視覚機能の知見を活かした授業つくり

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2013.05.03

視覚機能の知見を活かした授業つくり

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■ 連載:視覚機能の知見を活かした授業つくり
■ グッズレビュー:識別リング
■ 書籍:北出先生自選 ビジョントレーニング本
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■ 連載:ビジョントレーニング 第8回
視覚機能の知見を活かした授業つくり
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北出勝也です。今回は昨年、視覚機能の知見を活かして特別支援教育に取り組まれた兵庫県南あわじ市の湊小学校の取り組みをご紹介いたします。

昨年6月に湊小学校で研修会をさせていただきました。その中で視覚機能の弱さから起こる問題、簡単な視覚機能のチェック方法、トレーニングの方法、支援の方法をご紹介させていただきました。湊小学校以外の先生方、南あわじ市教育長をはじめ、島内50名以上の先生方にご参加いただきました。そのご感想の一部です。

○「できない」には理由があり、的を外した指導では何も効果が上がらないということを学びました。「精神論」をふりかざして、指導とは言えない指導を行っていました。もっともっと児童に寄り添った指導を心がけたいと思いました。視覚機能のトレーニングをいつ、どこで、どれだけ自分のクラスで教師という立場で行うことができるのか、悩みながら色々と試していきたいと思います。

○子どもたちの中には、改行できない、字形のバランスが悪いなど、学習の場面や日常生活でも不器用だなと感じる子がいます。課題をつかんで、その手立てを考え、実践していくことが教える者の務めであると痛感しました。本日の研修で、困り感を抱いている子どもたちのために視覚機能を鍛えるいくつもの方法を学ぶことができました。見やすくする支援、トレーニングを取り入れることで、子どもの自信になればと思います。子どもたちが苦痛に感じないような簡単な取り組みから実践していこうと思います。視覚機能の知見があれば、少しでも子どもの理解につながるという強い信念を持って教育活動に携わっていきます。

○本日の研修を受けてトレーニング方法が具体的に提示されたのでイメージができました。さっそく学校、教室に帰り、実践してみたいと思いました。発達障害の子どもたちがたくさんいるクラスを担任しています。ものを落としても気づかない子1名、片づけができず机の上が散乱する子2名、鏡文字になる子1名がいます。今思えば視覚機能のトレーニングが必要な子どもたちだったのかなと思います。夏休みに懇談会を通して、保護者にお伝えしトレーニングをすすめてみようと思います。

この研修会の後、湊小学校には視覚機能の知見を取り入れた授業つくりに取り組んでいただきました。ただ闇雲に視覚に訴えるのではなく、黒板がぐちゃぐちゃにならないように、教科書をそのまま投影して、子どもたちが混乱しないように気をつけていただきました。

限定してみせる(不必要なものは消す。他のものが見えないように隠す。)焦点化してみせる(線で囲んだり、区切る)などの配慮をしていただきました。教科書で出てきた「竹やぶ」という言葉を説明するときに「竹やぶ」のイラストを見せたほうが分かりやすいということもありますので、色々な視覚教材をご用意をいただきました。

算数では「数図ブロック」「おはじき」「そろばん」を操作したり、線分図、テープ図、面積図なども描かせるという作業をして理解する。

社会ではイラストに色を塗らせたり、実物を用意する。

学校全体で「写す」トレーニングということで数字をマスの中に写す「マスコピー」、点を点とつないで見本を書き写す「点つなぎ」のトレーニングなどを行いました。1学期の間、朝の15分を利用し全学級で取り組みました。つまずきのある児童もいましたが、効果的なアセスメントを考える上でよい材料になりました。「点つなぎ」などが難しいお子さんは漢字を書き写すことなどはとても難しい課題になります。やさしい段階の図から始めてスモールステップで進んでいく必要があります。
(北出勝也)

★北出先生のサイト:視機能トレーニングセンター「ジョイビジョン」 はこちら>>

 

■ グッズレポート:「識別リング」
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我が家では、資源保護で入れ物の使い回しが頻繁になされており、しょうゆと思ってソースをかける、ということが結構あります。シャンプーしようと、リンスを頭に振り掛けて、泡立たないな~と思うことも、、、

置き場所を覚えておく、使ったら元の場所に戻す、というのがどうにも苦手な筆者にとって、似た形状のものに簡単につけられて、色などで区別がつけやすい今回のグッズはとても役に立ちそうです。

いろいろなショップをわざわざ探して、安くて使いやすいものを紹介してくれた、金井さんに感謝!!

ヴァラエティカフェ・グッズレビューはこちら>> 
レヴュアー: 金井悠紗(かない ゆうさ)

 

■ 書籍:北出先生自選 ビジョントレーニング本
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北出先生には著書がたくさんあります。メルマガの読者のために、その中から選んでご紹介いただきました。

『発達障害の子のビジョン・トレーニング』 講談社
監修本になります。低年齢のお子さんの視覚機能の問題の概略、簡単なトレーニング方法を知りたい場合、ビジョントレーニングの入門編となります。中学生以上の人の場合は、「大人のビジョン・トレーニング」講談社がいいでしょう。

★発達障害の子のビジョントレーニングの詳細はこちら>>
★大人のビジョントレーニングの詳細はこちら>>

『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング1・2』 図書文化社
視覚機能の問題の概略とトレーニング方法についてもっと具体的に知りたい場合にお勧めします。そのまま使えるトレーニングシートも載っています。1は小学校低学年、2は1のトレーニングでは物足りなくなった人、高学年~中高生向けになります。

★学ぶことが大好きになるビジョントレーニング1の詳細はこちら>> 
★学ぶことが大好きになるビジョントレーニング2の詳細はこちら>>

この本には読者サポートページもあります。
★サポートページはこちら>>

『こどもの「ビジョントレーニング」』 PHP社(書店では扱っていません
ビジョントレーニングのワークブックになります。レベル別にドリル形式でトレーニングしていくことができます。詳しい視覚機能のことやトレーニングの説明などは載っていませんので、他の本で読んでいただいて、新しいトレーニングシートなどが必要な場合にご利用ください。

★こどもの「ビジョントレーニング」の詳細はこちら>>

 

■ あとがき
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ゴールデンウィークも残り3日間、よい休日をお過ごしください。

次回メルマガは、5月17日(金)です。

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