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■ 連載:単語帳アプリを使って「漢字と読みの一致」を支えよう・3
■ 報告:篁一誠先生講演「自閉症児に教える時に配慮すること」・2
■ アプリレビュー:形と遊ぶ、頭の体操アプリ Slice It!
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■ 連載:賞子先生の「魔法のアプリ」 第5回
単語帳アプリを使って「漢字と読みの一致」を支えよう・3
「アプリ紹介」というお役目をいただいていながら、前2回でアプリを1つしか紹介できていない事態に、少々焦っています。その分、今回はたくさんアプリをご紹介したいと思います。
「i暗記をA君がどう使って行ったのか」については、前回と前々回にご紹介させていただきました。結果として、彼にこのアプリを使った学習方法は、とてもあっていました。しかし、いきなりこのアプリにたどり着いた訳ではありません。「単語帳を活用できないか」と考えてから、i暗記にたどり着くまでには、たくさんのアプリを比較検討してきています。
まず、「単語帳」で検索をしていきました。私はアプリを探す時、アプリの検索サイトをよく使います。中でも重宝しているのはApp infoです。A君の学習に適した単語帳アプリを探すときも、まずここで探しました。
★App infoはこちら>>
まずはプレビューの画面を見ながら、
・目的にあった使い方ができそうか・A君が使いやすいものか
を考えて、いくつかダウンロードして試してみました。A君の学習に関してはi暗記が適していましたが、面白い機能があるものがたくさんありましたのでその中からいくつかご紹介します。
○メモメモ暗記帳Free
★itunes App Storeの「メモメモ暗記帳」プレビューはこちら>>
・一番シンプルな単語帳アプリの形だと思います。入力も扱いも簡単です。
・簡単にマーカーをつけることもできます。
・ただ、本物の単語帳に近い形のため、カードをめくると出てくる正解が、次のカードの問題と同じ画面に表示されてしまいます。
・この提示は、A君にはわかりにくいだろうと思って、使いませんでした。
○書く単語帳
★Google Play の「書く単語帳」プレビューはこちら>>
※編者注) なぜかApple用ページが表示されなくなっていましたので、Android用ページを紹介しています。
・「入力する事で答える」という、ICT機器ならではの方法がとれる単語帳です。
・「入力する事で音につなげて行く」という意味では、これもいいかもと思いましたが、
(1)問題を作るのにパソコンが必要→手軽にA君が作成できない
(2)入力して答える際、最後のワードを打ちこむとすぐにカードが切り替わってしまい、とまどってしまう。
という理由で、A君の学習には導入しませんでした。
○わたしの暗記帳(プラス)
★itunes App Storeの「わたしの暗記帳(プラス)」プレビューはこちら>>
・カードに「問題」「答え」だけでなく、ヒントになる「画像」や「音声」を入れておくことができるため、テキストの問題だけでなく、「画像」を見て考えることや「音声」を効いて確認するということもできます。
・カードの作成も、わかったかわからなかったかを記録しておく事も簡単ですので、自分の得意不得意がよくわかります。
・「音が入れられる」という点がとても魅力的だったので、i暗記とどちらにしようか迷いました。結局、i暗記の「覚えたカードは出てこない」というシステムが「終わりの見通し」になると思ったので、そちらを選びました。
上記3つのアプリは、どれも魅力的なものでしたので、また別の機会に活用したいと考えています。
余談:
i暗記は「フリック入力」でテキストを打ち込んで行きます。携帯電話でよく見るこの方法は、ボタンが少ないという良さがある反面、探している文字がどの列にあるかがわからないと探せないという弱点があります。i暗記の活用を始めた時点で、A君には「列の意識」はかなり薄く、「招く」の「ま」はボタンにあるのですぐに見つけられるものの、「ね」「く」を出すにはどのボタンを押せばいいのかがすぐには浮かばない状態でした。「列の意識が充分でない子にフリック入力は難しいのではないか」と当初考えましたが、様子を見ていると、A君の示した姿は全く反対でした。50音キーボードを使う場面より、「10個のボタンのどこかに入っている」というフリックの方が、彼には混乱が少なかったようです。「どこだっけ」といいながらボタンを押して表示させて探す姿もありましたが、「解決への見通し」が見えていますので、意欲を途切れさす事なく、取り組む事ができました。
そして、i暗記を使い始めて一か月も立たないうちに、彼は「どの文字がどの列にあるのか」を完全に覚え、かなりスムーズに入力することができるようになりました。50音キーボード、ローマ字入力、音声入力、様々な学習の中で色々な方法を試してきましたが、A君にとって一番「使える」入力方法は「フリック入力」になり、その後、彼が学んで行く上での武器になって行きました。
「○○ができないからできるようになってから」ではなく、「使って行くうちに○○を覚える」ということもありだと、つくづく感じた姿でした。
(井上賞子・安来市立赤江小学校)
■ 報告:篁一誠先生講演「自閉症児に教える時に配慮すること」・2
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東京都自閉症協会主催の講演会レポートの続きです。
3.環境の整備
○学ぶ場所と時間の設定
最初に、取り組む場所を整えます。不要な刺激が入らないよう、集中が保たれるように、がポイントです。具体例をあげれば、
・狭い部屋で、
・部屋の隅を使って、
・出入り口が一つのみ、
といった場所を選びます。
取り組む時間は、親が対応しやすい時間を選びます。
○いつでも、どこでも、誰とでも
最初の3ヶ月くらいは、同じ場所、同じ時間、といった一定のリズムで取り組むことが、自閉症の子には適しています。ただ重要なのは、安定して取り組めるようになったら、「ときどき、リズムを変える」という点です。それにより、不必要な「こだわり」を避けることができます。
いつでも、どこでも、誰とでも、という「汎化」の概念です。
篁先生は、自閉症の子どもが好む一定のリズムを、壊さないようにしすぎることで「こだわり」が生まれたのでは、とおっしゃっていました。
4.手続きの工夫
○学習場面の設定を一緒に行う
学習する準備は、子どもと一緒に行います。これから「学習をする」という意識づけをするためです。そして、後片付けも一緒にします。
ただ、準備の中でも、親がするべきことがあります。それを子どもがやりたがっても、「これは私がします」とはっきりさせます。そのことで、「指示された範囲を守る」ということを教えます。
これは将来、社会に出て業務をする時に、自分の判断で勝手にやりたいことをしない、というルールが存在することを教えることにつながります。
○ほめること
してほしいことを肯定形で伝え、それをやってくれた時が「ほめる機会」です。「そちらに行ってはだめ」は守れて当然、となりますが、「止まって、戻って」なら、「よくできたね」とほめることにつながります。
ここで確認しておきたいのは「ほめる」=「叱るのをがまん」ではないことです。「ほめる」は、「認める」「受け入れる」「励ます」意味を持っています。ほめることは自己肯定観を育て、その子の意欲を伸ばしていきます。ほめのヴァリエーションをぜひ持ってください。そして、もっとも効果のあるのが「笑顔で一言」ということを覚えておいてください。
○叱ることの無意味さ
ほめと対極にあるのが「叱る」です。叱ることは意欲低下につながります。叱ってよい場合は2つだけ。「生命の危険」と「他人の迷惑」です。親の望んだように行動しなくても、それを受け入れる心づもりをしましょう。
○できるまで繰り返す
子どもに指示を出す際のポイントは「・・・か」「・・・やってみようか」のように、語尾が「か」で終わる表現を使わないことです。子どもが拒否する隙を与えない、毅然とした態度で取り組みましょう。
そして、できなくても何度も繰り返します。経験では、3回、6回、9回、12回というように3の倍数回で状況が変わっていきます。根気よく、機会を与え続けることが大切です。
ただ、2週間やってもうまくいかない時には、やり方を変える必要があります。それらの判断をするためにも「記録をつける」ことが必要になります。
「記録のとりかた」は、次回で紹介します。
(文責:五藤博義)
■ アプリレビュー:形と遊ぶ、頭の体操アプリ Slice It!
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グッズレビューの常連、小林雅子さんがお勧めするアプリです。
さっそくiPad用無料版を入手して試してみました。簡単に言えば、画面に図形が出てきて、直線で「切る回数」と「分ける個数」が指定されるので、タッチパネル機能で指で、図形を切っていくゲームです。
まず、指定された「切る回数」で「分ける個数」になる切り方(線を別々に引くのか、クロスさせるのか等)を考えなければなりません。
さらに、円や正方形のような均等に切りやすい図形の他に、複雑な多角形なども出題されますから、感覚的に「面積」を感じ取ることも必要です。
切った後は、実際に図形が分割され、それぞれの面積比がパーセントで表示されるので、小学校中高学年で学ぶ、比や比率について、実践的に知ることのできる効果もあるようです。
ともかく無料ですので、まずはお試しあれ!
(文責:五藤博義)
ヴァラエティカフェ・グッズレビューはこちら>>
レヴュアー: 小林 雅子
■ あとがき
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近年、脳の研究に国が積極的に取り組んでいます。その成果は一般に広く、公開されており、来週も「発達障害研究の最前線」と題するシンポジウムが東京医科歯科大学と国立環境研究所の共催で、下記要領で行われます。
・日時 2013年11月27日(水)13:00~17:20
・場所 東京医科歯科大学M&Dタワー2階 鈴木章夫記念講堂
(東京都文京区湯島1-5-45)
・形式 定員200名 参加費無料、事前申し込み不要
★シンポジウムの詳細はこちら>>
「脳画像解析から治療開発へ」「自閉症スペクトラムのゲノム解析」などの発表と並んで「発達を支える子どものリハビリテーション」と題して、国立成育医療研究センター発達評価センター長の橋本圭司医師が発表されます。その中で、発達に困りを持つ多数の子どもたちに、こども脳機能バランサープラスを2か月間、使用してもらった調査結果を報告するとのことです。私も当日、シンポジウムに参加しますので、とても楽しみにしております。
最後にもうひとつお知らせです。高次脳機能バランサーがiPadのアプリになりました。こどもバランサーよりもう少し難しいものを、と思われる方にお勧めします。現在、販売キャンペーン中で、1000円引きの2500円でご購入いただけます。
★キャンペーン詳細はこちら>>
次回メルマガは12月6日(金)です。
形と遊ぶ、頭の体操アプリ Slice It!
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