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【目次】
(1)講演会「理解しにくく誤解されやすい発達障害」1
(2)小児発達医・まなみの診察室 第9話
(3)おすすめコンテンツ「へんちゃんのポジティブライフ」
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(1)講演会「理解しにくく誤解されやすい発達障害」1
7月16日に埼玉県上尾市で開催された「発達障害の理解啓発セミナー」に参加しました。北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター教授の田中康雄先生の講演を聞き、大変感銘を受けました。今号から何回かに分けてレポートさせていただきます。
●最初の一歩:発達障害が持つ難しさを知る
軽度な発達障害が抱える困難性は、障害の有無について線引きできない程の連続性の中、子どもの様子も著しく変化することです。
病院で子どもが見せる言動は限られたものになりますから、医師にはその一部の特性しか分かりません。医師によって視点も異なりますから、診断も相違することになり、医師の言葉を鵜呑みにすることには慎重になる必要があります。そして、診断は横断面ではなく、縦断面(時間的推移)で判断することが必要になります。
つまり、その子の「生活のしにくさ」を本当に理解できるのは、一緒に暮らしている保護者であり、医学的理解に基づくマニュアル的な特別な対応ではなく、「当たり前の対応」がよりよい対応となることを銘記しておく必要があります。
発達障害(知的障害を含む)には多様なタイプがあります。それらは、親の育て方や子どものわがままで起きているものでは決してありません。それぞれの特性を知らないと、誤解した上で子どもと親を追い詰めることになってしまいます。
それぞれの特性をある程度、共有把握しておくことで、よりよい関わりが創造できます。以下、主な障害について解説します。
1.広汎性発達障害の特徴 (自閉症・アスペルガー症候群など)
- 特徴
1)社会性の障害
2)コミュニケーションの障害
3)想像力の障害とそれに基づく行動の障害
4)感覚の過敏さ
- 基盤 「わからない!」という恐怖に近い強い不安
- 親の苦労
・早期の信頼関係樹立が困難
・理解してもらえないことの憤り
・キビキビしたものの言い方
・硬い印象を与える
- 対応
・視覚入力を生かす構造化
・強制しない一貫性のある対応で安全性の提供を
2.注意欠如・多動性障害(ADHD)の特徴
- 特徴
1)多動
2)注意散漫
3)衝動性
- 基盤 「わかっている」のに、自己制御不能。うまくできないことのもどかしさ
- 親の苦労
・常にイライラした関係性・周囲から非難を受けやすい
・自責と子への攻撃性
- 対応
・行動統制のための表の利用
・自己評価を落とさないため「良い」評価とできることを保証
・親のサポート・薬物の使用
3.学習障害(読字障害、書字障害、算数障害)の特徴
- 特徴 1)読み 2)書き 3)計算
- 基盤
「なぜできないのだろう」
「どうやらこれがバカということらしい」
- 親の苦労
・わからない相手への関わり方にジレンマ(なにが分からないかが分かり得ない)
- ○対応
・疑似体験で関与する側の理解力のアップとわかることへの接近
1)わかりやすい指導
2)身体バランスの強化
3)感情の表現と理解を促す
3-1.読字障害・特異的読字障害
- 種類
-錯読
- 文字の順序の誤り(はしご→はごし)
- 文字の省略(がっこう→がこう)
- 文字の混同(はぐるま→はじまり)
-視覚認知障害
- とばし読み、繰り返し読み
-語性失読
- 一文字一文字は読めるが、語として読めない
-特殊文字の読み間違い(聴覚認知障害)
- 促音(さっき→さき)、拗音(きゃ、きゅ、など)の誤り
3-2.書字表出障害・特異的綴字(書字)能力障害
- ひらがながもっとも障害されにくく、カタカナ、漢字、英字の順に難しくなる
- よく見られる誤反応
-き→さ く→へ い→こ ね→わ ぬ→め わ→れ
-シ→ツ ン→ソ ヨ→ヲ
-団→図 哀→京
- 書字の障害は、協調運動障害で「書けない」ことや字形の拙劣さと区別する必要がある
- 複雑図形の記憶の再生や模写における障害から視覚認知または視覚記憶過程の障害が認められている
- ワープロを使う場合、ひらがなやカタカナの読み書きができていることが前提であり、漢字の音読と意味が理解できていることと、音声言語の発達が正常であることを前提とする
3-3.算数障害・特異的算数障害(算数能力の特異的障害)
- 算数を学ぶには、以下の4点が求められる
(1)用語・概念理解、文章問題の記号への解読といった言語的技能
(2)数字・記号の認識、グループ分けといった認知的技能
(3)数字や図形の模写、繰り上がりの記憶といった注意技能
(4)数学的手順に従う数学的技能
- 算数障害は読字、書字に対する躓きも併せ持ち、広範囲な学習障害を示しやすいことが知られている
4.知的障害(精神遅滞)の特徴
- 特徴
1)知的機能の遅れ IQ(知能指数)で換算
2)社会不適応
- 基盤 なぜうまくいかないのか、わからない
- 親の苦労
・漠然とした希望と不安・焦りと強制
- 対応
・その子の「今の力」を正しく評価する
・できること、興味があることから始める
・次のステップを願い
・生活のまとまりをつけることも大切にする
5.コミュニケーション障害の特徴
- 特徴
1)表出・受容言語の発達の遅れ
2)吃音
3)構音障害など
- 基盤 思うように表現できないことでのイライラ、恥ずかしさ
- 親の苦労
・いらいらと焦り、怒りや不安、、不憫さ、申し訳なさ
- 対応
・聞き返しをしない(苦手意識、恥ずかしさを作らない)
・加齢により改善する可能性があるので焦らない
6.発達性協調運動障害の特徴
- 特徴
1)運動面の不器用
2)協調運動の拙さ
- 基盤 皆ができるように、体が動いてくれない不自由さ
- 親の苦労
・いらいらと焦り、怒りや不安、不憫さ、申し訳なさ
- 対応
・競争的競技に無理に参加しない
・適切な手助けを遠慮しない
・時間がかかるが克服できる範囲もある
※次回に続く
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(2)小児発達医・まなみの診察室 第9話
「認知特性」の続きです。認知特性は、物事の捉え方、脳内での処理の仕方です。人は、自分が見たり、聞いたり、理解したり、感じたりするのと同じように、他人も見聞き理解すると思いこんでいます。けれど、それは違うのです。
今回は言語優位者についてお話します。
前々号と前号で取り上げた視覚優位者が、どちらかというとイメージ力の優れた右脳優位者であるのに対し、言語優位者は、論理的思考が得意な左脳優位者とも言えるかもしれません。
自身の診療経験などから、私は言語優位者をさらに二つのタイプに分けてみました。一つは言語イメージ型です。このタイプは前号の視覚優位タイプに比較的近いかもしれませんが、イメージ・感覚的よりも論理的に物事を処理することが得意である点が異なります。このタイプの人は本や小説を読むことが好きで、その場面が容易に想像でき、言葉と映像を結びつけて映像として文章を記憶します。コピーライターや絵本作家、小説家にはこのタイプの方が多いと思います。特にコピーライターはある商品に対し、その商品価値が最大限に多数の消費者へアピールできるよう、商品イメージを言葉という媒介に置き換える能力が要求され、言語イメージ型の才能が活かされます。
先日小児科の外来で言語イメージ型のお父さんに出会いました。風邪をひいた息子さんを連れてきたのですが、「先生、息子は鼻が詰まって、まるで鼻の中でたこ焼きを焼いているようなんです」とお父さんは説明されました。
どうやら、詰まった鼻くそを一生懸命にほじくっている様子とたこ焼きをひっくり返す場面をリンクされたのだと思います。このタイプの方はイメージ力と言語力が長けているので比喩が得意なのです。
言語優位者のもう一のタイプは言語抽象型です。このタイプの人は、言語を抽象的な図や文字として捉えることが得意です。図や文字として処理するのであれば、視覚優位者ではないのか?と思われるかもしれません。人間が外界の情報を取り入れるのは80%以上が視覚からです。視覚からの情報はすべての認知特性の人に有効な手段であるのですが、同じ視覚からの情報でもイメージ映像として捉えるか(前号の視覚優位者と前述の言語イメージ型の人)そのものだけでは意味を持たない文字という抽象的なマークを視覚ツールとして捉えるか(言語抽象型)の違いなのです。
言語抽象型の人はいわゆる学校での主要教科の成績が良い人が多いと思います。なぜなら教育システム自体が、言語優位の教師たちによって言語で授業が進められ、文字を黒板に書き、国語も算数も社会もテストはすべて言語や文字を介するからです。
文字や図は言葉を抽象化するツールです。「東大合格生のノートはかならず美しい」(文芸春秋 太田あや著)という本が話題になりましたが、東大へ進学するような学業成績優秀者は、授業内容を論理的に処理し、要点を視覚的に美しく見やすく文字や相関図などにまとめあげることが得意だからでしょう。
このタイプの人は物事を記憶する際に紙に文字として書きおとしたり、登場人物が入りくんでいて内容が複雑な小説などを読み進めるときに頭の中で相関図にすることで頭の中を整理します。初対面の人と会い名刺交換をした数日後に、顔や服装、雰囲気を想像する人はイメージ優位者で、名刺に書かれた名前を文字として思い出す人は言語抽象型です。
次号では同じく言語優位ですが、イメージ・映像的あるいは文字抽象的な視覚処理とは違う、聴覚優位者について書きたいと思います。
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(3)おすすめコンテンツ「へんちゃんのポジティブライフ」
「発達障害は怖いものではないのです。本人が困っていること、わからないこと、つらいことの原因がわかれば、対処方法は見つかります。
そのためにも、保護者、支援者は具体的に当事者がどう感じているかを知る必要があります。」
本書の冒頭「はじめに」に書かれた、この文章に強く共感しました。
本書の正式名称は「ADHD・アスペ系ママへんちゃんのポジティブライフ」副題は「発達障害を個性に変えて」。著者の笹森理絵さんは、元祖「片付けられない女」。NHKの「福祉ネットワーク」や日本テレビの「ザ・世界仰天ニュース」でご覧になった方も多いと思います。
また、お子さんたちも様々な特徴を持っており、保護者の会で活動されている笹森さんには、当事者、当事者の母親、支援者の3つの立場があります。
ご自分の経験や、子どもたちの活動に接した時に感じたことや、対応で工夫したことなどを、2ページから数ページのコラム形式でまとめられていて、とても読みやすく、理解しやすい内容になっています。
第1章 へんちゃんができるまで~自分を探して
第2章 今のへんちゃん~自分を見つけた
第3章 へんちゃんのパートナーより~自分らしく生きる
笹森さんはブログも書かれています。
http://ameblo.jp/rie-sasamori/
この笹森さんへのインタビューも、併せてご覧になることをお勧めします。
http://www.challenged-people.com/modules/page/index.php?content_id=17
ADHD・アスペ系ママ へんちゃんのポジティブライフ 笹森理絵著
明石書店、2009年1月発行、B6判、222ページ、1500円(税別)
http://www.akashi.co.jp/book/b65900.html
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8月5日-6日に三重県四日市で開かれる「ライフサポートフェスタ2011~こどもの快適な育ちを支援する福祉機器展」に出展します。
31社が出展し、福祉・コミュニケーション機器・生活用品が展示されます。
また、セラピストと特別支援学校職員による療育相談コーナーも開設されます。お時間の許す方は、ぜひお越しください。
pdf資料→http://www.ledex.co.jp/sharedfiles/mie1108.pdf
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