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■ DVD:発達障害の子どもたち 第2巻 小学校における支援・通級指導教室
■ 連載:音は内耳でどのように処理されているか?
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■ DVD:発達障害の子どもたち~”自立をめざして”第2巻
小学校における支援・通級指導教室
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NHK厚生文化事業団が福祉ビデオライブラリーとして無料貸出をしている3巻セットのDVDの第2巻の紹介です。
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第2巻の監修は「ズバッと解決」を掲げ、全国で多数の講演活動を行われている星槎大学准教授の阿部利彦先生です。
○序章 子どもの思いと支援の現状
2012年12月に発表された文部科学省の調査結果は、小学校の通常学級の6.5%に特別な特別な支援が必要というものでした。内訳は、以下の通りです。
・学習面の著しい困難 4.5%
・不注意または多動性・衝動性 3.6%
・対人関係やこだわり 1.1% (重複の児童あり)
これら困りを持つ子どもへの支援には、以下の5つがなされています。
1.特別支援学級
2.個別の配慮
3.通級指導教室
4.学習支援員
5.教育のユニバーサルデザイン
○第1章 通級指導教室による指導
埼玉県所沢市立並木小学校に設けられた通級指導教室「フロー」の取り組みが紹介されます。同教室には、所沢市全域から40人の児童がそれぞれ週に1回90分通い、3人の担当教師からマンツーマンでの指導を受けています。
吉田隆史くん(小4)は、年長の時にLDとADHDの診断を受け、特に漢字の習得に問題があるということで、小4の4月から同教室に通うことになりました。
吉田くんは毎週水曜日午後3時に、保護者と一緒に教室に通っています。
※編者注)DVDの収録されたのは11月頃で約8か月経過した頃の報告です。
吉田くんの1回の取り組み内容は以下となっています。
1.あいさつと説明 5分
2.体を使って活動しよう 10分
3.ティータイム 10分
4.課題にトライ 40分
5.お好きにタイム 20分
6.さようなら 5分
1.あいさつと説明
各取り組み内容の開始時刻が表示された5つの時計の図が掲示され、1日の取り組みの見通しが持てるようになっています。
2.体を使って活動しよう
この日は両手で持つ大きなラケットを使ってのテニスです。目標はできるだけ長くラリーを続けること。最初の頃は、力任せにボールを打つことが多か
ったのですが、最近では、長い時間ラリーが続くようになりました。相手のことを考えて、自分をコントロールできるようになることが狙いです。
3.ティータイム
お茶を飲みながら、会話の練習をします。
4.課題にトライ
小学校の授業時間と同じ40分に設定されています。この日の課題は2つありました。担当の坂本條樹先生によれば、吉田くんがフローに来て行った認知検査の、次の2つの結果に基づいて、後述の課題が設定されたとのこと。
1) 注意力検査
パソコンプログラム「もぐらたたき」で、見逃しよりも、叩いてはいけないものをたたくことが多い:ルールに従って行動するのがにがて。強い刺激に反応しやすい
→後述、課題1 しゅうちゅうして とりくもう
※編者注)当社のこどもバランサーと同等のプログラム。
2) 複雑な図形を描き写す検査
見ながらは描けるが、3分後にはその一部しか描けない。さらに40分後には3分後とほぼ同じ図形を描く:記憶に問題はないが、形を観察して覚えるのがにがて
→後述、課題2 なぞのかたち 課題3 へんななまえ
※編者注 Rey-Osterriethの複雑図形 下記のpdfの論文でご理解ください。
★論文PDFはこちら>> 滋賀大学教育学部 久保田あや子氏他
課題1 しゅうちゅうして とりくもう(複合数字抹消検査CDCT)
パソコンを使って、画面に表示された数字とひらがなのパネルを例えば、以下のように順に交互にクリックする。短時間で正確にできると点が高い。
1→あ→2→い→3→う→4→え→ 続く
※編者注 当社のこどもバランサー、しかくたんさくと同等のプログラム。
元々は、Trail Making Test という、公開された世界標準の注意力検査。
この課題に7月~11月の4か月間取り組んだ結果、大幅に数値が改善されたとのことです。吉田くんの所属する通常級の担任教師から「授業中にちゃんと話が聞けるようになった。質問に挙手して回答するようになり、以前よりも注意の切り分けができるようになった」とのコメントも寄せられています。
課題2 なぞのかたち
予め用意した、紙に複雑な図形を描いたカードを使って行います。図形のそれぞれの部位を担当教師に言葉で説明していきます。その言葉を頼りに、数分後に、元の図形を描く取り組みです。
課題3 へんななまえ
同様な図形を4種類用意します。2種類ずつ提示しながらそれぞれの名前をいい、4種類の名前を覚える取り組みです。DVDではイナブア、イヤハ、メダ、ルクツという言葉を使っていました。
最初の課題は、漢字の形をいくつかの部分に分けて、言語化を頼りに、その形を覚えるためのもの。次の課題は、漢字とその読みを結びつけるためのものです。
最初は、図形を使うことで、漢字への苦手意識とは別の形でトレーニングを行い、それができるようになってから、漢字の学習に移る、というのが、担当の坂本先生の解説でした。
もう一つ解説されたのが、課題でよい点がとれたら「コイン」がもらえ、それを吉田くんが貯金箱のケースにためていく仕組みです。このコインは、1つにつき1分間、後述の「お好きにタイム」の時間を増やし、「課題にトライの時間」を少なくすることができます。
坂本先生は、このコインはがんばればいいことがある=仕事をして給料をもらる、ことを体験させるためのもので、将来の就労に備えるものだと解説されています。
LDはLearning Disorder(学習の障害)ではなく、Learning Deference(学習の多様性)であり、フィットした支援の仕方を見つけられれば、その子は伸びていく、と坂本先生が述べられたのが印象的でした。
○第2章 通級のポイント
阿部先生は通級指導教室における3つのポイントを挙げられています。
1.適切なアセスメント
その子の特性を認知テスト等で適切に把握する。つまずきの原因を、正しく把握して支援の計画を立てる。
2.客観的な効果の見届け
数値化、視覚化するなど、効果を量的に把握する。そのことで、周りの協力も得られ、本人も自信が持てる。
3.通常学級や家庭への般化
通級で学んでいることを周囲にも伝え、例えば、あいさつを学んでいれば、それができた時に通常学級や家庭でもほめてもらうようにする。そのことで教室で取り組んだことが、日常生活でもできるようになっていく。
次回は、新たに配置されるようになった学習支援員や、発達障害の子どもだけでなく、すべての子どもにとって分かりやすい教育という視点で教育を変えていこうという試み「ユニバーサルデザイン」について紹介します。
(報告:五藤博義)
■ 連載:「聞く」と「分かる」の関係 第8回
音は内耳でどのように処理されているか?
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波動には2つの成分があります。縦波と横波です。媒質の振動が波の進行方向に対して平行であるものを縦波といい、垂直であるものを横波といいます。
例えば地震の時のゆれ、まずガタッとP波(Primary wave)が来て、その後にユサユサユサとS波(Secondary wave)がやって来ます。P波が縦波、S波が横波です。地震とは異なり音波は大気の中を伝播します。弾性のない大気の中では横波は発生しないと考えられており、音は縦波からなると考えられています。固体の中でしか横波は発生しないと考えられているからです。
われわれは、鼓膜や耳介や頭部や脊椎といった身体の各所で音(縦波)を受け止めます。鼓膜はもっぱら250Hzから12000Hzくらいまでの気導音に対して反応する器官です。皮膚と軟骨でできた耳介も、それ自体が共振体のように振動を外耳道壁→鼓室壁→内耳と伝播します。軟骨導は125Hz~1500Hzくらいまでの帯域に含まれます。さらに頭部や脊椎といった骨によって、骨導音として広帯域(20~20000Hz)の音をまんべんなく感じ取っています。しかし実際には気導に比べると、軟骨導や骨導として音を感じ取るにはより大きなエネルギーが必要です。体で感じとる骨導は例えば、広い空間にスーツに身を包んで立っているというような状況では、花火や太鼓の音のような低域しか感じ取れないでしょう。会話や生活の中での音は、軟骨導や骨導として伝わるには弱すぎて意識にあがることはありません。頭蓋骨と頸椎が緊張感をもってつながっている姿勢の時には、発声もきこえも大きく変化するとヨガの教えやトマティスメソッドは教えてくれますが、そのことを深く研究した現代科学はありません。
話は変わりますが、電車内でiPodの音楽をイヤホンで聞いている若者が音量を上げがちなのは、電車のゴトンゴトンという音が耳介や頭蓋骨や脊椎やらと伝わってきて折角のビートのきいた音楽が干渉され、音楽の良さがスポイルされてしまうからです。だからイヤホンから漏れ聞こえる音はいつもカシャカシャと高域です。低域を聞きたくてそれにあわせた音量にしたために高域が過剰となり音が漏れているからです。ちなみにイヤホンからの音漏れという言い方をしますが、実は耳介を振動させて耳介そのものがラッパ状の拡声作用も生み出している「逆」軟骨導による音なのです。外耳道だけでなくその手前の耳介の凹み(choncha)までやさしく覆うような大きめの耳栓の時に音漏れがないのは耳介の振動が抑制されるからです。
気導と骨導についてもう少し詳しく解説します。気導と骨導は、それぞれ内耳に到達する経路が異なります。
気導は外耳道→鼓膜→耳小骨→リンパ液の波動→基底膜振動→有毛細胞の刺激という順番に伝播します。リンパ液の波動は前庭階という入り口から頂上階という蝸牛の先端まで伝わるのに数msecの時間を要してしまいます。つまり気導音で聞く場合、耳の中で高い音は先に知覚され、低い音は遅れて知覚されているのです。鼓膜の静的あるいは動的な緊張度(三叉神経や顔面神経の緊張度)は意識下に調節されていて、それらによって音の響きや強さが調節されます。外界においても同じ音の大きさであっても蝸牛の中では周波あるいはリズムというフィルターによってリンパ液の波動が調節されているのです。音響の専門用語で恐縮ですが、聴器に備わる実環境型アダプティブ・アレイ機能は中耳機能なのです。話を戻します。内耳におけるリンパ液の波動の進行は、例えば2つの音が時間差を持って入力される時、その時間差があまりに短い時は後続する音は有毛細胞が検知できません。CDからMP3へと音楽のサンプリングレートが低くなったのに、われわれがそうした劣化した音でも音楽に聞こえるのは、不応期まで考えればわれわれはそんなにHiFiな耳を持っていないことを意味します。不応期の間は基底膜はどうなっているかというと余韻のごとくに音が終わってもふわふわとゆれています。ですから例えば、2つの音が低い・高いの順の時は低い音の基底膜振動が残っているので、後続する高い音はそこに折り重なってしまいます。高級オーディオスピーカの高い音のつやのひみつは非可聴域にまで配慮した低域の厚みだったりするわけです。外界で計測された音の特性は、内耳の特性とは全く違うのです。スピーカ技術者が結局良い音作りにたどり着けないのは神経生理学に対しての理解がまだまだだからなのでしょう。
空気の振動は液体の波動に変換される際、99%のエネルギーがロスします。
これは音の単位でいうと40dBの損失になります。ヒトの話声は囁き声が20~30dBで普通の会話声で50~60dBですから40dBもロスしてしまうと大声しか聞こえなくなってしまいます。しかし、そうしたロスを解決する仕組みが鼓膜と耳小骨に備わっています。直径1cmほどの鼓膜が受け止めた波動は、つち骨・きぬた骨・アブミ骨という3つの耳小骨を伝わり、リンパ液をゆさぶります。この耳小骨の生み出すテコ比と、鼓膜とそれよりもうんと小さなアブミ骨底の面積比とで40dBの増幅を稼ぎ出しているのです。
リンパ液の波動は、前庭階(入口)から頂上階そして蝸牛階(出口)蝸牛の基底回転をぐるぐると伝播します。高い音や大きな音の時は入り口に近いところのライスネル膜や蓋膜や基底膜をゆさぶります。低い音の時は位置口から頂上階に近いところまでの蝸牛全体でそれらをゆさぶります。蓋膜と基底膜の物理的な運動によってそれらの間にある有毛細胞が刺激されます。そうしてはじめて脳に音を伝える神経インパルスが発生するのです。しかしここでもエネルギーの減衰が生じます。リンパ液の粘性や基底膜をゆさぶることで生じるロスです。そのロスは有毛細胞そのものが敏感に激しく反応することで解決しています。
有毛細胞は小さい音には過敏に反応し激しく増幅し、大きな音には適当に反応してその増幅も少なく、大きすぎる音にはシカトをきめこむのです。こうした弱きを助け強きをくじく有毛細胞のふるまいによって内耳のロスという問題も解決されているのです。そんな働き者の有毛細胞ですが、一方ですぐ疲れて休んでしまうという悪い癖もあります。小さな音の時はそのシグナルを最大限に増幅してくれるのですが、運動した後はしばらくは反応してくれません。さらに打たれ弱いところもあって大きな音に曝されるとあっという間にくたびれて使いものにならなくなり、時には自殺(アポトーシス)することさえあるのです。
内耳の喜ぶ音の大きさは、20dBくらいから60dBくらいといわれています。大きすぎず小さすぎずが肝心のようです。85dBを越えてしまうと死んでしまう有毛細胞が続出します。例えば、ロックコンサートや花火大会などで耳を酷使したあとには休息が必要です。ラットの実験では静かな場所で耳をいたわるように48時間以上過ごすなら死にかけた有毛細胞が復活すると報告されています。同じ哺乳類ですし、そのメカニズムのミトコンドリアのターンオーバーに依存した話なのでヒトも48時間の休息が必要との理解で良いと思います。耳に負担をかけた時はしっかり耳養生しましょう。85dB以上の音といわれてもピンとこない人にどんな音かの判断の目安を教えましょう。うるさい・やかましい・頭が痛いこの3つのどれかがあてはまればそれは85dB以上の騒音である疑いが濃厚であると考え、その音源から逃げるようにしましょう。耳の遠い難聴な人であっても大きな音に対するこうした反応はきこえの健康な人と変わりませんから要注意。きこえないからと耳元で大声で話かけても何にもならないのです。
音の感度を高めたり、うるさい音を抑制したりするのは、三叉神経と顔面神経が分担します。緊張して張り詰めた気分の時は聴感が鋭くなり、気分のどんよりした時には聞こえもすぐれないのは、喜怒哀楽やストレスの影響を受けやすい三叉神経と顔面神経が鼓膜や耳小骨レベルでの音の調節に密接に関係しているからなのです。このことは気分次第で「”耳(こころ)”ここに在らず」になってしまうことを意味しています。
今回は音が内耳で処理されるまでを解説しました。次回は、音が脳でどのように処理されているかについて解説していきます。
(中川雅文・国際医療福祉大学教授、同大学病院耳鼻科部長)
■ あとがき
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手前味噌で恐縮ですが、2つのことを紹介させてください。編者の五藤が主宰しているfacebookページ:発達障害&知的障害のLikeが4,000名を超えることができました。
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