10月2日に神奈川県海老名市で開催された「後天性脳損傷児童・生徒の医療基礎研修講座」に出席しました。講師は、神奈川県総合リハビリテ―ションセンター小児科部長の栗原まな先生。事故や病気などによる後遺症である高次脳機能障害は認知障がいの一つですが、突然のできごとによる急激な変化という点で、先天的なもの、あるいは徐々に症状が現れる他の認知障がいと異なります。
小児の高次脳機能障害については改めて触れることにしますが、最後の質疑応答で、事故で12歳の息子さんがまだ意識不明という父親が発言しました。それに対し、司会で当事者の家族でもある日本脳外傷友の会理事長の東川悦子さんが「家族だけでは決して支えられないので、絶対に家族の会に入るべき」とコメントされたのが印象的でした。
本メルマガの「親の会」シリーズは、全国組織の紹介が中心になりますが、何かの参考になればと思います。
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【目次】
(1)認知障がいの子どもの親の会・2
(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」5
(3)おすすめコンテンツ「発達障害チェックシートできました」
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(1)認知障がいの子どもの親の会・2
前号では知的障がい児の親の会をご紹介しました。今号では、発達障がいに関連する団体をご紹介します。
●日本発達障害ネットワーク(JDDネット)
JDDネットは、発達障がい関連の当事者、親の会、学会・研究会などの団体です。前号で紹介した日本障害フォーラム(JDF)が障がい者関連団体全部のネットワークに対し、発達障がいに関連する団体のみによるものと考えることができると思います。
http://jddnet.jp/
9月28日に行われた民主党「障がい者政策プロジェクトチーム」による障害者自立支援法の見直しの方向案に関するヒアリングで6団体中、JDDネットのみが賛成したことが注目を集めました。反対したのは盲、聾、身体障がいなどの諸団体。筆者の考えでは、他の団体がインクルーシブ:障がい者が他の人たちとの共生、に比重をおくのに対し、自立支援法以前は福祉の対象になっていなかった発達障がい児・者の権利を確保することを優先して活動しているように思います。超党派で構成される「発達障害の支援を考える議員連盟」(会長:渡部 恒三、加盟国会議員:156名、2010年6月9日時点)とも協力して、政策提言を積極的に行っています。
JDDネットの政策提言
http://jddnet.jp/index.files/coener2_2.htm
発達障害の支援を考える議員連盟名簿
http://jddnet.jp/index.files/archives2010/pdf/20100609_meibo.pdf
加盟しているのは日本自閉症協会、全国LD親の会、えじそんくらぶ、日本トゥレット協会など親の会や、日本作業療法士協会、日本臨床心理士会、日本自閉症スペクトラム学会など専門士や学会など正規会員17団体、エリア会員48団体、会員数は1万人を超えています。会長は市川宏伸・前東京都立梅ヶ丘病院院長(同病院は本年3月に他の都立病院と統合され、現在は東京都立小児総合医療センター)。
活動内容は、政治的活動と普及啓発、調査研究など幅広く行っています。年に一度、年次大会があり、今年は12月5日に神戸国際会議場で行われます。発達障害者支援法が施行されて5年後ということで、竹田契一・特別支援教育士資格認定協会理事長を大会長に、将来ビジョンを明確にする、というテーマで実施されます。
http://jddnet.jp/index.files/archives2010/news20100205_nenji6.html
この年次大会には筆者も参加する予定ですので、メルマガでその内容を紹介したいと思います。
●社団法人 日本自閉症協会
この団体は、親の会である全国の自閉症協会を会員とする連合組織です。47都道府県の他に、横浜市と川崎市の自閉症協会が加盟しています。会長は、石井哲夫・日本社会事業大学名誉教授。石井氏は「受容」という方法を提唱し、1971年に自閉症に関する著作を発表するなど自閉症研究の草分けです。
http://www.autism.or.jp/
自閉症の理解を得るために、隔月刊行の機関誌「いとしご」を始め、多くの資料等を制作しています。ガイドブック5冊(乳幼児、学齢期、思春期、成人期、海外)は1冊500円~1000円で購入できます。
発行書籍のご案内
http://www.autism.or.jp/book05/gbindex07.htm
冊子「自閉症の手引き」20ページ、資料「高機能自閉症&アスペルガー症候群 活動運営マニュアル」36ページは、全文をWebで公開しています。画面でもプリントアウトでも読めますので、一読をお勧めします。
小冊子「自閉症の手引き」
http://www.autism.or.jp/autism05/rainman20040508.pdf
資料「高機能自閉症&アスペルガー症候群 活動運営マニュアル」
http://www.autism.or.jp/hfasp05/20060320.pdf
自閉症の実際を、動画で見られるDVD「自閉症の子どもたち」は税・送料込で1200円で配布しています。外見は変わらない子どもたちがとる、ちょっと気になる生活場面での振る舞いについて、理解が深まります。
http://www.autism.or.jp/book05/dvd1.htm
親の会として参加するには都道府県等の協会、あるいはそこに加盟する地域の団体が適当です。ご関心のある方は下記ページを参考にしていただければと思います。
http://www.autism.or.jp/organization05/branch.htm
●全国LD親の会
学習障がい(LD)を中心に、発達障害の人を支援する団体を束ねて活動をする非特定営利法人です。1990年に設立され、LDや発達障害の親の会の設立支援も行い、加盟団体のない県は10県になっています。
http://www.jpald.net/
全国を7ブロックに分け、それぞれのブロックごとに活動を行っています。
http://www.jpald.net/zenkoku.html
ユニークな点をあげると、発達障がい児をサポートするツールの情報を収集し、データベースにして公開している点です。「困難」「困難の要因」「サポートツール」「実証データ」という分類で、教師や保護者が使いやすいものを収集しています。また、推奨するサポートツールの講習会、公開フォーラムなども各地で実施しています。
サポートツール・データベース
http://www.jpald.net/kyozaidb.html
イベント情報
http://www.jpald.net/event.html
また、各地の診断相談機関の情報を掲載しています。
http://www.jpald.net/sindan.html
直接この団体と関係はありませんが、LDつながりで、日本LD学会の情報をお伝えします。直前ですが、10月9日-11日に愛知県立大学長久手キャンパスで同学会の大会が開かれます。テーマは、通常学級における特別ニーズをもつ子どもの支援。非会員、親の当日参加も可能です。盛りだくさんの発表がありますので、興味をもたれたらご参加ください。
日本LD学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jald/index.html
日本LD学会第19回大会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jald/19kai/top.html
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(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」5
<これまでのあらすじ>
小学校1年からずっと教室に入れず、休み休みながら保健室への登校を続けてきたA子。中学校に入学し、なんとか教室登校からスタートしましたが、教室に入ることが難しくなり、欠席が多くなりました。ですがスクールカウンセラーと約束した面接日には、なんとか登校してくるA子でした。
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もう教室には入れなくなっていたA子は、まず保健室に登校し、面接時間までの時間を過ごし、面接が終了すると帰宅していました。具体的な状況を把握するために、神経心理学的検査(WISC-IIIなど)、気分プロフィール(POMS)エゴグラム(TEGII)等の検査評価を実施し、その結果から以下のことが分かりました。
(1)感情面では、抑うつが強く、どうしていいか分からず混乱した状態である
(2)A子が周囲の情報をうまく捕まえて処理できていない
(3)行動面の特徴は、こうしなければという厳格さと、周りの人に合わせるという協調性が並び立つように拮抗している
そこで、この状況に対して面接では、次のような枠組みで取り組みました。
(1)健康観察(夕食内容・就寝時間、起床時間・朝食内容の聞き取り)
(2)こども脳機能バランサー(10分、いっしょに声をかけながら取り組む)
(3)振り返り(前回面接からの出来事を振り返り、体験した感情を言語化する)
この振り返りは約30分程度行っていました。
(4)面接の最後に宿題を決めます。いつも決まった宿題は認知訓練プリント。
そして1週間の出来事の中から喜怒哀楽の何か1つの感情を見つけて報告することです。
これらの取り組みでは、まずA子ができそうなことから、取り組むことを具体的に設定し、できているという体験を積ませることを大切にしています。また、こども脳機能バランサーの活用は、楽しく訓練を進められるので、訓練の導入と継続に効果的でした。情報処理能力が高まることで、周りの人の動きや話している情報を処理しやすくすることをめざしています。
最後の宿題として喜怒哀楽のエピソードを探すことは、A子自身が自分の感情を含めて、人の感情への意識を高め、感情を理解していくための心理教育的な目的も含んでいます。数々のエピソードの中で、A子にとって理解できなかった周囲の人の動きが、少しずつ理解できるもの(多くは知識として)につながっていく大切な時間となります。
A子の話してくれたエピソードに、休憩時間になると教室で騒いで大きな声でおしゃべりする人がいて嫌だという話がありました。そんなに大きな声を出さなくてもいいのにとA子は怒っていました。そんなA子に、つまらない話をしている時と楽しい話をしている時は、どちらが声が大きい?と聞くと「楽しい時」と答えてくれました。人は楽しい時、面白いと感じている時に自然に声が大きくなるんだね、と話しました。A子は、それでも大きな声で話しかけられることが嫌いなんだと言いました。
A子は、このようにして自分が教室に入りづらいことを理解していきました。校内にある別室の「ふれあい教室」に登校するようになりました。この教室に登校するようになって、A子はだいたい予定した時間に登校することができるようになりました。この教室では、次第にA子の笑い声が聞けるようになりました。少しずつ積極性も出てきて、教室のそうじとかをしてくれるようになりました。
次回はA子が校内の別室(ふれあい教室)から、少しずつ授業に参加し始めた様子を紹介していきます。
(文責:maya)
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(3)おすすめコンテンツ「発達障害チェックシートできました」
今年2月に発刊され、ツイッターなどで話題になった本です。7人の保健の先生が、学校などで使われていた発達障がいのチェックシートに疑問を持ちました。例えば、以下は、文部科学省が平成14年度に実施した全国実態調査のチェックシートです。
http://www.mdd-forum.net/check_sheet/checksheet_ld.htm
これらは、学校が子どもたちの状態を知ることが目的で、子どもや親が得られるものはないのでは?と考えました。学校でうまく過ごせなくて困っているのは子どもです。自分がどうして困る状況になってしまうのかが分かる、どんなふうに困っているのかを他の人に伝えることができる、そんなチェックシートが作れないか、と取り組んだ経過をまとめたのがこの本です。
構成は、3部に分かれています。
第1部は、できあがったチェックシートと、使う時の留意点をまとめた職員用マニュアル。わたし発見 あたらしい自分をみつけよう!という副題に、その願いが現れています。後半には「ひとくふう集」がついていて、そのチェックシートをした子どもに、こんな風にしたら困り方が少なくなるかも、というヒントの一覧にチェックを入れて渡せるようになっています。
第2部は、制作編です。7人が疑問をもち、問題を発見し、方向を見つけ、作り、親や子どもに評価してもらい、作リ直す、という記録です。その折々のエピソードと制作者たちの気づきがまとめられています。「ほんとはいらないチェックシート」「善悪じゃなくて、損得でかんがえろ?」「すべてのこどもに、居場所を保障するために」章題だけでも著者たちの試行錯誤や発見願いが伝わってきますよね!
第3部は、理論編です。制作の過程で既成概念に疑問をもち、それを考え直すための拠りどころにしていった概念などを解説しています。「特別扱いと差別観」「差別のしくみ」「制度ずらしと診断名」「タブーくずし」「ふつう感をといなおす」などなど。どんなことが書かれているだろう、と思ったら、書店や図書館で手にとってみてください。
発達障害チェックシートできました
http://www.seikatsushoin.com/bk/050%20checksheet.html
すぎむら なおみ + 「しーとん」2010年2月発行
生活書院 B5版、180ページ 定価2000円(税別)
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このメルマガを皆さんがお読みになる頃には、筆者は小松空港に着いていると思います。10月9日からの三連休、石川県内各地で第23回全国健康福祉祭、ねんりんピック石川が行われます。その主会場、産業展示館4号館で「こども脳機能バランサー」「認知機能バランサー」の体験会を行います。会場では東京都老人総合研究所の先生方の講演や子どもフェスティバルなど様々なイベントが行われます。この3日間は兼六園も紅葉シーズンでライトアップ無料公開を実施します。ぜひお時間のある方は、金沢まで足を延ばしていただければと思います。
ねんりんピック石川 http://www.pref.ishikawa.jp/nenrin/
兼六園ライトアップ http://bit.ly/9WRimZ
最後までメルマガをお読みいただき、ありがとうございました。
次号は、10月22日(金)です。
発達障害チェックシートできました
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