発達障害に気づかない大人たち

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2010.10.22

発達障害に気づかない大人たち

先週、久しぶりに兼六園を訪問しました。夜に限って、ライトアップで無料ということで、どしゃぶりにも関わらず行ってみました。雨のせいで訪問者の数が少なく、また、灯りの当った場所だけが見えるせいで、松がこれまで見たものとまったく違う印象でした。別のことかもしれませんが子どもたちも別の環境、別の見方をすると、今まで気づかなかった優れた点が表に出てくるのでは、と考えさせられました。

春の生き生きとした松、雪づりの松と並んで、機会があったら目にされることをお勧めします。ライトアップは年に4回あり、いずれも無料です。また、雨の日は人が少なく、景観が良く眺められてお勧めです。

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【目次】
(1)認知障がいの子どもの親の会・3
(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」6
(3)おすすめコンテンツ「発達障害に気づかない大人たち」

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(1)認知障がいの子どもの親の会・3

今回は、AD/HD、アスペルガー症候群、ディスレクシアの会を紹介します。それぞれの状態に名前がついていますが、発達障がいはかなり共通する部分が多く、いろいろな障がいについて学ぶことは参考になります。

●えじそんくらぶ

AD/HDの当事者、高山恵子氏が1999年に設立したNPO法人です。AD/HDの当事者と保護者、教師を支援する会とWebページには書かれています。入会金2,000円と正会員10,000円、準会員5,000円の年会費を支払うと隔月刊の会報誌を受け取れ、講演会や講座、カウンセリングなどに割引料金で参加できます。16か所に支部があり、それぞれの支部で催しが行われています。
http://www.e-club.jp/

会報誌の一部を公開
http://www.e-club.jp/category/report/newslettter

AD/HDに関する本の出版と推薦する本の取り扱いを行っています。
http://www.e-club.jp/adhd/adhd_books/323.html

無料でダウンロードできる本が5種類あります。「子育ても仕事も楽しもう!~パパのストレスマネジメント3つのヒント~」「子育てママを応援します~子育てストレスを減らす3つのヒント」など16ページ程度で気軽に読めますので、まずはこちらをお試しください。
http://www.e-club.jp/category/adhd/adhd_download

催しとしては、ソーシャルスキルトレーニング、ペアレントトレーニングなど親向けのものに加え、ふれあい囲碁など、子どもが参加できるものもあります。
http://www.e-club.jp/category/event/ev_edison

また、AD/HDに関連する薬剤の情報もまとめられています。
http://www.e-club.jp/category/adhd/adhd_med

薬剤については、製薬企業がそれぞれの製品の情報を公開していますから、それらと合わせて上記ページを読むとよいと思います。

日本イーライリリー「ストラテラ」
https://www.lilly.co.jp/

ヤンセン ファーマ「コンサータ」
http://www.janssen.co.jp/inforest/public/home/

●アスペ・エルデの会

NPO法人アスペ・エルデの会。会の名前は、アスペルガー症候群からとった「アスペ」と学習障害(LD エルディ)からとった「エルデ」から来ています。ホームページでは、発達障害をもつ子どもたちの支援の場、自助会、専門家養成、発達支援についての啓発、発信点、研究機関を統合的に目指していく「生涯発達援助システム」を目指す、としています。
http://www.as-japan.jp/j/

会員は、正会員(団体のみ)と各種賛助会員に分かれ、当事者及び保護者は正会員として加盟する15の団体に加入するか、個人賛助会員に入会して利用することになります。ただ残念ながら、正会員の団体は現在、愛知、岐阜、三重の3県に限られます。ですから、それ以外の県の方は、ホームページで提供される情報を活用するか、興味ある催しに東海地方を訪問して参加することになります。

直近の催しでは、メルマガ第3号で紹介した書籍「発達障害の子どもたち」の著者、杉山登志郎などが講師の公開講座が11月7日(日)に名古屋の愛知学院大学で行われます。

発達障がい理解の最前線:基礎理解講座 第3回「治療・支援論からみた発達障がいへのアプローチ―家族と支援者のためのミニマム・エッセンシャル―
http://www.as-japan.jp/seminar/detail.php?id=8

発達障がい児の支援プログラムの開発を行っており、年齢ごとの状況とそれを支援する保護者、専門家の対応についての詳しい情報が、ホームページで見られるようになっています。
http://www.as-japan.jp/j/file/plan/grandplan.html

他にも、メルマガの刊行や情報誌アスぺハートを年間3回発行しています。また、子どもが使うワークブックや、保護者が困ったときのマニュアルなど多数のサポートブック(小冊子)を300円程度で頒布しています。

メルマガ「楽しい子育て応援団」
http://archive.mag2.com/0000189801/index.html

情報誌とサポートブック
http://www.as-japan.jp/eccube/

●EDGE(エッジ)

EDGE(エッジ)はディスレクシア(失読症、難読症)の正しい認識と認定、教育的支援を行うNPO法人で、2001年から東京都で活動しています。ホームページにによれば、ディスレクシア(Dyslexia)とは、知的に問題が無く、聴覚・視覚の知覚的機能は正常なのに、読み書きに関しては特徴のあるつまずきや学習の困難を示す症状のこと、とのことです。
http://www.npo-edge.jp/

上記ホームページの最新情報に紹介されているYouTube動画「DXな日々」などをご覧になると、ディスレクシアの人たちがどのような困難を持っているかを想像できると思います。

毎週月曜日夕方に東京・浜松町で行うキッズ&ティーンズクラブは、毎年7月頃に参加者を募集し、活動を行っています。見学も歓迎とのことですので近くの方は訪問されてはいかがでしょうか。
http://www.npo-edge.jp/?p=944

年に3回程度発行するニュースレターがWebで公開されています。最新の10月10日号では、来年から対応が始まる大学入試における発達障害への特別対応について、上野一彦氏(大学入試センター特任教授が紹介しています。
http://www.npo-edge.jp/?p=1233

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(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」6

<これまでのあらすじ>
小学校1年からずっと教室に入れず、休み休みながら保健室への登校を続けてきたA子。中学校に入学し、なんとか教室登校からスタートしましたが、2学期からは教室に入ることが難しくなり、欠席が多くなるようになりました。そこで、SCと話しあい、校内の別室(ふれあい教室)から、少しずつ授業への参加を始めました。

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ふれあい教室に元気に登校するようになり、学校に居られる時間が増えてきました。A子は「こども脳機能バランサー」の時間を楽しみに登校して来てくれるようになりました。A子にとっては「ゲームで遊んでいる感じ」と話してくれます。

A子が得意なのは「ききことば」画面のなかの複数のパネルから「ライオンの上のリスはどれでしょう?」などのヒントから正解を探すもの、苦手なのは「ジャストフィット」次々に図形が飛び出してきて、「同じものはどれかな?」を合図に画面の中心に示された図形と同じものを、周りの複数の図形から選ぶ問題です。「同じものはどれかな?」は、よく注意して選ばないと、似た図形があるので間違えやすい課題です。

A子は、最初の頃には「ジャストフィット」でよくミスしては「あ~!」と声をあげて残念がっていましたが、1ヵ月も経たないうちにほぼミスを出さなくなりました。これは周りに注意を払いながら課題に取り組むことができるようになった結果だと思われます。

しかし、せっかく注意力が高まっても、このままでは生活に反映されることは、ありません。訓練して検査結果が向上しても生活に反映されなければ意味がないと批判される点です。従って、この注意力をどこに向けて活用すればいいのかを指導しなくては、生活への反映は期待できないのです。生活への反映が現れないことは、決して訓練することが無意味であることを示すものではなく、その後の指導が充分であったかを検証する必要性を示していると考えます。

A子の場合は、教室の中で席の周りが騒がしいと嫌がっていましたので、周りの騒音が気にならないように本に集中してやり過ごすことを練習しました。具体的には、ラジカセの騒音の中で好きな本を読む練習などを通して、集中するコツを少しずつつかんでいきました。騒がしさの中でも何とか過ごせる自信をつけ、2学期末の12月頃から試しに教室で授業を受けることに1日1回チャレンジを始めました。

このチャレンジが1週間続きました。授業中のことを聞くと、A子は、「最近は、周りのガヤガヤした声があまり聞こえてこない」と話すようになりました。本人が授業等に集中することができるようになり、周囲の騒がしさを気にせずに取り組むことが少しずつでき始めたようです。

それでも、授業に参加すると以前より疲れるということが多くなりました。神経疲労とも呼ばれる脳の疲労です。授業中に集中することは、A子にとっては負担がかかることなのです。A子と話しあい、疲労に慣らしていきながら、授業参加時間を徐々に増やしていきました。3学期が終了する頃には、午前中の授業に1時間参加することが、継続してできる程度の持久力がついてきました。

次回は、A子の小学校時代に同じように1年生からずっと保健室への登校を断続的に6年生まで続けていた友人が、「ふれあい教室」に登校してきた時の様子を紹介します。
(文責:maya)

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(3)おすすめコンテンツ「発達障害に気づかない大人たち」」

題名を読んで、関心を持たない人が少なくないようです。本書は大人の自己チェックのために書かれているように思われますが、複数ある発達障がいの特徴と共通性を、著者が実際に診察した多数の事例、AD/HDである著者自身の経験に基づいて解説しており、発達障がいの入門書として最良の1冊として推薦したいと思います。特に、発達障がいに関する基本的文献から最新研究にまで幅広く言及されている点は、他書にない特長と思います。

特に、生活年齢10歳の時点における行動・感情のセルフコントロール、言語理解能力、視覚認知能力、対人スキル、手指の微細運動、全身の粗大運動などの能力について、一般の子ども、AD/HD・LD、高機能自閉症、知的障害、低機能自閉症の、それぞれの発達状況をグラフ化した「発達アンバランス症候群」という考え方は、とても参考になりました。(本書p45)

また、発達障がいの人がなりやすい、次のような合併症について解説している点も、子どもたちを見守る立場の人に知っておいてもらいたい情報です。
・うつ病(気分障害)
・不安障害(神経症)
・依存症・嗜癖行動(アルコール、過食、浪費、抜毛、セックスなど)
・パーソナリティ障害

さらに、発達障害の治療法として、次のような方法について概要を紹介しています。
・心理教育と環境調整療法
・心理療法(カウンセリング)
・認知行動療法
・自助グループ
・薬物療法

著者:星野仁彦
1947年、福島県生まれ、診療内科医・医学博士。福島学院大学大学院教授。

祥伝社新書:発達障害に気づかない大人たち
http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396111908

2010年2月発行 新書版、252ページ 定価780円(税別)

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国際福祉機器展以来、展示会や療育センター、特別支援学校などから展示や勉強会の開催の依頼を多数いただいております。10月31日(日)には山梨県で小児福祉機器展に体験コーナーを設置します。続いて、12月5日(日)に長野県の、こども療育用具・福祉機器展に出展します。甲信越地方に足を運べる方は、会場にお越しいただければと思います。

まず今回、山梨県の情報をお知らせします。

名称:第4回小児福祉機器展in山梨
主催:小児福祉機器展in山梨実行委員会
代表 松本乃里子(巨摩共立病院所属作業療法士)
後援:山梨県、山梨県言語聴覚士会、山梨県作業療法士会、山梨県理学療法
士会、山梨県立盲学校
内容:移乗・移動機器、コミュニケーション機器、玩具 他
実施日時:平成22年10月31日(日)10:00~15:30
開催場所:山梨県甲府市下飯田二丁目10-2
山梨県立盲学校 体育館等

次号は、11月5日(金)です。季節の変わり目、皆様ご自愛ください。

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