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■ 報告:かわばた眼科、川端秀仁「見え方のつまずきとチェック法」2
■ 寄稿:ボストンからの発達障害レポート
■ グッズレビュー:「ウォールポケット」
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■ 報告:通常級の子どもにも見られる、見え方のつまずきとチェック法・2
かわばた眼科、川端秀仁・院長 医学博士
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2013年2月24日に東京工学院大学で開催された、NPO法人発達障害支援アカンパニスト主催セミナーの続報です。今回は、チェック及び対処方法を中心にレポートします。
かわばた眼科では、自施設での検査に加えて、近隣の視覚発達支援センターに依頼して、下記のような多数の検査を実施しています。
1)眼疾患・視機能検査
2)視知覚認知
3)眼手の協応・身体バランス
4)心理検査及び言語検査
WISC3、WISC4、K-ABC、田中ビネー、各種言語検査
検査の内容を紹介するよりも、それぞれの検査がどのような問題(子どもの困っている内容)をチェックしようとしているのか、また、それに対処するための基本的な考え方を説明します。
なお、眼科に関する専門用語が多数、出てきます。ネットで探してみたら分かりやすいページがありましたので、下記ページを適宜参照ください。
★視聴覚研究室:眼の基礎知識はこちら>>
1.眼疾患・視機能検査
ア)屈折・調節
・視覚性の眼精疲労の兆候はないか?
本人に疲れや頭痛、まぶしさなどを尋ねる他に、眼を細めてみる、読書姿勢(過度に目を近づける)など、観察による判断も行います。
・視力は遠方だけでなく、近方も確認
・遠近でのピント合わせのスムーズさ
イ)注視・眼球運動
・次のようなサインがないか確認
読みがにがて、書き写しがにがて、乗り物酔い、動くものを目で追えない、運動が苦手など。
→発達障害のある人は、眼球運動が円滑でない場合が多い。
ウ)眼位-輻輳(ふくそう)-両眼視
・次のようなサインがないか確認
ものが二つにぶれて見えていないか?(複視)横目や斜めでものを見る、片目つぶりなど
→これらは眼科検診で発見されることも多いようです。
2.視知覚・認知不良(形態・空間認知)
・人の顔を覚えるのがにがて
・物体認識が苦手(図形問題が苦手)
・似たような漢字の区別ができない
・文字の模写ができない、写し絵が苦手
・覚えた文字が想起できない、または時間がかかる
・文字の読み間違いが多い
・鏡文字がある
・書いた文字のバランスが悪い
・数的概念・量的概念の理解が難しい
・対象の部分のみを見て、全体をうまく把握できない
3.眼と手・身体の協応
・手先が不器用
はさみが上手に使えない、鍵盤ハーモニカや縦笛が苦手、蝶々結びができない
・文字をきれいに書けない
ノートのマスに文字が収まらない、文字列や文字間隔を揃えられない、文字がなぞれない
・工作や絵を描くのが苦手
・手や足を上手に動かせない
スキップが上手にできない、鉄棒や縄跳びがにがて、球技がにがて
4.対処法
まずは眼科的な問題を解決します。メガネの処方や結膜炎などです。
続いて、眼のトレーニング、身体バランス・コントロール、視覚認知トレーニングと進めていきます。大変たくさん紹介されたトレーニングの中から、編者が理解できたものに限って、名称のみ記載します。
ア)狭義の視覚認知(形態認知)
・Parquetry Blocks(タングラム)識別、図形構成、空間認識など
・ジオボード 空間関係、図と地の弁別
イ)視覚運動統合
・紙クシャ 手先の巧緻性、眼と手の協応
・ミシガントラッキングや数字レース 運筆
ウ)身体バランス
・バランスボード
視覚、前庭覚、触覚、固有受容覚を複合的に使います。
※前庭覚…重力を感じる感覚
※固有受容覚…筋肉や関節から感じる感覚
エ)左右認識
・こぐま会 ひとりでとっくんシリーズ 右左や心的回転
5.環境調整
本人の能力そのものを向上させる以外に、本人が能力を発揮しやすいように環境の方を制御するという視点は、もっとも大切なものです。生まれつき、「見えにくさ」があることは事実ですが、そのままでも発揮できる力を持っていることを忘れてはなりません。
視覚に関しての環境調節(外的視覚条件の支援)のポイントに、以下のものがあります。
1)教材の拡大
2)コントラスト、色をはっきり
3)単純化
4)情報配置の工夫(スペースの活用)
5)教材・教具の工夫
以上、川端先生の講演の概要です。メルマガ読者の皆様が分かりにくく感じられた場合は、筆者の理解力と筆力のなさに由来します。ご寛恕ください。もし、機会があれば、ぜひ川端先生の講演を直接、お聞きになられることをお勧めします。
(五藤博義)
★かわばた眼科のホームページはこちら>>
★視覚発達支援センターのホームページはこちら>>
★NPO法人発達障害支援アカンパニストのホームページはこちら>>
■ 連載:ボストンからの発達障害レポート
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皆さん初めまして。私は現在アメリカ・マサチューセッツ州のボストンに住んでいる礒恵美(いそ めぐみ)といいます。もともとは障がい児教育を学ぶために渡米して、2年間の大学院の課程を修了し、現在は保育園で働いています。これから私がアメリカに来て学んだ事、感じたこと、経験したこと等をみなさんに今後、少しずつシェアできればと思います。
私がこちらの大学院のプログラムで一番最初に取った授業は「アメリカ(マサチューセッツ州)障がい児教育概論」のような、入学した人は誰もが受ける必修の授業で、25名ほどのクラスメイトがいました。最初の授業で自己紹介をするわけですが、驚いたのはその中で「自分はAD/HDである」と言った人がいたことです。特に誇張したり卑下したりドラマティックに語ったりすることなく「□歳の時に診断されて、IEP(Individualized Educational Plan:個別教育計画)のサービスを受けてきました。○○が得意だけど、△△は苦手です」というように、あくまで自己紹介の一部として語っていました。
授業が進むと自分の経験を語る機会も増え、結局その授業の中だけでADD・AD/HDと診断を受けてるという人が3人いました。2年間のプログラムを通すとさらに4、5人のADD・AD/HD、その他の軽度障害を持つクラスメイトに出会いました。もしかしたら言わなかっただけで他にもいたのかもしれません。私は率直に大学院で、しかも障がい児教育のプログラムで、学生自身が障がい児教育を受けてきた人がこんなにもいるなんて思いもしませんでしたし、さらに自分の障がいの事を公にする人がいることに驚きました。なぜなら、日本の特別支援教室で働いていたときのADD・AD/HDの生徒で、高校以降の学校や高等教育機関に進学した人はほとんどいなかったからです。
※ADD:注意欠如障がい、不注意優勢型のAD/HD
私が通っていた大学院ではきちんと説明すれば、障がいの認定の有無に関係なく温かいサポートを受けられます。(アメリカの学校全体に言えることかもしれません)。ADDを持つあるクラスメイトは「ここのところ、薬と相性が合わなくて自分のADDをコントロール出来ないことが多く、今は仕事を乗り切るのがやっとで課題にうまくとりかかれない」と教授に相談して、課題のテーマ設定やリソース探し、提出期限の延長などを頼んでいました。教授はもちろん真摯に相談に乗ってくれて、必要なサポートをしてくれます。
ボストンはハーバード大学やマサチューセッツ工科大学があり、世界でもトップクラスの学園都市です。土地柄、大学や大学院に通う人も多く、障がいの種類や程度、育ってきた家庭環境によって状況が異なるのは当然の事ですがそれでもやはり発達障害を持った人々の、高等教育への進学への道が日本よりずっと開けているなと感じます。そして自分の障がいの事を話すことについて特別敏感にならない人も多いです。著名人でも公表している人はたくさんいますよね。例えば、俳優のトム・クルーズ、ロックバンド MAROON5 のアダム・レヴィーン、水泳五輪金メダリストのマイケル・フェルペスです。
私たちがQOL(Quality Of Life=生活の質)を考える時、「選択肢がある」ということはとても重要なことだと思います。
ある仕事に就きたい。そのために進学したい。障害を持っていてもQOLをより自分の理想とするものに近づけるための選択肢が、もしかしたら日本よりもアメリカの方が多いかもしれません。(決してアメリカの方が優れていて日本のあり方が劣っているという意味ではありません)。大きな多民族国家だからこそ、自分と他人とは違っていて当然で、自分の障がいの事をオープンにしやすい環境があるのかもしれません。でも、そうすることによって周囲の人々に障がいのことを知ってもらうきっかけになるのはとても良いことだと思います。アメリカでも日本でも、自分の周囲に障がいのことを知ってもらうことが大事なのだと思います。
(礒恵美)
■ グッズレポート:「ウォールポケット」
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明日はこれを必ず持って外出すると思って、特別な場所に置くと、却って、忘れ物をしてしまう私に必須アイテムと思えるグッズの紹介です。100円ショップの商品というのもうれしいですね!
ただ、見えないと、ないない!と探してしまう私には、レビューに書かれているように、ポケットの部分を透明に変える手間が必須のようです。
忘れ物予防に、ハンガーなどにくっつけられる「ウォールポケット」
ヴァラエティカフェ・グッズレビューはこちら>>
レヴュアー:金井 悠紗 (かない ゆうさ)
■ あとがき
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ボストンからの発達障害レポートを寄稿してくれた礒さんは、編者がTwitterでつぶやいたインターン募集に応募してくれた素敵な女性です。レデックスのFacebook英語ページも礒さんが主宰してくれています。
Facebookページ Kids' Brain Balancerはこちら>>
先日実施した五周年記念アンケート・プレゼントの当選者が決まりました。
レデックスWebサイトのトップページからニュースをご覧ください。
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次回のメルマガは、3月29日(金)です。
ボストンからの発達障害レポート
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