから「サトルは賢いなあ」と言われて育ってきました。昭和40年代に入ったばかりの大阪、大人たちは忙しく、幼児であっても特に大人の付き添いのないまま、近くの空き地で真っ暗になるまで遊んでいるのは日常でした。上の学年の子達にかわいがられ、同年代の子達のリーダーとして、新しい遊びやいたずらを提案しては、駆け回っていました。「サトルくん、待ってー」と自分の後ろをかけてくる友達の姿が、今も記憶に残っています。
みんなの中心にいるガキ大将。誰よりも何でもできる自分。そんな日々が、当然続くものだと信じて疑わないまま、小学校にすすみました。
マンモス校の教室には、知らない子達がたくさんいましたが、みんなすぐに仲良くなりました。運動ができて面白いことも言う「サトルくん」は、学校でも人気者だったと思います。
でも、「文字」の学習が始まり、自分はスタートから大きくつまずくことになります。最初は「俺も読めない」「私も覚えてなーい」という子達が数人いました。でも、そんな「仲間」も、一学期が終わるころには、すらすらと教科書を読んでいました。
読み書き以外は、問題のない活発な子。質問にもはきはき答え、行動も早くて面倒見もいい。周囲は「ちょっと文字が入るのが遅いけど、まあ、興味がまだないのかもね。そのうち覚えるでしょう」とのんびり構えていたのではないかと思います。「怠けてないで、ちゃんとやりやー」と、頭をかるくはたかれる、そんな感じでした。
でも、自分の中では、得体のしれない不安が渦巻いていました。私は、怠けてなんかなかったんです。むしろ、かけっこと一緒で、自分は当然一番になると思って張り切って、こっそり練習もしていました。それなのに、いつまでたっても読めるようにも書けるようにもならない。「怠けている」と言われると、むしろほっとしました。不思議ですよね。「そうだ。俺は怠けているからできないんだ。みんなよりだめだからできないんじゃないんだ」と思いたかったんではないかと、今ならわかります。
2学期になり、3学期になり、友達はどんどん漢字もすらすら読んだり書いたりできるようになっていくのに、私は相変らず、ひらがなの習得にも苦戦していました。「こんな簡単なこともできないの?」と言われたらどうしよう、「サトルくん、これも読めないの?」と気づかれたらどうしよう。あせる自分は、必要以上にふざけてみせて、「勉強に興味のない子のふり」をしていたように思います。
実は自分は、家庭の事情もあり、小学校を何度も変わっています。「転校したてで、なかなか落ち着いて勉強できないんだろう」そう言ってくれる先生もありました。自分自身、そう思われたかったし、そう信じたかった。だって、転校したばかりの学校での最初の評価は、決まって、「面白くて賢い子」でしたから。「自分は賢いんだ。ちょっと勉強すれば、すぐに追いつくんだ」一生懸命、そう思い込もうとしていました。
でも、学校の勉強のほとんどは「読むこと」でスタートし、「書くこと」で評価を受けます。どちらも壊滅的にできない自分の姿は、ごまかしきれるものではありませんでした。むしろ、口もたつし知恵も回るのに、いつまでたっても読み書きができない、その上ごまかすことばかりうまくなっていった子どもに、周囲は、特に教師は、容赦なくつらく当たるようになっていきました。
2年生の担任は、体の大きな男の先生でした。忘れられない強烈な記憶があります。
朝、授業前、「規律・・礼・・着席!」の次が、自分の教室にはあったんです。「規律・・礼・・着席・・サトルお前は後ろで立ってろ!!」本当に毎日そう言われていました。54歳の今も、当時の男性教諭の声が耳にこびりついています。あざけるような、拒否するような声。
くやしかったし、悲しかった。でも、どこかで「仕方がない」とあきらめている自分もいました。だって自分は「誰でもできることができない問題児」でしたから。
小学生にとって、教師の評価は絶対です。読めない自分を、先生が笑う。書けない自分に、「またか」と言わんばかりの溜息をつく。だから友達も笑う。ばかにする。当時の同級生に、
「サトルくん、このままじゃ立派な大人になれないよ」
と言われたことは、今も忘れられません。
自分の名前がやっと何も見ないで正しく書けるようになったのは、2年生の終わりではなかったかと思います。「えーと・・」と考えなくても、きょろきょろとヒントを探さなくても、すっと書けるって、当時の自分にとっては物凄いことだったんですが、もちろん誰にも褒めてもらえません。だってみんなはもうそこにはいないから。「できたよ」ということもできません。そんなこと2年生ができるのは当たり前だから、むしろ「まだそんなこともできなかったのか」と叱られるのが落ちです。
「読めない」こと「書けない」こと、は、ありえないこと。
そんな怠けものには、ろくな未来はない。
低学年のころでさえ、毎日の授業の中で、繰り返しそんなメッセージを送られていたように思います。
井上智、井上賞子
ブログ「成人ディスレクシア toraの独り言」
(ブログはこちら>>)
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──■ 連載:アメリカでの保活、その2
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前回はアメリカの働く親たちがどの様に子供の預け先を探すのかをお話ししましたが、第2回の今回は、どんな種類の保育システムがあるのかを掘り下げてご紹介したいと思います。
1) ベビーシッター/ナニー
自宅に来てもらって、子供を見てもらいます。
週に数回のみや数時間だけのケアで時間給で支払うのをベビーシッター、ある程度まとまった固定時間で月給制で支払うのをナニーと呼ぶことが多いです。
利点は何と言っても送迎に必要がないこと。
子供のお弁当や母乳(ミルク)なども冷蔵庫に入れておけばいいだけですし、それだけでも雑務が減ります。
2)ホームデイケア
アメリカの住宅は概して大きいので、自宅(の一部)を解放して少人数を預かって見てくれます。
料理好きな人だと、その家庭のご飯をランチに出してくれたり、庭が広いお家だと家庭菜園をしてみたり、様々なホームデイケアがあります。
他の子と接する機会もありながら家で過ごせるので、子供がまだ小さなうちは少人数で家庭的なケアをして欲しい、と望む親の願いを汲み取ってくれる所です。
「先生と生徒」と言うよりは「ママと子供」と言う感じです。
3)センター
日本の保育園イメージに一番近いのがセンタータイプのデイケアだと思います。
アメリカ全土にあるような大手のデイケアから、キリスト教やユダヤ教など宗教施設が母体になっている所、中高生まで進めるモンテッソーリスクール、バイリンガル教育をしてくれる所など、センターの特色は様々です。
働くスタッフも多いし、教材や遊具、画材道具などもあるので、子供が様々な活動に参加できる機会があります。
前回もお話しした様に、どのケアを選ぶかは完全に保護者の意向によります。
どのタイプにも利点もあればマイナス点もあるでしょう。
自宅から仕事ができる人で、日中の3-4時間だけ見て欲しい人は、準備や送迎に時間を取られるより自宅に来てもらえるベビーシッターが便利でしょう。
たくさんの人に囲まれて社交性を身につけて欲しいと思う場合は、センターが合っているかもしれません。
少人数で他の子とも兄弟の様に過ごして欲しいと思うなら、ホームデイケアが良いかもしれません。
子供が満5歳になった9月からは、13年に渡る義務教育が始まり基本的教育費は無料になるので、アメリカの働く親にとってはそれまでが勝負どころです。
週5日子どもを預ける場合、親1人分のお給料が子供2人の保育料に消えてしまう、などと言う事もよく聞きます。
それでは何の為に働くのかと言えば、キャリア形成の為(=長いスパンで考えると金銭的に豊かになるので子供のためにもなる)、自分という人間のアイデンティティ確保のため、そして福利厚生で高額な健康保険料を会社に出してもらうため、というアメリカならではの理由もあります。
日本ではまだまだ「赤ちゃんはお母さん(またはお父さん)と一緒にいるのが一番」という風潮がある気がします。
実際に私の子どもが生後1ヶ月半の頃に日本に里帰りをして出かけた際には「赤ちゃんは3ヶ月までは外に出したらだめよ」などと声をかけられる事もありました。
子どもが満1歳になった時に私が仕事復帰し、一時的に夜泣きがひどくなった時には、私の母から「まだ赤ちゃんなのにお母さんと離れて寂しいのではないか」ということを言われました。
それはマイナスな事ではなく、そういう風潮が日本に産休育休という素晴らしいシステムをもたらしてくれているのかもしれません。
もしかしたら「生後3ヶ月以内で他人に預けて仕事復帰できるだなんて、アメリカ人は冷たいわ!」と感じてしまう方もいるかもしれません。
しかし、現実はそうではなく、長いスパンで一体何が家族、子供、そして自身にとって良いかを考え、幼い我が子と離れ難いけれど職場復帰していく親(特に母親)が沢山います。
かく言う私は、実はこのデイケア(センター)に勤務して4年強になります。
様々な家族を見て来ましたが、自分も子供を持ち、育てることの大変さもわかった今は、泣いている子供を置いて後ろ髪引かれる思いで出ていく親御さんには「行ってらっしゃい、大丈夫ですよ!」と、できる限りの笑顔で見送り、産休明けで緊張しているお母さんには「育てるお手伝いは私たちにも出来るので、心配せずにお仕事行って来て下さいね!」と声かけ、出張で数日家を空けなければならず心配している親御さんには園で笑顔で遊んでいる写真を送るようにしています。
働く親にとって、離れている間も子どもが笑って過ごしてくれていると思える事が、仕事を頑張ろうと思える1番の活力になるのは、日米変わらないことだと思います。
日本でもアメリカでも、働く親が安心して仕事に集中できる様に、子どもを取り巻く保育環境がより良くなってくれる事を願うばかりです。
礒恵美(いそ めぐみ)
──■ あとがき
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