Response to Intervention(教育介入への反応)

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2013.06.21

Response to Intervention(教育介入への反応)

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■ 連載:Response to Intervention (教育介入への反応)
■ グッズレポート:1日10分でえがじょうずにかけるほん
■ 書籍:授業のユニバーサルデザイン 学習のつまずきへの具体的な指導
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■ 連載:ボストンからの発達障害レポート 第4回
:Response to Intervention (教育介入への反応)
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今回は近年アメリカでとても注目を浴びている教育指導法の一つ、Response to Intervention(略して RTI)を紹介します。

Response to Intervention を単純に訳せば、教育介入への反応となります。学習面(academic)や生活面(behavior)でつまずきの見られる子どもを早期発見し、3段階の支援レベルを通して全ての子どものニーズに応えようという理念の下に、今なお研究が進められている指導モデルです。

特に、学習障害(LD)を持つ子どもたちの読みの指導や、第一言語が英語でない子どもたちのつまずきの原因が言語の違いによるものなのか、それとも何か障害があるのか、などを見極めるのによく取り入れられています。

第一段階では、通常のクラス全体がスクリーニング(ふるい分け)の対象になり、科学的根拠に基づく支援指導を行います。支援にあたるのは、学級の担任や副担任、その学級の支援を行っている特別支援教育の先生などです。その学校に関係している専門家がいれば、その先生も参加します。

障がいを持った子のみを対象としているわけではなく、クラス全体に向けられるものなので、そのクラスに関わる教師が指導にあたります。また、場合によってはクラスをいくつかのグループに分けて、6週間から8週間、つまずきを改善するために集中支援をすることもあります。

この期間で、子どもが支援・介入(Intervention)に反応(Response)し、よい成果を出せたら、この支援を続けていくことになります。もしもこの介入に反応せず、成果が見られなかった子どもは、第二段階に移ります。

第二段階の指導内容は第一段階と似ていますが、第一段階よりも密接に支援し(さらに小さいグループにしたり、場合によっては一対一の対応)、期間も長く、頻度も増えます。

大きなグループでの指導で分からなかった、その子の困り感に、より適合した指導法に変えていくのもこの段階です。その介入に反応が見られなかった場合は、第三段階に移行します。

第三段階は Special Education(特別支援教育)への移行です。
第一段階、第二段階を通して支援の効果が見られなかった子どもには、より専門的な教育環境を提供するのが好ましいとされており、Individualized Educational Program (IEP=個別支援計画)を作成するための評価やアセスメントを始めます。(IEPについては、今後機会があれば詳しく紹介したいと思います。)

アメリカでは、州によって差はありますが特別支援学校以外でも幼稚園から高校を通して各学校に障がい児教育を設けていることがほとんどです。そして、障がい児教育の教員になるためには、専門の教員免許が必要です。

障がいを持った子がGeneral Education(=通常の学年学級)の中でインクルージョン教育を受ける場合は、担任先生の他に Special Education 専門の先生や支援員が配置されます。

RTI の第一段階と第二段階は通常学級内で行われますが、第二段階の途中からは、障がい児教育専門教員のサポートが必要になることも多々あります。

RTI は理論そのものと言うより、子どもが Least Restrictive Environment(LRE =最も制約が少ない環境、なるべく通常教育に近い環境)という理念に基づいて学校生活を送るためのものです。つまずきが見えたらすぐに、特別支援教育に移行するのではなく、段階を追って様子を見るためのプロセスで、時につまずきの早期発見の役割を果たしますし、誤った評価を予防する役割という事もできます。定型発達の子とつまずきを抱える子の間に大きな差が生まれてしまう前に、専門的アプローチを導入できることはとても大切なことだと思います。

通常学級内の中で RTIを一層効果的に行うためには、教員の人数と技量・資質向上を確保しなければいけないので、アメリカ教育界が今後、どの様に動いていくか楽しみです。

いかがでしたか。もっと詳しいRTIの指導例を見つけることができたら、再度お伝えしたいと思います。

参考ウェブサイト(英語)
National Dissemination Center for Children with Disabilities. はこちら>>


A Program of the National Center for Learning Disabilities. はこちら>>

(礒恵美)
★礒さん編集facebookページ "All 4 Variety"はこちら>>

 

■ グッズレポート:1日10分でえがじょうずにかけるほん
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図工の時間だけでなく、夏休みの絵日記や観察日記など、学校で絵を描く機会は思ったよりも多いです。

絵が苦手なお子さんを持ったおかあさんが見つけた、この本は、「物の形は、ほとんどが丸、三角、四角でできています。」という文が示すように、描く形を分解して見て、それらの組み合わせで、絵を描く方法を教えてくれます。

にんげん、いきもの、のりもの、こんちゅう きょうりゅうなど対象別のものや、2~3歳対象、3~6歳対象など年齢別のものなど何種類もあります。すべて1冊、893円(税込)です。書店で一度、手にとられてはいかがでしょうか?

★ヴァラエティカフェ・グッズレビューはこちら>>

レヴュアー: 小林 雅子

 

■ 書籍:授業のユニバーサルデザイン Vol.2 Vol.3
学習のつまずきへの具体的な指導 writen by 川上康則
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このシリーズの副題「教科教育に特別支援教育の視点を取り入れる」が示すように、教師が主たる対象の書籍です。ただし、川上康則先生(東京都立港特別支援学校教諭)が2回にわたって執筆している「学習のつまずきへの具体的な指導」のコーナーは、子どもとかかわるすべての人に読んでもらいたい内容です。

Vol.2「イラストで解説!代表的な15事例をピックアップ」同書p.36~ では例えば「話を最後まで聞けないため、聞いた内容を理解することが難しい」子どもに対しては、『指示は短く、一つだけ』『「できたら褒める」よりも、「途中で励ます」支援』と、保護者が知りたかったであろう有効な対応方法が解説されています。

Vol.3「国語・算数編」同書p.54~ では『作文に対する抵抗感が強い』『文章題が苦手で、式を立てることが難しい』など、大多数の子どもが困っていることに対し、具体的な支援方法が提案されています。

前者では『何をどう書けば作文らしくなるかを教える』として『その瞬間、何をしたの?(行動描写)』『周りで何が見えた?(情景描写)』等、質問することで、書く文章を思い浮かばせることができそうです。

後者では『簡単な数値に置き換えて考える』『ことばの式で問題の意味をとらえる』『数直線をもとに考えを深める』など、問題にとりかかる具体的な方法が示されており、子どもの宿題を親が見る際にも大いに役立ちそうです。

授業のユニバーサルデザイン Vol.2
授業のユニバーサルデザイン研究会、桂聖、廣瀬由美子編著
東洋館出版社、2010年10月発行、B5判、96ページ、1800円(税別)
★詳細はこちら>>

授業のユニバーサルデザイン Vol.3
2011年2月発行、他はすべて同上
★詳細はこちら>>

■ あとがき
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「見え」と「聴こえ」の研究会等に参加して、医師や専門家など多くの方とお話する機会が増えてきました。つくづく思うのは、ものごとは様々な点から吟味する必要がある、ということです。

例えば、音声が聞こえても、その音声が指している言葉を知らないと、知っている語彙の範囲で理解する(聞き間違い、空耳)ことがあります。さらにその状態が続くと、新しい言葉を知る機会が失われ、自分の周りの環境への適合がだんだんできなくなっていく、ということです。

この仕事で様々な専門分野の方々と知り合いになれることは、とても貴重なことだと改めて、ありがたく思っています。

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