2月11日~13日群馬県赤城山の山腹にある国立赤城青少年交流の家で開かれた青少年自立支援のための研究交流フォーラムに参加しました。地域は北海道から兵庫県まで、所属も中央官庁、自治体、小中高大、就労支援施設、特別支援学校、フリースクール、野外活動団体から少年院まで、94名の使命に燃える老若男女が、講演、ワークショップに参加し、議論しました。筆者は、知的・発達障害(児)者の自立支援プログラムに参加し、モンテッソーリ教育とTEACCHプログラムを講義とロールプレイで学ぶことができました。
大変興味深い内容だったのですが、順にメルマガでご紹介していきますのでしばしお待ちいただければと思います。
なお、このフォーラムは毎年開かれており、第5回となる今年12月でいったん完結となるようです。次回の詳細が分かりましたら皆様にもご紹介しますので、読者の皆様にもご参加を検討いただければと思います。
下記ページの下の方に、詳細が分かるPDFデータがあります。
http://akagi.niye.go.jp/kikaku/kikaku.html
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【目次】
(1)特総研セミナー・レポート「特別支援教育のさらなる進展」2
(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」14
(3)おすすめコンテンツ「よくわかる発達障害 第2版」
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(1)特総研セミナー・レポート「特別支援教育のさらなる進展」2
1月28日29日国立特別支援教育総合研究所セミナー基調講演「学習指導要領と学習評価」の後半です。講師は安彦忠彦・早稲田大学大学院教授(中央教育審議会委員)です。
教師あるいは学校管理職向けの話なので、読者の理解しにくい(しなくてもよい)部分は割愛した点があることをご承知おきください。
1.学習評価の改善の狙い
(1)「生きる力」の理念の継承・発展
2002年から施行された前指導要領で導入された「生きる力」。知識、道徳、体力のバランスがとれた力と定義され、今回の改訂でも最も大切な力として評価の中心に据えられます。
(2) 新学校教育法第30条第2項の学力規定に従った観点
同条文の抜粋「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない」
ここで列挙された項目一つひとつにどの程度則っているか、という複数の観点から、学習への子どもの取り組みを評価します。
(3) 「確かな学力」の重視
「基礎基本」と「思考力等」をバランスを取りながら評価します。ただし、思考力等が最終的な目標であることに留意します。
2.学習評価の改善の方向
(1) 目標準拠評価(いわゆる絶対評価)の全面的採用を継承
「観点別学習状況の評価:プロセス」も「評定:結果」も絶対評価です。
学校間の「評価基準」のズレについては、地域の学校間ないし教育委員会が調整します。観点別学習状況については、後述します。
(2) 「質的評価」を重視し、過度の量的評価は避ける
ポートフォリオ評価やパフォーマンス評価を重視し、実際の言動とその記録で評価します。具体的には、論述試験・口述試験・実技試験等を行います。
小学校に導入される英語についても同様です。
※パフォーマンス評価(アセスメント):身に付けた能力を活用しなければ解決できない課題を与え、達成できるかどうか実際に確認して評価する。
(3) 学習意欲の喚起や主体的な学習活動の促進
「個人内評価」による絶対的評価・肯定的評価を主とします。また、自己評価・相互評価により、主体的学習を創造し、自己評価能力を育成します。
3.「観点別学習状況の評価」と「評定」
(1) 4つの観点で、学習状況を評価します。
ア.関心・意欲・態度
イ.思考・判断・表現
ウ.技能
エ.知識・理解
以前「表現」は「技能」とセットで評価しました。今後は「思考・判断」とともに働かせるように指導して評価します。また、芸術表現ではなく、言語活動の一環で表現力を捉えることがポイントです。
(2) 「評定」の存続
端的な子どもの達成度を知る上で必要なものと位置づけます。ただし、相対評価ではなく、絶対評価で行います。
最後に、まとめとして、以下の3点を確認されました。
(1) 目標準拠、つまり「指導する前に目標を設定する」ことから評価が始まる。さらに評価する観点で準拠するものが異なる。
ア.知識・技能 ドメイン準拠 到達度:二分法
イ.思考・態度 スタンダード準拠 次元分け
(2) 相対評価は採用しないが、集団内の位置については何らかの方法で示してもよい。
(3) 究極の狙いは「指導と評価の一体化」。カリキュラムや指導法・学習法の改善に役立てるために、評価を行うことを忘れないように。もし、そういったデータが得られない時は、評価活動を見直すべき。
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(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」14
<これまでのあらすじ>
アスペルガー症候群の状況と推定され小学校1年からずっと教室に入れず、休み休みながら保健室への登校を続けてきたA子。中学校に入学し、なんとか教室登校からスタートしましたが、2学期からは教室に入ることが難しくなり、校内の別室「ふれあい教室」から少しずつ授業への参加を始めました。1年3学期が終了する頃には、午前中の授業に参加できる程度の持久力がついてきました。2年生になり少しずつ自分と向き合い始め、進路を考えるようになりました。3年7月には、専門学校への進路に決意を固めました。
12月に専門学校の受験に挑んだA子の奮戦記を紹介してゆきます。
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3年生の12月、A子は専門学校の第一次入学試験に挑みました。この試験は、その専門学校を専願する生徒が集まり、成績優秀者を特待生として選抜する役割もありました。緊迫した入試会場に、A子は担任に引率されて向かいました。カバンには緊張をほぐすために、自宅で飼っている猫の写真を入れていました。
A子にとってこの専門学校の入試は、一度オープンスクールで来ていること、面接官にも会ったことがあること、苦手な面接試験を想定した模擬練習を繰り返してきたことから、拒否的な行動は現れませんでした。担任にA子は、「心臓が張り裂けそうにドキドキした。」と訴えましたが、そのまま入試会場に入って行きました。専門学校への進学を決意してから6ヶ月間の継続した取り組みのせいか、あるいは、親の期待に応えようと頑張ったせいなのか、A子はこの入試を乗り切りました。
今回の入試対策として、3つのことを行いました。第一に動機付けとしての進路の自己決定。第二にオープンスクールに参加して教員スタッフとの面談という体験的刺激からの安心感の育成と専門学校への不安感の修正。第三に筆記試験・面接試験の練習の繰り返しによる耐性の強化です。発達障害での認知機能の偏り(偏った信念、固執性など)を抱える状況に対応するために段階的な認知行動療法を活用したアプローチです。
A子は入試を終えて登校してきました。すぐに指導員に、面接試験で心臓がドキドキして飛び出しそうになったこと、筆記試験で分からなかった問題のことなど、次から次に話してくれたそうです。話しているA子からは大きな声と笑顔がこぼれていました。数日後、A子に特待生として合格した通知が届きました。
次回は、卒業式に参加しようとするA子の様子を紹介してゆきます。
(文責:maya)
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(3)おすすめコンテンツ「よくわかる発達障害 第2版」
昨年9月に大幅に改訂され、ICF(国際生活機能分類)や認知テストWISC-IV等の最新の項目が追加されました。見開きの2ページで1つの事項が解説されていて大変読みやすく、発達障害の最良の入門書として、自信をもって推薦できる本です。
第1章は「発達障害の理解の手助けとなる基本的な事項」として、脳の部位と機能から情報伝達と神経伝達物質、視覚と聴覚の情報処理方法、ワーキングメモリに至るまで、重要事項が体系的に解説されています。
LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)については、それぞれ章が立てられ、症状や診断、おもな対応方法が要点を押さえて解説されています。また、心理検査にも1章が割かれ、知能検査から言語能力検査、学力検査、視知覚発達検査まで、重要なものが網羅・解説されています。
読者の方に興味を持っていただけそうな小項目を列挙してみます。
・LDの新たな判定モデルとしてのRTI
・ペアレントトレーニング
・CARSおよびPARS
・TEACCHプログラム
・ロヴァス法
・新版K式発達検査2001
・応用行動分析学
さらに関心があれば、下記ページで「目次タグ」をクリックするとすべての章立てとコラム名を見ることができます。
http://www.minervashobo.co.jp/book/b71754.html
「よくわかる発達障害 第2版」小野次朗・上野一彦・藤田継道編、
2010年9月発行、ミネルヴァ書房、B5判184ページ、2200円(税別)
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世界で有数の製薬企業、イーライリリーはADHDの症状改善薬、ストラテラの発売元です。同社は、ADHDの当事者や家族向けのサイトを作っていますが、今回、ADHDの子どもが起こしがちな日常生活のトラブルを表現するアニメを作成しました。Twitterで紹介したところ、保護者の方が自分もその傾向があるのでフラッシュバックをするほどだったといったツィートをされた程の出来だと思います。あまり、ADHDについてご存じない方にはぜひ見ていただいて理解を深めていただければと思います。
日本イーライリリーのADHD支援サイト
http://www.adhd.co.jp/
ADHDを正しく理解するアニメ
https://www.adhd.co.jp/narratives/animation/default.aspx
余寒の季節です。次号3月4日(金)までに寒さが緩むでしょうか?
新学習指導要領での学習評価
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