好ましい行動を引き出すほめ方

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2015.10.30

好ましい行動を引き出すほめ方

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■ 連載:好ましい行動を引き出すほめ方
■ 特集:子どもの困りに関するイベントの紹介・その1
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■ 連載:ペアレント・トレーニングの活かし方
(第2回)好ましい行動を引き出すほめ方
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『ほめる』というとどんな言葉が浮かびますか? すごいね、えらいね、といったことばでしょうか。『ほめる』という行為は、相手を『認める』ということです。ですから、相手を認める言葉や行為が『ほめる』につながるのです。

ペアレント・トレーニングを有効的に活かすためには、この『ほめる』が欠かせません。子どもは、自分を受け止めてもらえた喜びや、ほめられることの心地よさを知り、安心した親子関係から信頼関係を築いていきます。子どもを叱ったり、諭したり、時に厳しいことを安心して言えるのには、そこに『ほめる』がベースにあって、信頼関係がなくてはいけないのです。

【ほめどころに気がつく】
ペアレント・トレーニングでは毎回、宿題に取り組んでもらい、二週間後に宿題を発表しあうことから始まります。前回は子どもの行動をみて、「好ましい(増やしたい、継続してほしい)行動」「好ましくない(減らしたい)行動」「許しがたい(危険な)行動」の三種類に分けてくることでした。一人ひとりの発表をホワイトボードに行動ごとに書いていき、具体的にどういった行動がよいのか挙げながら、肯定的注意を促します。この肯定的注意こそが『ほめどころ』なのです。行動に注目することで、この『ほめどころ』に気が付く作業を習慣化させていくことがここでのポイントです。

好ましくない行動を共有していくと、好ましい行動が隠れていることがあります。例えば、「テレビに夢中になって宿題をやらない」という行動を聞いていくとテレビが終わって宿題をやるときもあるというのです。ついつい好ましくない行動のときにばかり目がいてしまい、好ましい行動を見逃してしまいます。この好ましい行動が『ほめどころ』です。ほめるところは、宿題をするという行動だけではありません。テレビを消した、宿題を思い出した、宿題をやろうとした、完全(パーフェクト)にできていなくてもいいのです。ペアレント・トレーニングでは25%ルールと言っています。25%でほめていくと、ほめどころはたくさんあります。

【『ほめる』とは】
よく「あたりまえのことをしているのだからほめられません」という方がいます。『ほめる』ことは相手を認めることですから、無理にほめ言葉を言わなくてもいいのです。無理にほめたり、本人が実感できないタイミングでほめても効果はありません。かえって、やる気を失わせてしまいます。例えば、本人にとっては上手くいかなかった作品を「上手くできたね」とほめても満足はできないでしょう。また、高学年の子どもに「早くお仕度できたね」とほめても、ばかにしているのかとかえって反発することでしょう。その行動に対して、励ましたり、興味を持ったり、目線を合わせて微笑んだり、抱きしめたり、言葉のほかに表情や声の調子、しぐさや行動から、認めてもらえたと感じることで好ましい行動の頻度が増え、好ましくない行動が減ってくるのです。

始めは上手くほめられないかもしれませんね。いろいろなほめ方(認め方)を見つけてみてください。ペアレント・トレーニングは、主に低年齢の子ども向けのプログラムですが、ほめ方や認め方を年齢に合わせることで比較的年齢の高い子ども達にも有効的です。子どもだけではなく、大人も人からほめられたり、認められたりすれば嬉しいものです。

【3つのメッセージ】
ほめ方の表現に、コーチングで用いられている3つのメッセージを紹介しています。

「○○ちゃん、すごいね」という子ども(あなた)が主語になる“YOUメッセージ”です。これは、こちらが上の立場になってあなたを認めている。というほめ方です。子どもをほめる時は、大抵がこのほめ方になると思います。

「あなたが~してくれて、私は、とっても嬉しい」というと主語が私になり、あなたのしたことが私に影響を与えているという表現になり、達成感が感じやすくなります。これが“Iメッセージ”です。

「あなたが~してくれたからみんなが助かったよ」 Iメッセージ以上に達成感を与え、みんなから認められた、貢献できたという表現になります。このようにして、だれを主体としたほめ方になるのか、意識して使い分けていくといいですね。

【ポイント】
『ほめる』ということ、子どもに伝わるように年齢だけではなく、その子どもに合わせて表現することが、より効果を高めます。大きなリアクションでほめられた方が嬉しいのか、静かにほめられたいのか、『ほめられる』という体験を心地よいものになるようにしましょう。

ほめ言葉は、短く具体的にどの行動に対してほめたのかが分るような言葉にすることがポイントです。
「優しくできたね、えらいね」→「貸してあげられて、えらいね」

また、ほめた後につい「いつもそうだといいいのに」「○○ちゃんは、もっとできるのよ」など、皮肉をいってしまいがちですが、それでは心地よい体験にはなりません。皮肉や批判的な言葉、ほかの子どもと比べるような言葉はくれぐれも避けるようにしましょう。

【スペシャルタイム】
子どもと二人で、子どもの好きな遊びをする時間を作りましょう。気持ちにゆとりのある時間、15分~20分くらいで構いません。遊びの共有体験は、親子の信頼関係を築きます。こうした関わりの中で子どもの好ましい行動を見つけ、声をかける(ほめる)習慣を身に着けていくことで、ほめてもらうことへの快感を覚え、ほめてもらうための好ましい行動が増えていきます。

スペシャルタイムは、事前に子どもと何曜日、何時または、どういったときにするかを話し合っておきます。この時間はあくまでも子どもに主導権がありますから、子どもに指示したり、注意をしたりせず、ゆったり構えて見守ってあげてください。子どもには、それが安心感につながります

柳下記子
視覚発達支援センター 学習支援室室長

 

■ 特集:子どもの困りに関するイベントの紹介・その1
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学会と聞くと、大層難しいものとお思いになるかもしれません。
多くの学会は、年に1回(2回以上のものもある)大会を開いており、そこでは、学会員以外にその活動を知ってもらうための企画を用意しています。

このメーリングリストを購読されている方の多くは、子どもの困りに関心をお持ちだと思います。皆様が参加して得るものがあるのではないかと思うイベントを何回かに分けてご紹介させていただきます。

その第1回として、まず年内に開かれるイベントを紹介させていただきます。

◯第37回子どものからだと心・全国研究会議
母体となる団体は「子どものからだと心・連絡会議」で、活動の中心になっているのは体育学関係の研究者の方々です。今年7月に亡くなられた正木健雄先生が設立され、身体を健やかにすることを基盤に、子どもの心の健康についても様々な取り組みをされています。

今年は12月12日(土)13日(日)の2日間、日本体育大学・世田谷キャンパスで開かれます。主な内容に以下のものがあります。

・特別講演:「いま、子どもの心の育ちを考える!~被虐待児、発達障がい児の脳科学~」 友田明美(福井大学子どものこころの発達研究センターAge2企画部門教授)
・特別報告:「子どものからだの調査2015(実感調査)」 野井真吾(子どものからだと心・連絡会議議長・日本体育大学教授)

詳細は、下記ページを御覧ください。
※子どものからだと心・連絡会議 (詳細ページはこちら>>

◯ATACカンファレンス 2015 京都
東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍先生が中心になって、困りのある人の自立した生活を助ける電子情報支援技術とコミュニケーション支援技術の普及を目的に活動しています。

特徴は、学校の先生方のタブレットを使った実践報告が多いことです。無料のアプリがたくさんありますが、一人ひとり異なる子どもに役立たせるには何を選ぶか、どう使ってもらうかの工夫が大切です。そんなニーズにぴったりの口頭発表、ポスター発表がたくさんあります。

今年は12月18日(金)から20日(日)に国立京都国際会館で開かれ、ご自分の関心のあるテーマの日を選んで参加することができます。
(1)実践研究を通じて、日々の取り組みを考える Academic Day
(2)皆で集まりこれからの社会を議論し、整理する Gathering Day
(3)実用的な知識や考えを身につける Practical Day

詳細は、下記ページを御覧ください。
※ATACカンファレンス 2015 京都 (詳細ページはこちら>>

(五藤博義)

 

■ あとがき
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11月には、展示会と2つの講演会があります。

11月8日(日) 島田療育センターくつろぎフェスタ(東京・多摩) 体験コーナーを設けます。特別価格での即売も行います。
11月14日(土) 講演会(三重・鈴鹿)
11月19日(木) 講演会(沖縄・宮古島)

講演会については、それぞれの主催元の広報ページが整いましたら、レデックスホームページでお知らせします。

次回メルマガは、11月13日(金)を予定しています。

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